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    3月定例月議会で伏見市長が令和4年度市政運営方針を表明しました

    • [公開日:2022年2月25日]
    • [更新日:2022年12月16日]
    • ページ番号:38012

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    伏見市長は2月25日、令和4年3月定例月議会において、以下のとおり、令和4年度市政運営方針を表明しました。

    令和4年度 市政運営方針(要旨)

    市政運営方針を読み上げる伏見市長

    1 はじめに

     枚方市議会3月定例月議会の冒頭にあたり、令和4年度の市政運営方針を表明する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
     新型コロナウイルス感染症への対応は、変異ウイルス「オミクロン株」による感染の急拡大で今年に入り緊迫した状況が続いていますが、市民の皆様にはこの間、感染防止策の徹底にご協力いただき、また市議会の皆様におかれましては、本市支援策の速やかな実行に向け緊急議会を開催していただくなどご審議いただきましたことに、心より感謝申し上げます。対策の要である本市のワクチン接種は、3回目の追加接種を希望される全ての市民が早く接種いただけるよう取り組みを進めているところです。これまでの2年におよぶコロナとの闘いで乗り越えてきた経験を生かし、あらゆる対策を講じて感染拡大の防止に努め、社会機能や経済活動の維持を図りながら長いトンネルの出口に向け前進していく考えです。
     今後もあらゆる危機事象を想定しながら、常に備える気持ちを忘れることなく取り組んでまいります。
     令和4年度は「ウィズコロナ」「ポストコロナ」をキーワードに、これまで進めてきた持続可能なまちづくりをさらに展開していきます。枚方市駅周辺再整備を着実に進展させるとともに、先人の歴史が深く刻まれた文化財や豊かな緑に彩られた東部の里山など、本市ならではの魅力を観光資源とした賑わい創出の取り組みを経済活性化につなげ、2025年大阪・関西万博後のレガシーまでを見据えた「暮らしたくなるまち」へと進化させます。そのためにも、待機児童の解消や教育環境の充実といった、未来を担う子育て世代の定住促進につながる施策をさらに推し進めます。
     こうした未来を描くには、社会の変化をいち早く掴んで新たな課題を積極的に掘り起こし、既存の仕組みにとらわれず大胆な視点で改革を実行することが不可欠です。公民連携による施策展開はもちろん、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」というDX(デジタルトランスフォーメーション)の概念を取り入れ、スマートシティへの取り組みを加速させることで市民サービスの向上を図ります。
     令和4年度、市制施行75周年を迎える本市の発展は、長い間培われてきた市民との「協働」に支えられてきました。これからも、あらゆる可能性にチャレンジできる「人が主役のまち」であるために、コロナ禍で顕在化した不安や生きづらさを抱えている市民を決して取り残すことなく、一人ひとりの思いに向き合って寄り添い、だれもが幸せを求めることのできる社会基盤を整えることが私の大きな責務です。変革をおそれない「強さ」とともに、人とつながる「優しさ」を兼ね備えた市役所を職員とともに創り上げてまいります。

    2 重点的に取り組む8つの分野

     人口減少・少子高齢社会への対応を見据え、持続可能な都市経営を推進するとともに、市民との対話を大切にし、温もりのある施策を届けていくことで、定住促進、関係人口の増加につながる魅力的なまちをめざします。
     また、市民サービスの向上を図り、全ての市民の幸せを支えるため、誠意と熱意を持って、変化・変革をおそれず、未来に向かって挑戦する職員を育成し、創造的・意欲的に施策を推進する常に前向きな市役所を構築していきます。また、さらなる市民の信頼を得られる組織をめざし、人権尊重やハラスメント防止に対する意識の高揚を図るとともに、活発な意見交換ができる風通しの良い組織風土の醸成に向けた、職員の意識改革を進めます。
     このような考えのもと令和4年度に取り組む8つの分野の重点施策をお示しします。

