3月定例月議会で伏見市長が令和7年度市政運営方針を表明しました
- [公開日:2025年2月25日]
- [更新日:2025年2月25日]
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伏見市長は2月25日、令和7年3月定例月議会において、以下のとおり、令和7年度市政運営方針を表明しました。

令和7年度 市政運営方針(要旨)

1 はじめに
枚方市議会3月定例月議会の冒頭にあたり、令和7年度の市政運営方針を表明する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
先月28日に埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没は、甚大な被害をもたらすとともに、高度経済成長期、集中的に整備したライフラインの深刻な課題が浮き彫りとなりました。また、近い将来、発生が確実視されている南海トラフ巨大地震への備えも重要となっています。
これら危機事象に対しましては、今できることを迅速に対応するという姿勢で取り組み、市民の日々の暮らしを守り、安全・安心なまちづくりを徹底していく考えです。
令和5年9月の所信で表明した2つの最重点施策のうち、枚方市駅周辺再整備事業については、昨年5月に3街区に枚方市駅と直結する複合施設「ステーションヒル枚方」が竣工して以降、ホテルやオフィス、商業施設、集合住宅等が順次オープンしました。9月には、行政フロアとして、枚方市駅市民窓口センター、生涯学習交流センター、市駅前図書館、まるっとこどもセンター等を開設し、新しいサービスや新たな賑わいが生まれています。
もう一つの最重点施策である子育て世代をターゲットにした施策については、経済的負担の軽減策として、既に実施している所得や年齢の制限を設けない第2子以降の保育料の無償化、通院は18歳まで、入院は22歳までを対象とする子ども・若者の医療費助成に加え、新たに小学校給食の無償化を開始しました。
また、まるっとこどもセンターの開設により、個々の事情に寄り添いながら子育て世帯をまるごと支援する取り組みを充実させるなど、子育てがしやすい環境づくりを進めています。こうした中、昨年12月に発表された日本経済新聞社の2024年度版「共働き子育てしやすい街ランキング」では、本市は関西3位にランクされました。教育についても、1人1台端末の迅速な更新や生成AIを活用した校務の負担軽減や効率化の取り組みに対して、全国ICT教育首長協議会が主催する第7回日本ICT教育アワードにおいてデジタル大臣賞を受賞しました。
歯止めの効かない少子化・人口減少時代を真に迎える中、人々から選ばれるまちをめざし、2つの最重点施策を一層加速させる必要があります。
また、先行きが不透明な時代において、互いに多様性を認め合い、地域の環境と調和しながら、一人ひとりが自分の夢を追求できる。そうした個の幸せが、まち全体に広がり、ひいてはシビックプライドの醸成につながります。
そのための行政の役割は、一人ひとりの人生の選択肢を広げることができる基盤を作り、支援していくことであり、あらゆる世代に笑顔があふれる枚方市をめざし、さまざまな施策を講じてまいります。
さて、大阪・関西万博は4月13日にいよいよ開幕を迎えます。期間中、国内外から2,800万人を超える多くの来場が見込まれます。大阪が世界中から注目を浴びるこの絶好の機会を逃すことなく本市の魅力を発信し、持続的な発展へとつなげていきます。
さまざまな社会課題が顕在化する中、市政運営も難しい舵取りが求められる一方、令和7年度を、さらなる進化を遂げるチャンスの時と捉え、枚方の未来を拓く2つの最重点施策と枚方をさらに前に進める5つの基本目標に沿って具体策を述べさせていただきます。

2 2つの最重点施策

1 子育て世帯をターゲットにした施策のさらなる拡充
(1)安心して楽しく過ごせる、子育てできる環境の充実
子どもが笑顔で健やかに成長できるまちの実現に向けて、子どもを守る条例や令和7年3月に策定する子ども・若者総合計画に基づき、さまざまな施策の推進と取り組みの充実を図ります。
子育て施策の推進にあたっては、子どもの人権と最善の利益の尊重が最優先であり、特に、子どもの安全や人権が脅かされる児童虐待に対しては、早期発見や予防、適切な支援を効果的に行うとともに、防止に向けて取り組みます。また、速やかな安全確保や支援につなげる児童相談所と一時保護施設の開設に向けては、基本計画の策定に着手します。さらに、一人ひとりに寄り添った相談支援の充実を図るため、スクールソーシャルワーカーを全19中学校区へ配置するとともに、離婚後、父母の両方が親権を持つ共同親権の令和8年度中の導入を控え、子どもの養育等に関する専門的な相談件数の増加に対応していくため、「ひとり親家庭の弁護士相談」の予約枠を月2回に拡大します。
