あしあと
[公開日:2025年10月24日] [更新日:2025年10月24日]
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本技術基準は、公共・公益施設における雨水流出抑制施設を設置する際の計画設計に係わる技術的事項についての一般原則を示すものである。
本技術基準は、前記公共・公益施設における雨水流出抑制施設設置の第2条に規定する施設について適用する。
本技術基準で用いる用語は、それぞれ以下のように定義する。
オンサイト貯留とは、雨水の移動を最小限におさえ、雨が降ったその場所で貯留し、雨水の流出を抑制するもので、現地貯留とも呼び、公園・運動場・駐車場・集合住宅の棟間等の流域貯留施設、あるいは各戸貯留施設などが一般にオンサイト貯留となる。
オフサイト貯留とは、河川・下水道・水路等によって集水し、集約的に貯留し、雨水の流出を抑制するもので、現地外貯留とも呼び、遊水地・防災調節池等はこれに当たる。
調節(整)池とは、オフサイト貯留となる施設で、流出抑制を第1義として設置するもののうち、河川管理施設として設置する流域調節池、防災調節池、および大規模な宅地開発等に伴って設置する施設を調整池という。
流域貯留施設は、広義にとらえると調節(整)池等も含まれるが、本基準では公園、運動場、広場、団地の棟間、駐車場など本来の利用目的を有する土地に、低水深で貯留機能を持たせ、流出抑制を行う施設をいう。その貯留方法は一般にオンサイト貯留となり、その貯留構造は一般に小堤・小堀込式となる。
集水面積とは、貯留型施設あるいは浸透型施設に雨水を集めることのできる区域の面積をいう。
比流量とは、現行の下水道計画における各排水区域の放流量を集水面積で除した値をいう。
オリフィスとは、貯留型施設に雨水が流入・出する際、流入・出量を調整するための調整口をいい、特に流出する場合には放流孔という。
流出抑制方式は、流域の地形地質、集排水系統、周辺土地利用状況等を考慮して、確実に流出抑制が期待できるものとする。
(解説)
流出抑制方式を決定する際に考慮されるべき基本的事項は、主に次のようである。
1の安全性については、ダム式、地下貯留式の貯留型施設を除いては比較的簡単な構造であり、施設の崩壊、損傷による危険性は少ない。2については、貯留型施設の用地の積極的な利用、土地利用にあった貯留型式の選択が考えられる。3については、施設の構造が簡単であり、施工が容易であることが望ましい。4については、流域貯留施設を設置する場合に重要である。
貯留型施設は、一般に集水面積が小さいため降雨開始から流出発生までの時間が極めて短く、人工操作を伴う調節方式は困難である。よって、雨水流出の調節方式は人工操作によらないオリフィス方式を原則とし、確実に調節効果が期待できるものとする。
但し、堀込式や地下式の貯留施設については放流先水路、下水道等との水位関係からオリフィス方式によることが困難な場合にはポンプやゲートによる排水方式とする。
ポンプによる排水方式とする場合は、確実にポンプが機能するよう十分維持管理を行うこととする。
図-2
貯留・浸透施設は、貯留・浸透機能が継続的に確保でき、良好な維持管理が可能な場所と構造を選定するものとする。
(解説)
貯留・浸透施設は、流域の地形、地質、地下水位、土地利用等の諸条件を考慮して、適切な構造型式を選択する。
貯留型施設の構造型式としては、校庭、公園、広場、駐車場等の本来の利用目的を有する土地に小堤・小堀込・地下式の貯留施設を採用する方法等により選択する。
また、集排水系統については、極力分流方式とすることが望ましく、貯留した雨水を散水や雑用水等に再利用したり、放流先についても既存の水路をできるだけ利用することに努める。
浸透施設は下記の区域については設置しないようにする。
流出抑制施設は、貯留型施設を用いるものとする。但し、すべて貯留型施設を用いることが困難な場合で、かつ、浸透型施設の効果が貯留型施設に劣らない場合は、浸透型施設を併用することができる。