    (1)子育て環境の充実

     子どもが笑顔で健やかに成長できるよう、きめ細かな支援を行い、社会が一体となって子どもを守る取り組みを一層進めます。
     誰一人取り残すことなく、子どもの幸せを第一に考え、総合的・継続的・重層的に支援していくため、子どもの育ちを見守る「となとな」が持つ司令塔としての役割をさらに強化します。また、児童虐待や子どもの貧困、ヤングケアラー問題、これらに起因する学習環境など、子どもの課題に関する総合窓口の明確化及び一元的な推進体制の整備を図り、子どもが置かれている環境に影響を受けることのないよう、課題解決に向けて取り組みます。
     いじめや不登校をはじめ、さまざまな困りごとを、子どもが一人で抱え込むことがないよう、ICT等を活用した子どもが発する心のサインの可視化や見逃さない体制づくりを進めるとともに、早期把握、迅速な解決に取り組みます。また、SNSでの相談機能などの仕組みづくりを進めます。
     子ども食堂については、身近に利用できる環境を整えるため、全小学校区への配置をめざし取り組みます。併せて、デジタル技術を活用した寄附者からの提供食材の円滑な配付など、課題解決に向けて検討します。
     社会的擁護の地域における体制整備に向けて、家庭における養育が一時的に困難になった場合など、市内協力家庭において、子どもの短期預かり事業に着手するとともに、里親の増加及び里親制度の普及促進を図ります。
     全ての子育て世帯が安心して楽しく子育てできるよう、子どもとその家庭を支援する取り組みをさらに進めます。
     年度途中も含めた待機児童の「通年のゼロ」をめざすための取り組みとして、一時預かりの空き枠を活用した就労応援型預かり保育を実施します。また、民営化に伴い閉園予定の渚西保育所の園舎を活用し、令和4年秋頃、新たな臨時保育室を開設します。
     保育施設の入所に係る手続きについては、受入枠を有効に活用するとともに、より保育の必要な家庭が施設を利用できるよう見直しを図ります。併せて、電子申請による受付を開始し、利便性の向上を図ります。
     枚方版子ども園においては、小規模保育施設から幼稚園への切れ目のない移行を促すため、4か所全ての園で幼稚園給食を本格的に実施します。
     医療的ケアに必要な看護師等を配置する私立保育所(園)等に対して、医療的ケア児のさらなる受け入れを可能とするための補助金を交付し、体制の整備につなげます。
     保育・巡回相談においては、新たに幼稚園等を対象施設に加え、発達検査や保護者面接等を実施することで、利用施設に関わらず、障害のある子どもや配慮の必要な子どもが適切な支援を受けられるよう取り組みます。
     多胎児家庭への支援として、ファミリーサポートセンターの利用者ニーズの変化に対応し、利用料の補助対象に0歳を加え、制度を充実します。
     また、保育所(園)での一時預かりの無料制度を導入することで、在宅における子育て世帯の育児負担を軽減するとともに、利用促進を図ります。
     放課後の安全な居場所づくりについては、全児童を対象にした総合型放課後事業の令和5年度からの実施に向けて、全小学校において校庭開放を実施し、主体的で自由な発想による遊びと、遊びを通じたふれあいの機会を提供します。
     ひとり親家庭の子どもの健やかな成長のため、養育費の確保に加えて、面会交流の促進に向けて取り組みます。また、ICTを活用した支援として、4月からLINE公式アカウントを活用し、プッシュ型で情報を配信するとともに、必要な支援制度や手続きをスマートフォンなど情報機器から個別に取得できる案内サービスを開始します。