また、安心できる居場所が必要な子どもたちへの支援として、令和6年10月、ラポールひらかたに開設した児童育成支援拠点「ふらっと」においては、週3日の開設日を週5日に拡充するとともに、子どもたちが広く市内から通うことができるよう送迎を実施します。
安心して出産し、楽しく子育てができるまちづくりに向けては、妊娠・出産・育児の切れ目のない支援の強化、さらなる子育て環境の充実に取り組んでいきます。
まず、切れ目のない支援の強化として、妊婦健康診査については、補助回数を増やし、出産予定日を超えた場合の健康診査も対象とすることで、受診に係る費用の負担軽減を図ります。
また、3歳6ヵ月児健診から就学までの期間に、新たに5歳児健診を設け、言語理解能力や社会性が高まる年齢時に合わせた健診を行うことで、子どもの発育状況の早期把握と状況に応じた早期支援につなげます。あわせて、就学前の5歳児から小学校1年生までの2年間を円滑に繋げるため、就学前施設と小学校の連携による架け橋コンパスのカリキュラムを活用し、相互の交流を推進することで、子どもとその保護者が安心して入学を迎え、小学校生活を送れるよう取り組みます。
次に、保育環境の充実に向けた取り組みとして、通年での待機児童の解消につながるよう、これまで未設置であった東部エリアにおいて私立保育園による新たな臨時保育室の運営を4月から開始するとともに、私立保育所(園)等において障害児保育がさらに促進されるよう補助制度の充実を図ります。
また、送り迎えの負担を軽減するため、おむつの利用に導入しているサブスクリプション(定額課金)のサービスを、午睡用ふとんの利用にも試行的に導入しておりましたが、4月からは、全ての公立保育所等において本格実施へ移行します。
小学校での保育機能である留守家庭児童会室においては、児童にとってより良い居場所となるよう施設の改修による環境の充実を図ります。また、近年の就労形態の多様化などを受けて、土曜日の開室を実施し、利用実態を把握するとともに、長期休業期の昼食提供サービスを全校へと拡大します。
家庭で保育を行っている未就園児への取り組みとしては、保護者の就労状況などに関わらず利用ができる「こども誰でも通園制度」の令和8年度からの本格実施を見据え、渚西臨時保育室で試行実施を開始します。
子育て世代からのニーズが高い、子どもの遊び場の拡充に向けては、公設市場サンパーク跡に、就学前児童を対象とした屋内型施設「(仮称)子ども未来館」の令和9年6月の完成をめざし、整備に着手します。この施設には、室内遊具や絵本コーナー等を備えるとともに、親子の広場として親しまれている地域子育て支援拠点の役割と相談機関の機能も備えることで、気軽に子育て相談ができる環境を整えます。
また、家庭で子育てをしている世帯の親子がより身近な場所で、楽しく遊び、保護者が誰にも相談できず孤立した状況に陥らないよう、13ヵ所ある地域子育て支援拠点施設の市域での配置バランスを考慮し、新たに2ヵ所を開設します。あわせて、まるっとこどもセンターと連携して行う、地域子育て相談機関を、市内4ヵ所から8ヵ所に倍増させ、環境整備を進めます。さらに、子どもたちが瞳を輝かせ、思いきり駆け回れる屋外での環境を整えるため、車塚公園に子どもがワクワクするような遊具を設置するとともに、バリアフリートイレや日よけとなる休憩施設等を計画的に設置するなど、子育て世代が楽しく、笑顔になれる公園を整備していきます。
(2)子どもたちの未来への可能性を最大限に伸ばす教育の充実
近年、ICTの発達等による社会状況の変化は目まぐるしく、教育における課題についても複雑・多様化しています。
こうした状況においても、子どもたちが未来への可能性を最大限に伸ばせる教育の充実をめざし、令和5年度に教育大綱を改訂するとともに、令和6年度においては、教育振興基本計画を見直しました。
この大綱や計画に基づき、子どもたちの輝かしい未来に向けて、子どもが主体の魅力ある学校づくりを推進していきます。
主な取り組みとして、まず、社会を生き抜く力の育成については、確かな学力の育成に向けて、GIGAスクール構想のもと、1人1台端末の更新を行い、情報活用能力の一層の向上を図るとともに、学びを深める文房具の一つとして活用しながら、子どもが主体の学習活動に向けて授業改善を進めます。
また、問題発見・解決能力の育成については、日常生活や地域・社会で発見した課題を主体的に考え、他者との協働により解決する課題解決型学習(PBL)を推進することで、予測困難な未来を創造的に、たくましく心豊かに生きる力を身に付けられるよう取り組んでいきます。
