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    令和元年度9月定例月議会で伏見市長が所信を表明しました

    • [公開日:2019年10月1日]
    • [更新日:2022年3月20日]
    • ページ番号:25943

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    所信表明(要旨)

    伏見市長の写真

    1 はじめに

    本日、令和元年枚方市議会9月定例月議会におきまして、今後の市政運営に対する所信を表明する機会を与えていただき、ありがとうございます。

    私は、今回の選挙で、人口減少、少子高齢化、経済低成長という時代にあっても、未来輝く枚方を実現していくため、「さらなる改革、そして成長へ。」と訴え、引き続き枚方市政を担わせていただくこととなりました。

    これからの4年間、初心を忘れることなく、市民の皆さんのさまざまな声や思いを受け止め行動していく姿勢を常に大切にしながら、本市の未来が輝くものとなるよう市政運営に全力を尽くしていく決意です。


    2 今後4年間の取り組み方針 ~さらなる改革、そして成長へ~

    1期目の4年間は、都市基盤の整備や子育て支援などの重点施策を設定し、未来への投資を推進してきました。その結果、転入人口の増加や子育て世帯の転入超過など「選ばれるまち」への流れをつくることができましたが、社会動態全体における転出超過状態の脱却に向けては道半ばであります。

    「選ばれるまち」への評価・支持をさらに確かなものとしていくため、選択と集中の視点のもと、より効果的な施策を推進していくことで、枚方の発展につなげる決意です。

    今後も厳しい財政状況が続く見込みの中でさらなる変革を進め、生み出した財源をもとに市民生活を支える施策や未来への投資を進め、経済活性化や都市の魅力を高めていくという「成長につながるサイクル」を定着させていきます。また、国においてめざすべき未来の社会の姿としてSociety5.0(超スマート社会)が提唱される中、情報通信技術を積極的に活用し、環境に配慮しながら、人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした「スマートシティ」を推進します。

    未来輝く枚方のため、私自身が先頭に立ち、市民・地域・事業者・大学などさまざまな主体との協働の取り組みをさらに広げ、さまざまな課題を克服しながら、枚方はさらに良くなったと実感していただけるよう、リーダーシップを発揮していく決意です。

    こうした決意のもと、今後4年間、次の3つの取り組み方針に沿って、まちづくりを進めます。

    (1)「魅力で人をつなぐ」まちづくり

    大阪・京都の中間に位置する本市には、貴重な歴史や文化、豊かな自然環境、多彩な産業基盤、そして、子育て・教育・医療の充実した環境など、たくさんの魅力があります。そうした魅力を十分に生かしつつ、今住んでいる人たちが「住んでよかった」と感じ、夢を持つ人が集まるまちとなるよう、魅力向上に向けた取り組みを一つひとつ着実に具体化していきます。


    (2)「安心で人をまもる」まちづくり

    私たちが生きている社会には、大規模な自然災害や犯罪、事故だけでなく、健康や暮らしなどにおいても、不安を感じるさまざまな問題があります。これらに対するセーフティネットの構築に向けて取り組みを進めます。また、「SDGs(持続可能な開発目標)」の誰一人取り残さないという理念を踏まえた取り組みを進めるとともに、人権、平和、男女共同参画施策などを通じて誰もが安心を実感できる社会の形成に向けて自治体の役割を果たします。

    (3)「改革で人を支える」まちづくり

    子育て支援や学校教育の充実、都市基盤整備など、さまざまな未来への投資を進めていくため、新たな技術の活用や民間事業者との連携など、既成の枠にとらわれない業務のさらなる効率化等を進め、これまで以上に財源を生み出す努力を行います。また、行政改革の取り組みにより生み出した財源を「何のために用いるのか」を示すなど、使途も含めた「『見える』行政改革」を進めます。


    3 重点的に取り組む施策と8つの分野

    2期目につきましては、3つの方針のもと、市長就任時から掲げていた、子育て支援、学校教育、高齢者施策に特に重点的に取り組みます。

    子育て支援では、保護者の不安感や負担感を軽減し、安心して子育てができるよう、妊娠、出産から子育て期にわたる切れ目のない支援をさらに推進します。また、共働き家庭が大きく増加している中で、安心して仕事と子育てができるよう、新たな待機児童対策や保育料の無償化、小学校の放課後、土曜日、三季休業期に安全に過ごせる環境づくりに取り組みます。