    (2)教育環境の充実

     次代を担う子どもたちがグローバル社会の中で生き抜くための力を育む取り組みを進めます。
     いつでもどこでも使うことのできるLTEモデルのタブレット端末を有効に活用した学習などの取り組みをより深化させるなど、GIGAスクール構想のさらなる推進を図ります。また、学校と家庭が連携しながら、子どもたちがICTの特性を理解し、創造性を高め、主体的に活用できることをめざす、いわゆる、デジタル・シティズンシップ教育を推進します。
     併せて、自動採点システムの導入による事後指導の充実を図るなど、ICTを活用し、教員と子どもたちの向き合う時間の確保に努めます。
     小中学校では、新型コロナウイルス感染症や、登校への不安といった状況に応じて、オンライン授業を併用するなど、学びを止めない教育活動を継続するとともに、教育環境の充実を図ります。
     こうした取り組みを保護者だけでなく、地域や今後就学する家庭などに向けて、広く伝えるため、各小中学校からのブログを活用した情報発信を強化します。
     英語教育については、タブレット端末を活用した海外交流に加え、関西外国語大学との連携による留学生等との交流などにより、子どもたちが体験的に学ぶ機会を充実させ、英語によるコミュニケーション能力を育成するとともに、学習アプリの導入による個別最適な学習を進めます。
     子どもの読書活動を推進するため、第4次子ども読書活動推進計画に基づき、地域・学校・図書館の読書環境の充実を図ります。
     図書館においては、より効果的・計画的な蔵書の更新を進めるとともに、図書資料の充実を図ることで、図書館利用の促進につなげます。併せて、電子図書の利用者拡大に向け、さまざまな機会を通じて情報発信に取り組みます。
     小学校における35人学級について、法改正を踏まえた教員配置を行うとともに、教科担任制については、国や府の加配教員等を活用し、小学校での専科指導を拡充します。
     小学校の水泳授業について、民間の施設やスタッフの活用を複数校において実施し、令和5年度以降の推進計画を策定します。
     学校の部活動については、休日における地域人材の活用など、令和5年度以降の運営手法の見直しに向けて、関係機関と連携し、一部の部活動を対象に試行実施します。
     中学校給食については、中学校給食あり方懇話会での意見を踏まえ、今後の取り組み方針を策定し、具体化を進めます。
     教育環境の整備について、バリアフリーの観点から検討するとともに、学校トイレの洋式化、ドライ化、ユニバーサル化については、令和5年度までの整備完了に向けて取り組みます。また、小中学校の体育館への空調設備については、熱中症対策や避難所の環境改善を図るため、令和6年度までの導入完了をめざします。
     4月に開校する禁野小学校では、円滑な学校運営のもとで児童が心身ともに健やかに成長できるよう、また、統合後の諸課題への対応についても、引き続き、地域や学校と連携して取り組みます。併せて、新しい学校施設の整備を進めます。

    (3)魅力ある都市基盤の整備

     枚方市駅周辺再整備については、本市の未来を担うまちづくりの重要施策の一つであり、人口減少や少子高齢化、経済低成長という厳しい時代だからこそ、20年、30年先を見据え、多くの人が集い、交流するエリアの形成に向けて、より具体的な取り組みを着実に進めなければなりません。
     リーディングプロジェクトを構成する枚方市駅北口駅前広場などを含む(3)街区の市街地再開発事業については、令和5年度からの段階的な供用開始に向けて、枚方市駅に直結する店舗、住居、ホテル等の複合施設の整備に係る支援とともに、図書館や生涯学習市民センター、(仮称)市民窓口などの行政機能の再編に向けた取り組みを進めます。
     また、(3)街区の整備と合わせて、交通環境の改善を図るため、枚方市駅高架下の改良工事に着手するとともに、市道枚方市駅前線の安全・安心な道路空間の確保や良好な都市景観の形成に向け、無電柱化に取り組みます。
     さらに、人が中心のウォーカブルなまちづくりの形成や魅力ある都市機能の集積に向け、市民会館、本庁舎及び官公庁団地を含む(4)(5)街区においては、民間活力の導入により市有地を有効活用するまちづくりの考え方を示し、令和5年度の都市計画決定などをめざします。
     枚方市駅南口駅前広場や枚方近畿ビルなどを含む(1)(2)街区については、地権者からの提案を踏まえ、まちづくりの可能性調査等を実施します。
     併せて、市への愛着を高めてもらえるよう、多様な主体のまちづくりへの参加促進を図るとともに、エリアマネジメントの実現に向けて、引き続き、UR都市機構などと連携し、公共空間を利用した社会実験に取り組みます。
     京阪本線連続立体交差事業については、香里園駅から枚方市駅間の一部における鉄道高架化工事の着手と併せて、引き続き用地取得に取り組みます。光善寺駅西地区市街地再開発事業については、商業施設等の整備を支援し、良好な駅前環境の整備と地域の活性化を図ります。
     鉄道駅の周辺や、第二京阪道路などの沿道のまちづくりに継続して取り組むとともに、長尾駅周辺においては、将来的な土地利用のビジョンを示すまちづくり構想を策定します。
     淀川を渡河する都市計画道路牧野高槻線及び府道京都守口線については、周辺道路の安全対策や用地取得業務など、大阪府と連携し、早期完成に向けて取り組みます。
     都市計画道路では、市内の渋滞緩和や物流の円滑化、災害時における救援活動を支える道路網の強化、通学路等の安全確保など、国土強靭化に資する道路交通ネットワークを構築するため、牧野長尾線の一部区間の供用開始をめざすとともに、長尾杉線、御殿山小倉線及び中振交野線の整備を計画的に進めます。
     都市公園においては、効率的・効果的で持続可能な施設の維持管理を行うため、公園施設等の長寿命化計画に基づき、老朽化した施設の更新や改築などに取り組みます。
     また、新名神高速道路事業に関連する南船橋・船橋本町地区のトンネル上部の事業用地等の活用により、新たに公園・緑地を整備し、みどりとふれあえる空間を創出します。
     王仁公園の再生については、魅力あふれる公園とするため、短期的には、既存施設を有効活用しながら、一部区域において民間活力導入に向けて取り組みます。また、長期的には、社会経済情勢の変化を見据えて、さらなる調査・検討を行います。