さらに、教職員のワークライフバランスを推進することで、教職員のやりがいを高め、より効果的で質の高い教育の実現をめざすとともに、子どもたちのより豊かな学びへとつなげます。
豊かな心と健全な体の育成については、中学校の全員給食の令和10年度2学期からの開始に向けて、給食施設の整備と運営を行う事業者選定を進めます。
誰一人取り残されない教育の実現については、学校が安全・安心な居場所となるため、子ども自らの校則等の見直しや、すべての子どもが主体的に取り組む分かりやすい授業づくりを推進するとともに、支援教育については、審議会からの答申を受けて「(仮称)枚方市の支援教育の在り方について」を策定し、さらなる質の向上に取り組みます。
また、すべての子どもが社会とのつながりを持てるよう、不登校児童・生徒への対策として、教育支援ルーム指導員を全小中学校へ配置するとともに、教育支援センター 「ルポ」の取り組みを拡充し、対話や学習ができるメタバース空間を設置します。
こうした教育環境における居場所とあわせて、今後、「ふらっと」などの居場所と連携することで、困難な状況にある子どもたちの見守りの充実を図ります。
さらに、いじめの未然防止と早期発見に向けて、いじめを市全体の問題として捉え、教育委員会、学校、関係機関等との相互連携の強化を図ることで、総合的かつ効果的な対策を推進していきます。
豊かな学びを支える学校づくりについては、新しい時代の学びに対応した安全・安心な教育環境の実現に向けて、禁野小学校での新たな学校教育モデルの取り組みを進めるとともに、新校舎において、照明や空調の高効率設備や、太陽光発電設備を導入します。また、市内小中学校の照明器具のLED化や教室空調設備のCO₂削減効果の高い機器へと更新することで、学校施設のZEB化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に向けて取り組みます。あわせて、エレベーターの整備によるバリアフリー化など、学校施設の計画的な整備に取り組みます。
遊びや学びの充実については、魅力的で多様な体験の機会の提供に向けた検討を進めるとともに、放課後オープンスクエアにおいては、活動場所の拡大など、児童の意見を反映したより安心して楽しく過ごせる環境の充実を図ります。

2 枚方市駅周辺再整備事業の一層の推進
枚方市駅周辺再整備のリーディングプロジェクトとなる3街区の市街地再開発事業の最終段階として、枚方市駅の北口駅前広場の拡張整備事業により、さらなる公共交通の利便性向上や、より安全な歩行空間を確保することで、市内外から多くの人を迎え入れる玄関口にふさわしい空間となるよう、令和7年度中の完成をめざします。
この再開発事業の完成に伴い、歩行者の通行量がさらに増加することが想定されるため、枚方市駅北口周辺エリアにおける路上喫煙禁止区域を拡大するとともに、当該エリアでの分煙の徹底が図られるよう、公民連携による屋外喫煙所の設置に向けて取り組みます。
3街区に続き、次の4,5街区の整備に向けて、とりわけ、全国各地で大規模な地震や豪雨による激甚災害が発生する中、災害対策の拠点となる市役所庁舎の建て替えは、市民の安全な暮らしを守る観点からも、これ以上、先延ばしにすることはできません。
新庁舎の整備については、市民アンケートの結果等を踏まえ、引き続き、新庁舎がめざす姿や必要な機能等について、ワーキングチームをはじめ、庁内横断的な検討を進めます。この検討状況については、市民にも周知し、ご意見をいただきながら、新庁舎整備基本計画の策定に取り組みます。
加えて、枚方市駅周辺再整備による新たな都市機能と、歴史、文化、自然、商店街などの地域資源を一体的に生かしたまちづくりを進めるため、天野川から枚方宿、淀川にかけての回遊性の向上やさらなる来訪の促進に取り組みます。
そのため、これまで、大阪府や再開発組合のほか、地域団体などと連携しながら、景観整備などの取り組みを進めている天野川において、水辺を身近に感じられる空間整備や、隣接する市街地との接続強化に向けて、引き続き、検討を進めます。
2街区においては、枚方市駅周辺のウォーカブルなまちの実現と交通課題解消のため、市街地再開発事業の事業化に向けた調査検討を行います。
これら再整備事業の早期実現に向けて、枚方市駅周辺の中心機能となる、みどりの大空間や、市有地の有効活用など、まちの魅力を高める整備内容の検討も進めるとともに、土地区画整理事業の具体化を図るため、関係機関協議や地権者等との合意形成に向けて取り組みます。

3 5つの基本目標を具体化する取り組み
先に述べた2つの最重点施策を着実に推進するとともに、あらゆる世代や市域全体を捉えた課題解決に取り組み、枚方をさらに前へと進めていくための主な事業について、第5次枚方市総合計画における5つの基本目標ごとに述べさせていただきます。