    学校教育では、子どもたちの未来への可能性を最大限に伸ばすという観点から、国際化、情報化が進むこれからの社会を生き抜く力を育むため、中学生全員へのタブレットPCの導入や英語教育のさらなる充実に取り組みます。また、「いじめは絶対に許さない」という基本姿勢のもと取り組みの充実・強化を図ります。

    高齢者施策では、住み慣れた地域で生きがいを持ち、安心して暮らすことができるように、健康で長生きであることが第一との考えのもと、外出機会を増やすためのきっかけづくりや健康づくりに資する活動の場の提供に取り組むなど、健康寿命の延伸や介護予防、認知症対策を進めるとともに、課題や不安を抱えたときにワンストップで相談できるよう、地域包括ケアシステムの深化や地域と協働で新たな移動支援策の構築に向けて取り組みます。

    さまざまな施策は各所管の部局が中心となり推進を図っているところですが、多様化する市民ニーズに沿った効果的な行政サービスを的確に展開していくため、職員の意識改革を推進するとともに、従来の縦割りの壁を越えて、総合的、横断的な視点を持った、横串組織や仕組みを構築します。

    また、本市の未来を見据え市全体の活性化や交流人口の増加につながる枚方市駅周辺再整備については、必要な都市機能の整備に向け、国・府をはじめ事業者などさまざまな関係者との連携、協力により、枚方市駅周辺再整備基本計画等を策定するとともに、現在、地権者が主体となり取り組みを進めている枚方市駅北口駅前広場から府住宅供給公社枚方団地、京阪電気鉄道株式会社枚方事務所を含むエリアである(3)街区の事業着手に向けて公民連携のもと取り組みます。

    これらの施策の展開にあたっては、行財政改革などによる財源確保の状況を踏まえた、財政シミュレーションをもとに実現の担保性を確保しながら推進します。

    これまでに述べた抱負や決意、市政の取り組み方針を踏まえ、今後4年間に取り組む8つの分野の重点施策をお示しします。


    (1)子育て環境の充実

    本市では「めざせ!!通年のゼロ」を目標に保育所等の入所枠の拡大を進めるなど、安心して子育てできる環境を充実し、平成31年4月には国基準に基づく待機児童ゼロを実現しました。こうした取り組みなどから、子育て世帯の転入が転出を上回るなど、「選ばれるまち」として評価が表れていると考えています。

    この成長につながるサイクルを定着させるため、潜在的な待機児童の解消や、年度途中の転入者・育児休業明けの保護者の保育ニーズに対応し、小中学校の余裕教室等を活用した「待機児童用保育室」の整備を進めるなど、既存の発想にとらわれない新たな手法で入所枠の拡大を図り、通年の待機児童ゼロを実現します。

    さらに安心して楽しく子育てができるよう子育て世帯への負担軽減に配慮し、子ども医療費への支援策の充実について検討を進めるとともに、令和元年10月から開始される国の幼児教育・保育の無償化を踏まえ、本市独自の支援策として第2子以降の保育料の無償化を早期に実現します。

    また、市立保育所の3歳児以上の給食において、現在家庭から持参している主食については、食育推進の観点を踏まえ、保育所において提供する完全給食に切り替えます。

    併せて、深刻な保育士不足のもと、何より子どもたちにより良い保育が提供できるようさまざまな手法で人材を確保し、保育の質の向上を図ります。

    また、女性の就業者数が3,000万人を突破し、共働き世帯の割合が70%に近づく中で、保護者の就労形態が多様化している状況を踏まえ、小学校入学以降も安心して就労できる環境、子どもたちが学校で楽しく安全に過ごせる環境の整備を進めます。今後、留守家庭児童会室や放課後自習教室等を再編・拡充する中で、子どもたちの健やかな成長に重要とされる「時間」「空間」「仲間」いわゆる3間を充実させるとともに、土曜日や三季休業期のみの利用ニーズにも応えられるよう取り組みます。

    子どもの貧困、いじめ、虐待、ひきこもり、不登校など、子どもをめぐる問題が深刻さを増す中、全ての子どもが一人の人間として尊重され、その権利が保障される地域社会が構築されるよう「(仮称)子どもを守る条例」を制定し、子どもを守る仕組みづくりを進めます。

    地域と一体となった支援をさらに充実するため、地域・事業者等の主体がより参画できる環境づくりを進めるとともに、プライバシーに配慮した上で子育て・教育・健康・福祉など行政各分野が持つ「子どもの情報」を共有化し、効果的で切れ目のない支援体制の構築を推進します。また、相談・通報のハードルを下げ、いち早く子どもたちの声なき声を掴むことができるようSNSを活用した新たな窓口開設に向けて取り組みます。