    (4)産業・観光の活性化

     市制施行75周年を迎える令和4年度を、2025年の大阪・関西万博に向けた本格稼働の年と位置づけ、まちの活性化の機運を盛り上げていきます。また、戦略的な観光施策を展開し、経済活性化につなげていくため、さまざまな民間事業者が主導する観光地経営体の確立をめざします。
     万博の開催に向けて進められている淀川大堰閘門の整備により、夢洲から淀川上流域までの周航が可能となることを見据え、その中継港となり、「訪れたくなるまち」としていくため、枚方市駅から淀川河川エリア、枚方宿地区、枚方公園駅までの地域を面で捉えた取り組みを進めます。
     街中からすぐ近くという恵まれたロケーションにある淀川河川エリアについては、民間事業者及び淀川上流域のまちとの連携により、水辺アクティビティの活性化とともに、広域的な観光事業の実施に向けて取り組みます。また、枚方宿地区の歴史街道の中間地点に位置する幼児療育園跡地については、地域と連携する中で、民設民営により、新たな賑わい創出の拠点として活用していくため、事業者公募を行います。
     本市が有する菊の歴史や文化、七夕伝説の魅力を活かした賑わい創出の取り組みをより一層ひろげていくため、ひらかたパークと連携しながら、市の花「菊」に加え「七夕」をテーマとした観光コンテンツを創造します。
     特別史跡百済寺跡については、令和5年度の完成をめざし、築地塀を復元・設置する整備事業を進めるとともに、市内の歴史や文化財と、食や行事・自然など異なる観光資源を効果的に掛け合わせ、人が集い、賑わいを創出する魅力的な観光コンテンツとして発信していきます。
     また、まちへの文化・芸術の醸成に向けて、総合文化芸術センターでは、引き続き、音楽や演劇、古典芸能など、多彩で魅力的な事業を数多く展開し、市民が文化芸術にふれる機会を充実するとともに、市域外からの利用者も呼び込むことで、枚方市駅周辺の活性化につなげます。
     本市をホームタウンとするスポーツチームの地元開催試合と連動した催しや、トップアスリートとふれあえる機会など、新しい価値を付加したさまざまなスポーツイベントを通じて、地域の賑わいを創出します。
     貴重な自然環境が残された東部地域においては、地域や民間事業者等と連携し、豊かな自然や里山、農地や古民家といった地域資源を活用した取り組みを進めていきます。
     また、大阪府アドプトフォレスト活動により整備されている東部清掃工場緩衝緑地の「なごみの里」については、民間事業者との連携を地域にも広げ、人と自然が織りなす新たな名所としていくための取り組みを進めます。
     産業の活性化では、地域活性化支援センターにおける創業支援のさらなる充実をめざし、市内の創業支援に取り組む関係機関で構成する創業支援事業連絡会を通じた連携強化を図ります。加えて、地域活性化支援センターインキュベートルームの入居要件の緩和、インターネット環境の改善など、利用環境の充実に取り組みます。
     また、地域雇用の創出及び市内中小企業への定着をめざし、就職氷河期世代を対象とした奨学金支援制度を構築します。
     都市農業の強みを生かし、新鮮な農産物を市民に供給する機会の増加を図ります。また、摂南大学農学部や農業従事者などと連携しながら、特産品の研究や6次産業化を推進することで、農業従事者の所得向上につなげるなど、農業経営の観点から取り組みを進めます。