1 安全で、利便性の高いまち
昨年発生した能登半島地震と豪雨被害、宮崎県沖の日向灘を震源とする地震など、昨今全国的に自然災害が多発している状況において、安全で、利便性の高いまちづくりに向けて、市民を守るための備えの強化や体制づくりが急務となっています。
中でも、自力で避難することが困難な避難行動要支援者への取り組みは重要であり、災害時における避難の実効性を高めるために、個々の状況を把握したうえで、その状況に応じた個別避難計画の作成を促します。
あわせて、一次避難所での生活が困難な障害者や高齢者などが平時から利用している社会福祉施設等へ直接避難ができ、少しでも安心して避難生活が送られるよう、直接避難型の福祉避難所の指定を進めるとともに、指定を受けた施設において速やかな避難所開設ができるよう、必要な備蓄物資や機材の整備費用の補助を行います。
市内全体の避難所の強化・充実については、大阪府内の統一方針に基づき、衛生環境を確保するためのポータブルトイレの更なる備蓄に取り組むとともに、災害時において、性別や年齢など多様性に配慮した避難所運営が行えるよう、職員をはじめ地域の意識醸成を図ります。
大規模な自然災害等が発生した場合の社会機能を維持するため、両親がともに医療従事者である場合等を対象に、公立施設における応急保育体制の整備を進めます。
市内に散在するため池については、堤体決壊等による災害リスクが想定されることから、今年度末に作成するため池ハザードマップや各ため池の避難基準について、管理者等との情報共有を図るとともに、防災ガイドへ掲載するなど、市民周知を徹底します。
水道事業においては、管路の維持管理の効率化に向けて、人工衛星データを基にしたAI解析による漏水探知を、他の自治体との広域連携により実施します。また、中宮浄水場の建て替えや重要管路である送水管の更新工事を進めるとともに、妙見山配水池についても更新工事に向けた基本設計を進め、将来にわたる良質な水道水の安定供給に向けた取り組みを進めます。
下水道事業では、継続的な機能の確保として、下水道の根幹的な施設である蹉跎ポンプ場をはじめ各ポンプ場の耐震化や老朽化対策に取り組むとともに、家屋の浸水や道路冠水などの被害軽減に向けて、雨水管整備工事などに取り組みます。
市民の日々の暮らしにおいては、長引く物価高騰により、経済的な支援も必要となっています。そのため、国の総合経済対策に基づく住民税非課税世帯に対する給付金の支給開始を来月末に予定しています。あわせて、国の交付金を活用する本市独自の5つの支援策を展開します。
本市独自の支援策としては、市民の経済的負担の軽減を目的に、(1)住民税均等割のみ課税世帯への給付金の支給、(2)広く市民や事業者の経済的な負担の軽減に寄与する水道料金の減免、(3)市内の消費拡大による事業者支援と経済活性化につながるキャッシュレス決済のポイント還元事業、(4)地球温暖化防止対策の推進にもつながる省エネ性能の高い家電への買換え補助事業、(5)自転車乗用中の事故による被害の軽減につながる自転車ヘルメットの購入費の補助事業の5つを実施し、可能な限り迅速かつ効果的な取り組みとしていきます。
また、さまざまな観点から安全を確保する必要があり、依然として増え続ける特殊詐欺の対策については、警察、大阪府をはじめ関係機関との連携を強化しながら、自動通話録音機貸与のさらなる促進とあわせて、注意喚起を積極的に展開し、被害防止を図ります。
空き家への対策としては、空き家の有効な利活用を促進するとともに、法改正により新たに定義された管理不全空き家に対しても、指導等による適切な対策を講じ、さらなる空き家の解消に取り組みます。
次に、持続的に発展するまちの実現に向けた都市基盤の整備を進めるため、公共交通ネットワークを軸とした都市拠点の形成を図るコンパクト・プラス・ネットワークの考え方に基づき、大阪府が実施する区域区分の変更にあわせて用途地域の見直しを実施するとともに、都市計画の根幹となる都市計画マスタープランや立地適正化計画の改訂に着手します。
総合交通計画に掲げる交通の将来像の実現に向けては、多様な移動サービスの確保を図るため、既存の公共交通を補完する地域自主運行型コミュニティ交通を支援するとともに、公民連携によるシェアサイクルの導入促進を図ることで、都市拠点内の回遊性強化などにもつなげます。また、道路ネットワークの強化のため、都市計画道路である長尾杉線、牧野長尾線(長尾大池部)の令和7年度末の供用開始に向けた整備を計画的に進めます。あわせて、通学路の安全や防災拠点へのアクセス向上にもつながる御殿山小倉線について、継続して設計を進めるとともに、中振新香里線については、安全な通行空間の確保に向けて、歩道を拡幅します。