原則として貯留型施設により容量を確保することとし、浸透型施設についてもその効果が期待できるものについては協議の上、認めることとする。
自然放流方式の貯留施設の許容放流量は、現行の下水道計画における排水区別の排水比流量(表-2)により決定する。但し、放流先の水路等の流下能力が許容放流量を下回る場合は主管部長と下水道部長と協議の上決定するものとする。
下流許容放流量の設定は、一般的には貯留施設下流の水路、下水道管渠の流下能力およびポンプ排水能力により決定される。従って、現況並びに将来のこれらの能力についての調査の上、適正な放流量を設定するものとする。
雨水流出の調節方式は原則として自然放流(放流孔)方式とし、放流施設における放流孔の位置、断面は、許容放流量を安全に処理できるよう決定する。
貯留型施設は、土地利用、安全性、維持管理等を総合的に勘案し、流出抑制機能が効果的に発揮できる構造とする。
小堤・小堀込式貯留施設は、本来の利用目的を有する土地に設ける場合がほとんどであり、排水を速やかにし冠水頻度を少なくするよう配慮する。
施設の設置にあたっては、本来の利用機能を念頭に、以下の事項を配慮する。貯留敷の利用において、排水性の良・不良は、冠水頻度や湛水時間ばかりでなく、池底面の整正状態、排水勾配、土壌の浸透性等に左右される。このため、底面の処理および排水施設は慎重に設計する。
図-5は、施設の類型化を示すもので、これ等はすべて自然放流方式であり1は貯留施設として最も単純な型である。これに対し、2は排水を速やかにし、冠水頻度を少なくし、この側溝型が標準タイプとして有効である。3は公園貯留などの貯留可能面積の広いところに用いられる。4は2の積極的な改善をはかったもので、浸透および貯留の増加が図れる。5は2と同様のものであるが、流入量のベースをカットし、施設の効率化を狙ったものであり、初期汚濁の流入防止にも有効であるが、実際には地形的な制約を受けることになる。
小堤・小堀込式貯留施設においては、法面の安定、構造物の安全性等を確保するため、設置場所の状況に応じ、適切な構造を設定するものとする。図-6
堀込式貯留施設は、主として平坦地を堀込んで雨水を貯留する型式であるため、貯留水深は、流入水路および放流先水路の高さから制約を受ける場合が多く、地下水位の高い地域においては、さらに制約を受ける。そのため、事前に行う基礎調査をもとに貯留可能な水深を設定するものとする。
堀込式貯留施設はダム式に比べ施設の安全性が高いことから、望ましい構造型式である。しかし地下水位が高い場合は湛水深に著しい制約を受ける。また、流入および放流先水路の敷高からも湛水深に制約を受ける。このため、貯留施設の用地としては広い面積が必要となる。地下水位が高い場合の対策として、矢板防水シート等による遮水(図-8参照)が考えられるが、工事費がかかり経済性の面で問題となることが多い。
このため、一般に地下水位の高い低平地において堀込式貯留施設を計画する場合には、事前に地下水位等の調査を行い、貯留可能水深を概略把握しておくこととする。
主として既成市街地(密集)に設けられる場合が多く、地下に貯留槽を埋没し、地上を駐車場、道路、公園、緑地、グラウンド等として多目的に利用することができるが、排水方式がポンプ排水となる場合がある。
地下式の利点は、土地の有効利用が可能となる点であるが、既成市街地では自然排水可能な貯留水深で必要貯留量全量を確保することが困難な場合には深い貯留槽にして貯留した雨水を放流先水路へ、強制排水(ポンプ排水)することとする。
この場合には、
などの配慮が必要である。
小規模施設等の場合には、駐車場、道路、側溝、各戸貯留、地下貯留および浸透施設など各種の方法を組み合わせて、貯留量を確保するように努める。
小規模施設においては用地上制約を受ける場合が多く、また地下式貯留により難い場合には、各種の方法を組み合わせる必要がある。