    (5)安全・安心のまちづくり

     安全なまち枚方を維持し、街頭犯罪の抑止や犯罪発生時に迅速に対応していくため、市内に設置している防犯カメラの更新と合わせて増設を行い、通学路等のさらなる安全の強化を図ります。
     併せて、自治会等へのLED防犯灯の新設費用の補助制度については、更新や修繕等費用も含めた見直しの検討を進めます。
     通学路等の安全を確保するため、子どもの交通安全プログラムに基づき、危険箇所の抽出、警察等関係機関との協議・合同点検を定期的に実施し、必要な対策を推進します。併せて、市民の交通安全に係る意識の高揚及び活動の推進を図るため、地域と連携した啓発を展開し、交通事故防止に引き続き取り組みます。
     また、安全で快適な交通環境の確保を図るため、緊急交通路を含む主要道路のリフレッシュ工事を計画的に進めます。
     自転車通行空間の整備や道路のバリアフリー化、歩道拡幅の整備に取り組むとともに、府道における歩行空間の整備については、引き続き大阪府と連携し、事業化に向けた取り組みを進めます。
     自然災害に備え、市民のいのちを守り、被害を少なくするため、自ら避難が困難な要支援者への避難支援のしくみづくりを促進するとともに、地震時における家具の転倒防止など住居の安全対策の徹底を図ります。
     また、船橋川・穂谷川・天野川等の浸水想定区域の拡大に伴い、社会福祉施設など、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定等を促進します。さらに、浸水想定区域外に避難する「広域避難」の実現に向けて、ルールづくりと校区間の協力関係の構築を進めるとともに、広域避難も踏まえた地域主体の地区防災計画の策定を支援し、地域防災計画へ反映することで、市全域の防災力の向上につなげます。
     計画降雨を上回る集中豪雨対策として、楠葉地区において下水道浸水被害軽減総合計画に基づく雨水貯留施設等の整備を進めるとともに、点在する浸水地区を面で捉えた効率的・効果的な浸水対策に取り組みます。
     将来にわたり良質な水道水の安定供給が図られるよう、津田低区配水場耐震化事業については、令和5年度の完成に向け着実に工事を進めるとともに、田口山配水場ポンプ棟の耐震補強設計に取り組みます。また、老朽化した管路の更新・耐震化を進め、災害に備えた安全重視の水道を構築します。
     新たな中宮浄水場については、淀川水系で初めてとなる膜ろ過方式を採用した更新事業に取り組み、令和9年度の本格稼働をめざします。
     下水道施設の耐震化・長寿命化を図るため、北部ポンプ場の耐震化、蹉跎ポンプ場及び出口汚水中継ポンプ場の改築を進めます。また、道路陥没の未然防止や雨天時浸入水の削減に向けて、引き続き汚水管渠の老朽化対策を進めるとともに、汚水整備済み区域内に点在する未承諾地区や整備困難地区の解消にも取り組みます。