淀川を渡河する都市計画道路牧野高槻線及び府道京都守口線、府道枚方高槻線については、引き続き大阪府と連携し、早期完成をめざします。
次に、京阪本線連続立体交差事業にあわせたまちづくり事業としては、光善寺駅西地区市街地再開発事業において、環境面に配慮したマンション整備に着手したことから、引き続き、国の補助金等を活用しながら、再開発組合に対する財政的・技術的な支援を行い、良好な駅前環境の整備と地域の活性化を図ります。
新たなまちづくり事業としては、昨年、都市計画決定した村野駅西地区及び茄子作地区の土地区画整理事業について、鉄道駅周辺や第二京阪道路沿道の交通利便性を生かしたまちづくりに向け、造成工事に着手する組合の取り組みを支援し、周辺環境と調和した居住環境や産業立地にふさわしい市街地を創出していきます。
長尾駅周辺については、土地区画整理準備組合の設立に向けた取り組みを支援し、鉄道駅周辺や第二京阪道路へのアクセスルート整備に加え、新名神高速道路の開通による活性化も見据え、交通利便性を生かした中東部地域の広域拠点にふさわしい魅力あるまちづくりをめざします。

2 健やかに、生きがいを持って暮らせるまち
健やかに、生きがいを持って暮らせるまちづくりに向けて、健康づくりの推進については、ひらかたポイント事業のスマートフォンのアプリにおいて、高齢者が健康教室や介護予防教室などへの参加で得るスタンプを集められるデジタル手帳の機能を追加するとともに、デジタルウォーキングコースを新たに実施することで、デジタルの便利さと参加する楽しさの実感へとつなげ、継続した健康づくりを後押しします。
また、働く世代における健康づくりへの意識が希薄であることが課題となっているため、関係機関との協働により、ひらかた健康優良企業に登録している事業者に対して、定期的な運動教室の開催や企業対抗運動会を開催するなど、運動の習慣化を図る取り組みを拡充します。
保健医療の充実に向けては、令和7年夏ごろの保健所の移転に伴い、新たな施設において機能の充実を図るとともに、市立ひらかた病院、医師会館と隣接する立地を生かした連携により、健康危機管理拠点としての役割を強化します。
福祉施策の充実については、第5期地域福祉計画の基本理念の実現に向け、コミュニティソーシャルワーカーを増員し、包括的相談支援体制の充実や、アウトリーチの強化、世代を問わない居場所づくりを進めるなど、重層的支援体制のさらなる充実に取り組みます。
また、高齢者が生きがいを持ちながら、無理なく地域での就労の場を得る仕組みづくりとして、短時間の就労的活動を支援する介護予防の取り組みを新たに実施します。
障害者施策については、重度障害者の自立した生活を支援するため、旧市立くすの木園の跡地において、民間事業者によるグループホームの整備に向けて公募の手続きを進めます。あわせて、障害者が地域での生活を試行的に体験できる機会や場の整備を進め、地域での生活への円滑な移行を推進します。
また、公共交通機関各社の運賃割引制度における精神障害者を対象とする4月からの改正にあわせて、本市の「福祉タクシー基本料金補助事業」についても同様の見直しを行います。
さらに、地域福祉の重要な役割を果たす民生委員・児童委員の担い手不足の解消を目的に、情報の把握や活動マニュアルの閲覧、報告書等の提出がWEB上で可能となる民生委員なんでもサイトの運用を開始し、デジタル化による活動の負担軽減を図ります。
多文化共生社会の実現に向けては、外国人市民からのさまざまな相談に対応できる体制の検討を進めます。
恒久平和に向けては、戦争の悲惨さを後世に伝えていくことが必要です。日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞や、終戦から80年を迎え、平和への機運が高まる中、若者が自分たちにできることを考え、平和へのメッセージとして枚方から広く発信する機会を創出します。

3 一人ひとりの成長を支え、豊かな心を育むまち
一人ひとりの成長を支え、豊かな心を育むまちづくりに向けて、スポーツの「する」「観る」「支える」をさらに推進し、多くの市民がさまざまなアプローチでスポーツに親しめるよう取り組むとともに、スポーツの持つ力をまちづくりに生かします。
また、市民や事業者からの寄附を原資とするスポーツ振興基金を創設し、スポーツ施設の機能向上やアスリートへの支援、本市にゆかりのあるトップスポーツチームとの連携強化など、スポーツ振興の取り組みをさらに推進します。
スポーツ環境の充実については、若者の声を取り入れながら、淀川河川敷の広大な自然とともに楽しめるスケートボードパークの整備に向けた設計に取りかかり、アーバンスポーツに親しめる場を拡充します。