    本年4月に開設した「市立ひらかた子ども発達支援センター」は、発達上支援が必要な子どものための地域における中核的な支援機関として、早期療育体制を充実するとともに、障害児相談支援や保育所等訪問支援などの地域支援機能をさらに強化し、子どもたちの地域社会への参加・インクルージョン(包容)を推進します。

    さらに、さまざまな理由で親と暮らすことができない子どもたちに、あたたかい家庭という居場所を提供し支えていくため、市民への里親・ファミリーホームのさらなる理解促進と普及を担当する職員を配置します。

    (2)教育環境の充実

    すべての子どもたちの未来への可能性を最大限に伸ばすため、現状における課題や今後のめざすべき姿について、教育委員会と認識を共有しながら新たな「枚方市教育大綱」を策定します。

    学校教育では、一人ひとりの児童生徒に応じたきめ細やかな教育の実現をめざし、教員の授業改善や家庭学習の推進など、学力向上を図る取り組みを充実するとともに、学校がひとつのチームとして能力を十分に発揮できるよう、学校支援体制の充実を図ります。

    近年の情報化社会の進展を踏まえ、自ら学ぶ力を育むため、中学生全員に一人一台のタブレットPCを段階的に導入するとともに、プログラミング教育や外国語によるコミュニケーション能力の育成などを通じてグローバル社会における「生きる力」を育む教育を推進します。小学校では、教科担任制や英語教育を推進するため、専科教員制を拡充し、子どもたちのより深い学びを実現します。併せて、関西外国語大学との連携による「枚方英語村」の充実を図ります。

    体力向上に向けては、全児童・生徒を対象に実施した体力テストの結果を活用し、大阪体育大学と連携しながら授業改善などに取り組みます。また、水泳力向上を図るため、スイミングコーチによる専門的な指導など民間活力を活用した取り組みを進めます。

    ひとの多様性を理解し互いに受け容れることなど、人権教育を推進するとともに、重大な人権侵害である、いじめ問題については、これまでの取り組みに加えて、より迅速な状況把握と適切な対応が行えるよう、SNSの活用や弁護士、臨床心理士などを含めた体制の整備を図ります。

    子どもたちと向き合うことに専念できる環境づくりや教職員にとって働きやすい職場づくりなど、学校運営や環境整備を進めることで、教職員の多忙化の解消につなげます。

    学校給食は、子どもたちに栄養バランスの良い豊かな食事を提供するもので、健康増進や体位向上に加え、食育の教材や地産地消の取り組みにもつながります。知・徳・体を調和し、より豊かな学校生活をめざすため、中学校の全員給食を実現します。

    現在、洋式化を進めている学校園のトイレについては、すべての子どもたちが清潔なトイレのある学習環境で学べるよう、整備計画を前倒しし、令和5年度までに整備を完了します。

    全中学校に配置している学校司書については、小学校への拡大を含め学校図書館の充実に向け、より効果的な取り組みを進めます。また、少子高齢化の進展を踏まえ、地域の皆さんが身近に本に触れる機会を充実するため、学校施設の活用を検討します。

    コミュニティ・スクールについては、全小学校に順次設置し、円滑な学校運営や地域活動のもと、子どもたちの安全・安心の確保など、地域と学校との連携による取り組みを進めます。

    学校規模については、今後の児童生徒数の推移を見極めながら、円滑な学校運営のもと子どもたちが快適な学校生活を送ることができるよう、適正化に向けて取り組みます。

    (3)魅力ある都市基盤の整備

    枚方市駅周辺は、鉄道網やバス路線網が充実しているとともに、商業・金融・医療・行政機関などが集積する本市の中枢を形成する地域となっています。令和3年度にオープンする総合文化芸術センターについては、子どもたちをはじめ多くの市民が多彩な演者による魅力的な事業に触れる機会を充実させ、文化芸術活動の発表の場となるよう、賑わいにあふれた拠点づくりを進めます。

    さらに、(3)街区の市街地再開発事業については、市駅北口駅前広場等の整備による交通結節点機能の強化を図るとともに、ホテルや住居、商業、行政など多様な都市機能の集積をめざし、事業認可や建設工事の着手に向け、国・府などと連携、協力しながら取り組みを進めます。