    (6)健康・福祉のまちづくり

     本市の後期高齢者人口は、2025年にはピークを迎え、約7万人と推計しています。今後、一人暮らしや認知症高齢者の増加を見据え、高齢者が健康でいきいきと安心して暮らせる施策をさらに推進していきます。
     健康寿命の延伸に向け、健康づくりに自ら取り組めるよう、生活習慣の改善やフレイル予防など、一人ひとりに合った総合的な健康づくりの情報提供を充実します。併せて、高齢者の社会参加の促進を図るため、成果連動型民間委託契約方式(PFS)を活用し、高齢者が外出したくなるきっかけづくりや介護予防に資する行動変容を促す事業の充実に取り組みます。
     認知症への対策では、正しい知識の普及や早期対応及び適切なサービスにつなげるため、関係機関とのネットワークの構築に取り組むとともに、大阪精神医療センターと連携し、予防教室を開催するなど、支援体制を充実します。
     がんの予防・早期発見に向け、啓発や検査の受診率向上の取り組みを強化します。併せて、だれもが心豊かにいきいきと生活できる社会をめざし、寄り添い支援の一つとして、がん患者の精神的なストレスや社会参加等への不安を和らげるため、ウイッグ等の補整具購入費用を助成します。
     市民の健康づくりに関する取り組みを促進するため、ひらかたポイント制度のメニュー充実に加え、自治体マイナポイント事業との連携による民間キャッシュレス事業者のポイントやギフトカードへの交換など、利便性の向上を図ります。
     健康経営を推進していくため、本市、全国健康保険協会及び民間事業者の3者連携により、市内事業者へのさらなる健康経営の普及啓発を図るとともに、従業員の健康づくりへの支援を行うなど、働く世代の生活習慣病の発症及び重症化予防に努めます。
     併せて、本市も事業者として健康経営優良法人の認証取得をめざすことにより、健康経営の取り組みを推進し、さらなる職員の健康増進を図り、組織の活性化につなげます。
     高齢者の情報機器の利用を促進し、生活の利便性の向上につなげるため、通信事業者と連携し、スマートフォン教室の開催を充実するなど、ソフト面での支援を行います。
     地域共生社会の実現に向け、「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施し、複雑化・複合化した課題に対応する重層的支援体制の充実を図ります。
     また、手話でつむぐ住みよいまち、だれもが暮らしやすいまちをめざし、手話の普及促進はもとより、子どもから大人まで広く市民に障害や障害者への理解が深まるよう、さまざまな機会を通じた啓発を行うとともに、障害のある、なしに関わらず取り組める車いすスポーツなどイベントの開催を通じて、心のバリアフリーを推進します。
     重度障害者が安心して地域で生活できるようグループホームへの支援を行うとともに、医療的ケア児及びその家族に対する支援について検討を進めます。
     成年後見制度について、法的課題の早期解決や身上保護を重視するため、ひらかた権利擁護成年後見センターの機能強化を図るとともに、後見に至らない判断能力に支障のある方への支援を充実し、権利擁護に関する取り組みを進めます。

    (7)多様な生活・社会の課題解決に取り組むまちづくり

     「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念に通じる本市のめざすまちの姿「持続的に発展し、一人ひとりが輝くまち」の実現に向けて、総合計画に掲げる取り組みを着実に推進していきます。また、複雑、多様化し互いに関連する課題に、包摂的に対応していくため、全庁一丸となって取り組んでいきます。
     ジェンダー平等の実現に向けて、性別を理由とする差別や不平等、暴力をなくすための啓発をはじめ、性的マイノリティへの支援、DV予防教育プログラムの推進等を図ります。また、身体的性差への理解促進を図るとともに、その性差を踏まえ、女性の負担軽減につながる取り組みとして、生理用品の本庁舎等への配置を進めます。パートナーシップ宣誓制度については、都市間連携により、転出時の宣誓者の負担軽減に向けて取り組みます。
     人権施策をより効果的・総合的に推進するため、(仮称)人権施策基本計画を策定します。また、計画の実効性を高めるため、あらゆる人権侵害を許さないという市の姿勢を発信していきます。
     戦争の悲惨さや平和の尊さを若い世代に伝えるため、SNSや動画を活用した効果的な啓発事業を実施します。また、日本非核宣言自治体協議会や平和首長会議の取り組みを進める中で核兵器の廃絶を求め続けます。
     「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実現をめざし、地球温暖化対策を計画的に推進するため、第2次地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を策定するとともに、全国に先駆けて脱炭素に取り組むモデル事業として、「(仮称)ネット・ゼロシティHirakata style」の実現をめざします。
     このモデル事業のもと、災害時の活用にもつながる公用電気自動車や民間事業者との連携による電気バスの導入に向けて取り組みます。
     また、公共交通の利用促進につながるバス停等の環境改善を図ります。
     さらに、食品ロスを削減するため、民間事業者と連携し、家庭で不用となった未開封の食品を回収・配付するフードドライブを実施するとともに、学校給食牛乳パックのリサイクルとその取り組みを活用した環境教育を進めます。
     市域の自然環境の現況を把握することで、市民の自然環境に対する関心をさらに高めるため、市全域を対象とした市民参加型の自然環境調査を2か年にわたり行います。
     快適で暮らしやすい環境をめざし、空き家・空き地対策のさらなる充実を図るため、地域の実態や課題に合わせて、所有者に働きかけを行い、利活用の促進や市場へ流通させる取り組みを進めるとともに、若者世代空き家活用補助制度を引き続き活用し、さらなる子育て世帯の流入と、空き家の解消をめざします。
     また、結婚等に伴い新たな生活を始める夫婦等を対象とする結婚等新生活支援補助金については、より効果的に結婚支援や若者世帯を中心とした定住促進につなげるため、所得要件の緩和を図ります。