また、令和7年度開催予定の世界陸上を契機に、パリオリンピック出場選手や本市にゆかりのある選手が参加するスポーツチャレンジフェスタを開催し、誰もがスポーツをより身近に感じ、子どもたちがスポーツを通じて夢を育むきっかけとなる取り組みを推進します。
野外活動センターについては、現在の利用状況や施設状況を踏まえた活性化の可能性などについて、サウンディング型市場調査を実施します。
文化芸術の振興を図る施策としては、総合文化芸術センターにおいて、国内外の著名なアーティストを招聘した鑑賞事業など、魅力的で多彩な事業を展開し、質の高い文化芸術に触れる機会の充実と、多くの人々の交流や賑わいの創出に取り組みます。
図書館事業では、貸出時間を短縮できるICタグシステムの導入について、すべての図書館分館まで拡大し、読書履歴を記録するひらかたブックダイアリーについては、すべての図書館へと拡大します。この導入拡大により、利用者の利便性の向上を図るとともに、思わず手に取りたくなるより魅力的な本棚づくりや、読書相談等の専門的なサービスのさらなる充実を図ります。

4 地域資源を生かし、人々が集い活力がみなぎるまち
大阪・関西万博の開幕まで、あと47日と迫りました。
令和4年度にスタートした、ひらかた万博の集大成の年とし、本市の有する豊かな歴史や文化など、地域資源を生かしながら、市民が愛着を持てる、多くの人が訪れたいと思えるまちづくりを進めます。
大阪・関西万博では、さまざまな催事へ出展し、開催地大阪を盛り上げるとともに、夢洲会場を訪れる国内外からの観光客に本市の魅力を広くPRし、誘客を図ります。
この催事では、本市ならではの特産品、郷土料理、ものづくりの技術、淀川舟運や枚方宿等、本市の特色や魅力を発信するとともに、国内外の企業とのビジネスマッチングの機会を創出するなど、地域経済の活性化をめざします。
これまで進めてきたひらかた万博については、共創により生まれた特産品や観光コンテンツを披露するイベントの開催など、広く市内外へ発信します。また、ひらかた万博で共感できた“このまちが好き”という気持ちや、“このまちをもっと良くしたい”という熱意をさらに広げるとともに、この間の取り組みで育まれた多様な主体による連携と共創の仕組みを、令和8年度以降も継続していきます。
観光施策においては、マーケティング分析に基づき、関連団体との連携により開発したツアーや、体験プログラムなどについて、インバウンド等の誘客を実現するため、効果的なプロモーションに取り組むなど、地域資源を生かしたくらわんかツーリズムを本格展開していきます。
観光資源となる淀川河川エリアにおいては、かわまちづくり計画に基づき、万博を契機に機運が高まる淀川舟運や水辺アクティビティなど一層の充実に加え、新たな賑わい拠点施設の実現に向けた環境整備に着手します。また、枚方宿エリアにおいては、事業者ニーズを踏まえながら幼児療育園跡地の暫定活用を図るとともに、市内大学との連携により、舟運が栄えた江戸時代の淀川の風景を鍵屋資料館で体験できるAR映像の製作に取り組みます。
特別史跡である百済寺跡においては、QRコードを読み、創建当時の古代寺院を現地で体験できるコンテンツを活用するなど、観光資源としての魅力を高めます。
地域産業の活性化に向けては、市内中小企業の人材確保及び人材の定着を目的に、正規雇用で就労する若年者市民を対象に、奨学金返還支援制度を創設し、経済的負担の軽減と安定した就労を支援します。
また、本市の強みを生かした産業の立地が図れるよう、地域未来投資促進法の重点促進区域を活用し、事業者が産業用地を確保しやすい環境整備を進めるとともに、市内工場の老朽化による建替えや生産力・競争力向上のための再投資の促進が図れるよう、工場立地法にかかる緑地面積率等の見直しとあわせて、周辺環境と調和のとれた工場の操業環境の整備を進めます。
起業・創業への支援については、手厚いサポートのある関西一創業しやすい街枚方をめざし、テイクオフ補助金の効果的な見直しを検討するとともに、地域活性化支援センター「ひらっく」での総合的な支援により、多様なニーズに応えられる起業・創業環境をさらに充実させます。
また、ふるさと納税を活用した商品開発の支援に向けた仕組みづくりを進め、開発を後押しすることに加え、新たな商品をふるさと納税の返礼品に登録することで、産業支援と財源確保の好循環を生み出し、地域経済のさらなる活性につなげていきます。
さらに、国の交付金を活用し、放置竹林の拡大といった東部地域における課題の解決につながる新たなビジネスの創出を支援します。
東部地域の活性化に向けては、豊かな自然や古民家、農の営み、農産物などの地域資源を生かした観光コンテンツや特産品の創出、ツーリズム化を多様なステークホルダーとの共創により促進します。