    また、大規模災害や少子高齢化、人口減少、ライフスタイルの多様化など、今後の社会環境の変化に対応するため、都市機能やまちの魅力を高めるコンテンツの導入について検討します。併せて、より質の高い都市再生が図られるよう、都市再生緊急整備地域の指定により民間活力の導入を促進していく必要があります。その実現に向けて、多くの関係者と将来像を共有しながら、本市の玄関口にふさわしい枚方市駅周辺再整備を進め、本市全体の活性化につなげていく考えです。

    京阪本線連続立体交差事業と光善寺駅西地区市街地再開発事業は、鉄道交通と道路交通の円滑化を図るとともに、光善寺駅周辺の活性化・賑わい創出が期待されることから、早期完成に向けて引き続き取り組みます。

    令和5年度に開通予定の新名神高速道路は、新たな国土軸として本市域における道路交通や物流機能の向上が期待されることから、そのアクセス道路となる都市計画道路内里高野道線や淀川渡河橋(都市計画道路牧野高槻線)の早期完成に向けて府や関係機関に働きかけるとともに、周辺市道の改良に取り組みます。併せて、スマートインターチェンジについて、周辺の住環境や交通量への影響等の調査・検証を進めます。

    また、第二京阪道路へのアクセス道路で国道307号の渋滞対策となる牧野長尾線や長尾杉線、通学路の安全な歩行空間の確保につながる御殿山小倉線や中振交野線など都市計画道路の整備を計画的に進めるとともに、樟葉駅前広場ロータリーについては利用者の安全確保と混雑解消に向けた改良に取り組みます。

    香里ケ丘地区は、良好な居住環境を形成する魅力あるエリアとなっています。令和2年度にリニューアルオープン予定の香里ケ丘図書館は、隣接する香里ケ丘中央公園と一体的な整備を進め、指定管理者制度のもと、アウトドアライブラリーや読書カフェを開催するなど同地区のさらなる魅力向上を図ります。

    王仁公園については、野球場、テニスコート、プールなどを擁し、気軽にスポーツやレジャーを楽しめる、市民の憩いの場として親しまれています。しかしながら利用が夏季に限定されるプールをはじめとする公園施設の老朽化や利用増進などが課題となっており、パークマネジメントの考え方を取り入れ、民間活力の活用を含め、今後の公園のあり方について検討を進めます。

    本市には鉄道駅、バス停までのアクセスが不便な地域が一部存在し、特に、高齢者や障害のある方たちにとっては日常生活上の課題となっています。不便地域の移動支援策として、自動運転等の次世代交通システムの構築をめざす大阪府市等と連携した取り組みの推進や、地域支援・自主運行型コミュニティ交通システムについて地域と協働によるモデル事業の構築などに取り組みます。

    (4)産業・観光の活性化

    令和7年には大阪・関西万博が開催され、今後のインバウンド効果を見込み、鉄道交通のインフラ整備やホテルの建設など、開催に向けてさまざまな取り組みが進められようとしています。

    現在も外国人観光客に人気の大阪や京都は、今後さらに注目度が増し、その中間に位置する本市においても集客の絶好の機会となることから、古くから交通の要衝として栄えた本市が有する地理的な優位性の活用を図ります。

    歴史を刻んできた京街道・枚方宿で賑わう五六市や、天満橋の八軒家浜から枚方船着場までの淀川舟運、天野川の七夕伝説は貴重な地域資源となっています。今後は、これらの地域資源をさらに活用するとともに、枚方船着場から枚方宿、枚方市駅周辺地域を面で捉え、国や他自治体と連携した取り組みや、さらには民間のビジネス展開を主とする取り組みを通じて地域の活性化を図ります。また、さまざまな情報媒体を通じた積極的な情報発信、Wi-Fi環境の整備などソフト、ハード両面から観光基盤を充実します。

    従来のパソコンやスマートフォンだけでなく、あらゆるものがインターネットにつながるIoT環境が整備され、製品やサービスにおける新たな価値が次々と創造されています。連携協定を締結している国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)をはじめ、市内に所在するものづくり企業や大阪工業大学等の教育機関、金融機関等と連携し、地域の課題解決に向けた技術開発研究や企業の新たな分野への進出、金融機関による支援など、地域経済の活性化策を検討します。また、創業環境の充実に向け、民間主体のビジネス拠点活動との連携について検討します。

    農業分野では、都市農業を推進するため、来年4月に府内唯一となる農学部を開設する摂南大学と連携し、新たな農業の担い手の育成、販路の拡大、特産物の創出、6次産業化などに取り組みます。また、農業と福祉双方の課題解決にメリットがある、「農福連携」の取り組みについて研究します。