放流施設は、放流管設計流量を安全に処理できるものとし、自然放流方式の場合は次の各号の条件を満たす構造とする。
なお、地下貯留方式を採用する場合等でポンプ等により強制排水する場合は、その施設が有効に作動するような構造とする。
地下式を除いた貯留施設については、原則として計画降雨以上の降雨時における安全性を配慮し、余水吐を設けるものとする。
余水吐は、自由越流式とし、土地利用、周辺の地形等を考慮し、安全な構造となるよう設定する。
また、天端高は越流時の水深を最大貯留水位に加えた高さとする。
小規模な貯留施設においては、余水吐の越流水深は0.1メートルを標準とし、大規模な貯留施設では越流水深を計算の上必要な余裕高を加えた天端高を設計する。
なお、余水吐を必要としない場合にはこの限りではない。
浸透型施設は、設置場所の本来の土地利用、安全性、維持管理等を総合的に勘案し、流出抑制機能が効果的に発揮できる構造とする。
浸透型施設は、その機能を長期的に維持するため、土砂等の流入による目づまりおよび堆積に対し十分に配慮する。
1.浸透機能を効果的に発揮するため、次の点に留意する必要がある。
2.浸透機能を長期的に維持するために、次の点に留意する。
3.各種浸透施設の構造は、表-4の通りである。また、設計にあたっての留意事項をまとめると下記の通りである。
雨水流出抑制施設を公園、駐車場等の他の利用目的を有する施設として利用する場合は、この利用目的に支障のないよう配慮しながら、雨水流出抑制施設の所定の流出抑制機能を確保できる構造・規模としなければならない。
雨水流出抑制施設の管理者は、他の目的で利用する場合の施設の管理者と維持管理について十分協議を行い、必要に応じ管理に関する協定を締結するなどして当該施設の全ての利用目的が十分に達成されるよう努めなければならない。
貯留型施設周辺には、事故防止のためフェンスを設けたり、施設の目的等を記した標示板を設置するなどの対策をとるものとする。
大規模な貯留施設においては、転落等による事故防止と機能維持のため、貯留施設周辺、とくに流入施設、放流施設付近にはフェンスの設置等を配慮しなければならない。
また、貯留施設付近には、貯留施設の目的、機能、規模、注意事項等などを記した説明板を設けるなどして付近住民の理解と協力が得られるよう心掛けるものとする。
完成後の雨水流出抑制施設の機能および安全性を確保するため、維持管理を完全に行わなければならない。
雨水流出抑制施設は、維持管理が適正に行われることによりその機能を発揮するものであるから、設置後の管理者を明確にしなければならない。
貯留型施設の維持管理にあたっては、堤体の破損・排水不良、法面の崩壊、スクリーンのごみ、池内の堆砂ポンプ施設の点検等について適宜巡視を行うとともに、必要に応じて草刈や堆積土砂の搬出を実施するものとする。
また、異常が認められた時は、速やかに所要の処置、通報等を行わなければならない。
浸透型施設等は、維持管理が適切に行われることによりその機能を発揮する。そのため、ゴミ、枯れ葉、土砂等の堆積によって目詰りを起こさないよう管理者は、維持管理に努めなければならない。また、梅雨時期、台風シーズン、枯れ葉、芝刈りの季節には特に注意する。
透水性舗装については、施工場所、期間によって異なるが、目詰りにより浸透能力低下が考えられる。従って、地区を選定し、浸透機能を回復するため清掃を行う。
清掃方法には、散水後ブラッシングを行い、更に圧縮空気を吹き付ける方法等がある。(東京都透水性舗装調査研究(追跡調査)報告書)
当該敷地が雨水流出の調節機能を有するものであることを明示する標識を設けるものとする。なお、設置位置は原則として当該敷地への出入口とする。
枚方市役所 上下水道局 上下水道部 下水道管理課 (直通)
電話: 072-848-5565
ファックス: 072-847-8846
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