また、本市の農業を将来に渡り持続させていけるよう、農地集積を促進するための法律に基づく地域計画に定める目標の進捗管理を行うとともに、新規就農者の確保に向けて、引き続き、公民連携による研修の実施や、研修後の販路拡大などを支援することで、継続的な就農につなげます。
あわせて、農業委員会や大阪府等の関係機関との連携による試験栽培に取り組み、新たな農産物の創出をめざします。

5 自然と共生し、美しい環境を守り育てるまち
2050年ゼロカーボンシティの実現に向けては、市内のため池に設置しているメガソーラーの発電による再生可能エネルギーの供給を拡大し、脱炭素とため池を管理する費用の確保など、地域課題の同時解決を図るモデル事業を推進するとともに、この地産地消の取り組みを環境教育に生かすことで、環境保全への意識向上へとつなげます。
また、地域脱炭素の取り組みをさらに広げていくため、令和6年度に創設したひらかたゼロカーボン推進補助金事業において、特にニーズの高い創エネ・省エネ設備に対する補助を拡大します。
市有施設におけるCO₂削減に向けては、各施設の電力購入契約を一本化し、効率的なエネルギー調達を行うとともに、太陽光発電設備の導入や照明設備のLED化などの取り組みを一体的に実施します。この一体的な運用により、大幅な光熱費の削減を図るとともに、市役所CO₂削減プランに掲げる2030年度の目標達成につなげます。
京田辺市との連携による可燃ごみ広域処理施設の整備については、令和7年度末の稼働をめざし、安定的で効率的なごみ処理体制の構築に取り組みます。
また、新たに、食品ロス削減推進計画を包含する計画として令和8年度を始期とする次期一般廃棄物処理基本計画の策定に向けた取り組みを進めます。

4 施策を推進するための基盤となる取り組み
以上、2つの最重点施策と、5つの基本目標の達成に向けた施策を述べましたが、本市の取り組み姿勢として、すべての施策の根底に人権尊重の視点を置き、人権侵害は許さないという意志のもと、お互いを思いやる心豊かな人権が尊重されるまちづくりを進めるとともに、ジェンダー平等の実現に向けては、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行を踏まえた、令和8年度を始期とする第4次枚方市男女共同参画計画を策定します。
また、人口減少への対応や、行財政改革、デジタル技術の活用、さらなる公民連携の推進など、施策を推進するための基盤となる取り組みを着実に進めていく必要があります。
定住促進や人口誘導に向けては、本市の現状分析や地域特性を踏まえ、既存施策の見直しを進めるとともに、より効果的なターゲットや、取り組みについて検討を進めます。
施策の展開にあたっては、子育て施策のPRをテーマに打ち出したキャッチフレーズ「だから、枚方」を戦略的なプロモーションの核とし、市民目線でのより魅力的な情報を発信します。
行財政改革は不断の取り組みであり、行財政改革プラン2024に掲げる個別の取り組みを進めるとともに、インフレにより事業費支出が増加傾向である昨今の社会情勢等を鑑み、既存事業のスクラップアンドビルドの徹底により、今、求められている施策の実施や拡充に取り組みます。
公共施設マネジメントの推進については、令和8年度で終了となる計画の改訂や、公共施設の適正配置の在り方について20年、30年先を見据えた将来ビジョンの作成に向けた取り組みを進めます。また、令和8年度に新校舎へ移転後の旧中宮北小学校跡地の活用については、地域との調整を行いながら令和7年度中の構想の具現化に向け、検討を進めます。
希釈放流センターの施設については、運転管理業務の民間委託や、環境部における収集業務部門の統合を検討するなど、より効率的な運営をめざします。
総合福祉会館に導入するESCO事業については、民間事業者が持つ技術、設備、人材を包括的に活用し、今後の施設の維持管理の効率化や、環境負荷の低減、光熱水費の効果的な削減によるライフサイクルコストの低減を図ります。
市立ひらかた病院では、コロナ禍後の医療を取り巻く状況の変化や厳しい経営状況等を踏まえ、令和5年3月に策定した経営強化プラン(第3次中期経営計画)を見直し、持続可能な病院経営をめざします。
加えて、国の医療DX推進への対応や機能の充実、セキュリティの強化を図るため、令和8年度の電子カルテシステム更新完了に向けた取り組みを進めます。
水道事業、下水道事業については、今後も人口減少や節水機器等の普及などにより水需要の減少が見込まれる厳しい経営環境の中、令和6年3月に中間見直しを行った整備基本計画と経営戦略に基づき着実に事業を進めるとともに、経営の健全化と経営基盤の強化に向けた取り組みを進めます。
スマート自治体への転換をめざす取り組みとしては、保育所など就学前の公立施設において、アプリの連絡帳機能を導入することで、保護者の利便性の向上を図るとともに、同機能を活用し、写真や映像で子どもの状況を発信するなど、さらなる保護者サービスの充実を図ります。