    (8)行財政改革

     非接触型での行政サービスの提供を拡充するため、汎用型電子申請サービスを活用した行政手続きのオンライン化を推進し、市民の利便性を向上します。また、本庁・各支所・枚方市駅サービスセンターの市民室窓口においては、証明書発行に係る手数料のキャッシュレス決済を導入します。
     事務事業の見直しについては、各事務事業に設定したロジックモデル及び指標、到達目標を活用した検証に引き続き取り組むことで、より効率的・効果的な行財政運営につなげます。
     デジタル技術の積極的な利活用によるスマート自治体への転換により、業務の効率化を進め、市民サービスの向上を図ります。また、民間委託の推進などにより、職員数の適正化と総人件費の縮減を着実に進めていきます。
     国民健康保険料など市税以外の債権については、さらなる徴収強化に取り組むため、体制整備を図ります。
     清掃工場への事業系ごみ処理手数料については、見直しに向けた取り組みを進めます。
     ネーミングライツについては、プロモーションの改善を図るとともに、公共施設だけでなく、イベントや講座などソフト事業へも対象を拡大し、さらなる財源確保に向けて取り組みます。
     公立保育所の民営化については、4月から民営化する渚西保育所と令和3年4月に民営化した渚保育所とを統合し、新園舎での保育サービスを開始します。また、阪保育所の令和5年4月からの民営化に向けた準備を進めるとともに、桜丘北保育所についても引き続き、民営化に向けて取り組みます。
     公立幼稚園・保育所施設の適正配置に向けて、就学前の教育・保育施設に係るひらかたプランの後期プランを策定し、今後の整理・集約の方針を示します。
     併せて、公共施設の集約化をめざした公共施設マネジメントシステムの再構築に取り組むとともに、サンプラザ生涯学習市民センターや中宮北小学校(4月からは禁野小学校)については、移転後の跡地活用について検討を進めます。
     下水道事業については、将来にわたって安定的・持続的な経営をめざし、一般会計からの繰入金の適正化を図り、独立採算を原則とした企業経営に移行します。
    市立ひらかた病院では、新型コロナウイルス感染症への対応を活かし、引き続き、市民のいのちを守るための医療を提供します。また、国の示すガイドラインに基づき、人口減少、少子高齢化に伴う医療需要の変化や医師の時間外労働規制、また新興感染症に対する平時からの機能整備などを踏まえた中期経営計画を策定します。

    3 終わりに

     以上、令和4年度の市政を運営していく上で、基本的な考えと主要な施策の概要について述べさせていただきました。新型コロナウイルス感染症への対応が必要な中、引き続き、いのちを守る施策を最優先してまいります。併せて、さまざまな課題の本質を捉え、多様性を尊重し解決に向けて取り組んでいくことで、共生社会の実現をめざします。
     就任以来、市民一人ひとりがいきいきと輝くよう、枚方のまちがより良くなるよう日々、邁進してまいりました。2期目の任期の残り1年半も、この志を強く持ち、全力で挑戦していきます。
     今後も、市民や市議会の皆様のご意見をしっかりとお聴きし、引き続き丁寧な説明と議論を重ね、本市のさらなる発展に向け、歩み続けてまいりたいと考えています。
     市議会をはじめ市民の皆様におかれましては、なお一層のご支援とご協力をいただきますようお願い申し上げまして、令和4年度市政運営方針とさせていただきます。