    東部地域は、里山や田園など豊かな自然が広がるとともに、第二京阪道路や京奈和自動車道のインターチェンジにも近く道路交通が至便な地域を形成しています。この地域特性を生かした産業振興策について検討を進めます。

    (5)安全・安心のまちづくり

    平成30年は、大阪北部地震や台風21号などの大きな自然災害を経験し、本市の総合的な防災対策の強化について見つめなおす契機となりました。

    避難所の開設が長期化する中で、「自助・共助・公助」の役割分担や避難所のあり方について、特に、一人暮らしの高齢者から一人で過ごすことへの「恐怖」や「不安」の相談が寄せられるなど、自宅建物の被災以外の事象に対する心のケアが課題となりました。

    今後はこの教訓を生かし、「公助」が担うべき役割を検討するとともに、地域が担う「共助」の推進に向けた「地区防災計画」の策定支援や、事業者・関係団体との災害時応援・連携協定、ドローンを活用した情報収集の充実などについても人と未来防災センターなどの専門機関と連携しながら検討します。

    住宅の震災被害の軽減を図り、市民の生命と財産を守ることを目的とする木造住宅耐震改修補助制度について、これまでの耐震化の取り組みを踏まえ、より効果的な施策展開を図ります。また、災害時における避難行動を支援し、減災を図る観点から防災アプリの導入に取り組みます。

    道路、橋梁、公園などの都市インフラの的確な維持管理、更新を行っていくとともに、災害時における安全対策を効率的に進める観点から、中宮浄水場の更新並びに下水道浸水被害軽減総合計画に基づく浸水対策など上下水道施設整備や既存施設の耐震化及び道路陥没や雨天時などにおける汚水管への浸入水を防ぐ老朽化対策に計画的に取り組みます。

    また、安全な交通環境を確保する観点から、主要道路のリフレッシュ整備事業に引き続き取り組むとともに、バリアフリー化、フラット化を含めた自転車や歩行者の通行空間の整備を計画的に進めます。交通ルールを守る意識向上を図りながら、健康増進等に資する自転車の活用を推進するまちづくりに新たに取り組みます。併せて、令和元年5月に滋賀県大津市で発生した歩道上で信号待ちの幼児等が巻き込まれた事故を受け、国や府と連携し、信号のある交差点における歩道への車両乗り上げ防止対策などを進めます。加えて、近年問題となっている高齢ドライバーによる事故を防止する観点から、公共交通の利用促進啓発に取り組むとともに、後付けの急発進防止装置設置への助成に取り組みます。

    通学路等の安全を確保する観点から、引き続き、危険箇所について地域や警察と協議を重ねながら防犯カメラを増設するとともに、より広く周知することで犯罪の抑止効果を高めていきます。

    (6)健康・福祉のまちづくり

    昨年6月に国が策定した「人づくり革命基本構想」では、「人生100年時代には、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくる必要がある」と示されています。

    本市では、高齢者が外出するきっかけづくりと介護予防の拠点として、地域との連携により100か所の居場所を設置しました。また、妊娠・出産から子育て期、成人、高齢期まで絶え間なく支援する場として、健康づくりの地域拠点「すこやか健康相談室 北部リーフ」の整備を行いました。今後は、これらの課題検証を行い、より効果的に健康施策を展開するため組織再編も含めた取り組みを進めます。また、全ての小学校区で高齢者の居場所をはじめとする多様な通いの場が充実した活動を展開できるよう、関係団体と連携して取り組みます。併せて、アクティブシニアを増やす取り組みを展開します。また、所定の事業に参加してポイントが得られるひらかたポイント制度を活用して、健康・長寿・子育て施策の推進に取り組みます。

    市立ひらかた病院では、高齢者の健康寿命の延伸を図るとともに、生涯にわたってアクティブに活躍ができるよう、介護が必要となる主な原因のひとつである関節外科疾患について専門的に対応するための「(仮称)関節センター」を設置します。

    健康増進法の改正により、望まない受動喫煙を防止するための取り組みがマナーからルールへと変わったことを踏まえ、府では法よりも厳しい基準を定めた条例に基づき受動喫煙を防止する取り組みが進められています。本市ではこの取り組みを府と連携して進めるとともに、喫煙者に対して、禁煙外来や保健指導への参加促進等の取り組みを通じて、喫煙者の禁煙サポートを進めます。