学校施設においては、ICT技術を活用した安全対策強化を検討します。
市役所窓口における取り組みとしては、昨年9月にオープンした市駅前市民窓口センターの利用促進を図るとともに、同センターで導入した窓口での申請手続きを円滑にするシステムを本庁舎や各支所へも展開します。また、本庁舎においても住民異動に係る窓口ワンストップの検討を進めることで市民負担の軽減や混雑解消につなげます。
さらに、北部支所で実施している遠隔相談窓口については、市民の利便性を高めるため、取扱業務の拡充を行うとともに、他支所への展開も検討し、支所機能の充実をめざします。
行政手続きのオンライン化については、市民ニーズを踏まえ、引き続き拡充を図るとともに、既に実施済みの手続きも含め、利便性向上や業務効率化の観点から、手続きの改善を図ります。
ごみ収集業務については、タブレット端末を活用することで、リアルタイムでの収集記録の作成と、市民からの問い合わせに迅速に対応できるようにするなど、業務効率化と市民サービスの向上につなげます。
公共施設の営繕事業における工事監理業務においては、オンラインで現場と職場をつなぐ遠隔臨場を導入することで、現場までの移動時間を削減し、業務の効率化を図ります。
民間活力の活用や協働を推進する取り組みとしては、ふるさと納税について、効果の高いWEB広告等を活用した積極的なプロモーションを展開するとともに、新たな返礼品を積極的に開拓していきます。
また、企業版ふるさと納税については、本市とゆかりのある企業を中心に寄附の増額に向けて、積極的なアプローチを推進します。さらに、本市が取り組む特色ある事業に共感いただいた個人や企業から寄附を募るクラウドファンディング型ふるさと納税を実施することで、さらなる財源の確保に取り組みます。
本市におけるスマートシティの推進については、まずは、枚方市駅周辺のスマートシティ化に向けて、デジタル技術で解決につなげる地域課題の整理を進めるとともに、公民連携による推進体制について検討を進めます。
これら施策に取り組む職員に対しては、健康経営の取り組みを推進することで、職員のウェルビーイングの向上と、一層質の高い市民サービスの提供につなげます。
また、今年度末に中間見直しを行う人材育成基本方針に基づき、職員の意欲や組織に対する愛着を示すエンゲージメントの状況を的確に把握するとともに、その向上に取り組むことで、職員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮し、やりがいを感じながら働くことができる職場環境の整備を進め、人材の定着や組織力の向上を図ります。

5 終わりに
以上、令和7年度の市政を運営していくうえで、重点的に取り組む施策を中心に述べさせていただきました。その他の施策につきましても、第3期実行計画の取り組みを着実に進めてまいります。
さて、長引く物価高騰が市民生活や企業活動を圧迫する中、本市においても、既存施設の光熱費など物件費の高騰や、人件費、扶助費の上昇などにより、過去最大の歳出額となりました。
今後のインフレ見通しや国で議論している税制改正など、歳入に及ぼす影響が不安定な中、市民生活を支えるサービスの提供を充実させていくため、厳しい財政運営が求められています。そのため、財政の健全化を維持する行財政改革に全力で取り組む覚悟です。
また、先行きが不透明な状況にはありますが、大阪・関西万博の開催により、多くの方に来訪いただけるこの絶好のタイミングに、都市機能の充実など、まちの魅力向上を図り、選ばれるまちへのさらなる飛躍へとつなげていかねばなりません。
行財政改革やさらなる飛躍に向けては、市役所としてのチームワークをさらに高めていきたいと思います。
本市の置かれた状況やそれに挑む私の想いを職員と共有したうえで、それぞれが自らの役割を果たし、互いに協力・連携を図りながら、市役所一丸となって枚方の輝く未来へと前進させる一年にしたいと思います。
また、市民や市議会の皆様のご理解ご協力なくして施策を前に進めることができません。そのためにも、市政運営にあたりましては、引き続き、さまざまなご意見をしっかりとお聴きし、丁寧な説明と議論を重ねてまいりたいと考えています。
今後とも、市政運営に対する格段のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申しあげまして、令和7年度市政運営方針とさせていただきます。
お問い合わせ
枚方市役所 市長公室 秘書課
電話: 072-841-1255
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