    民間企業では、健康を理由にした早期退職や欠勤、生産性低下を防ぐとともに、従業員の健康維持、労働生産性向上を通じて、企業業績の向上を図る観点から、「健康経営」(健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。)の取り組みが進められています。本市でも一事業者として「健康経営」の取り組みを実践するとともに、市内の産業振興の観点からも市内事業所への普及に取り組みます。

    近年、健康寿命の延伸、ひとり暮らしの高齢者の増加に伴い、「人生の終わりのための活動」いわゆる「終活」への関心が高まっています。そこで、最後まで尊厳を持ち、自分らしく生きるための「終活」への支援として、個人の意思が尊重される仕組みやセミナーの開催、情報提供などの取り組みについて検討します。

    認知症対策では、運動、脳機能トレーニング、対人交流、栄養指導の4つの分野に笑いの要素を加えた認知症予防プログラムを大阪精神医療センターと連携して実施するなど、「認知症にやさしい地域づくり」に向けて取り組みます。加えて、成年後見制度を必要とする人が地域でいつまでも生き生きと暮らせるよう、円滑な制度利用のための取り組みを推進します。

    本市では、障害のあるなしに関わらず、地域社会で自己決定に基づき、その人らしく生活できる社会をめざす取り組みを進めていますが、実現のためには、あらゆる場面において、情報収集や意思疎通などの課題を解消することが重要となります。そのため、入院時における重度障害者のコミュニケーション支援の充実に取り組みます。また、手話への理解促進及び手話の普及のため「(仮称)手話言語条例」を制定します。

    今年のラグビーワールドカップ、来年の東京2020オリンピック・パラリンピックと国際的なスポーツイベントが目白押しで、市民の皆さんのスポーツへの関心も大いに高揚しているところです。本市でも聖火リレーなどでこれらを積極的に応援するとともに、これを契機に、スポーツを通じて市民の皆さんが充実した余暇を過ごし、健康・長寿につなげていく取り組みを推進します。また、障害者の社会参加を促し、市民の皆さんが障害への理解を深めていくため、障害者スポーツ・レクリエーションの振興を図ります。

    (7)多様な生活・社会の課題解決に取り組むまちづくり

    国連で採択されたSDGsに掲げる17の目標について、本市も国際社会の一員として目標達成に向けて取り組むべく「枚方市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置付け、職員の意識醸成はもとより、本市の施策展開においてめざすべき目標をSDGsの目標と関連付ける取り組みを行います。中でも環境対策では、国や府などの取り組みと連動して、「プラごみダイエット~ポイ捨てゼロ宣言」を行うなど、国際的な指標達成に向けて、今後も引き続き取り組みます。併せて、ごみ量の削減に努める中で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律による事業者の排出者責任の観点から、事業系ごみ処理手数料を見直し、適正化に向けて取り組みます。また、枚方京田辺環境施設組合による可燃ごみ広域処理施設の整備が円滑に行えるよう京田辺市と連携して取り組みます。

    LGBTなど性的マイノリティの支援については、当事者が安心して暮らせる環境づくりをめざし、当事者の意見を尊重しながらさらなる取り組みを推進します。

    持続可能なまちづくりとして、空き家を活用した起業支援や子育て世帯誘導策など、他の行政課題と合わせた解決策につながるよう、補助制度の創設を含めて検討します。併せて、結婚新生活支援事業や三世代家族・定住促進補助金についてもより効果的な制度となるよう取り組みます。

    本年4月に改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格「 特定技能」 が創設されました。これは深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものです。今後、本市においても外国人労働者が増加することを踏まえ、支援団体等と連携し、日本語教育や多文化共生など国際化施策の取り組みを進めます。

    本市の高齢、障害、児童等の分野別の相談体制においては、これまで具体的なサービス利用への支援とともに、「ダブルケア」「8050問題」といった制度の狭間における複合的な生活課題への対応にも取り組んできました。しかしながら、本人が自ら相談に行くことができずに地域の中で孤立しているケース等については、アウトリーチの機能を強化し要援護者に寄り添い見守るなどの総合的な支援体制を整備する必要があります。国では、制度や分野ごとの「縦割り」や「支える人」「支えられる人」といった関係性を越え、住民一人ひとりが、ともに地域を創っていく「地域共生社会」の実現をめざしています。本市においても今年度に改定する地域福祉計画にこうした理念を掲げながら、これらの課題に対応できる体制を構築します。

    (8)行財政改革

    人口減少、少子高齢化社会においても、まちが成長を続けるためには、情報通信の技術革新、産業構造や人口動態の変容など、その時々の状況に応じて、効率的かつ効果的な行政運営の実現を図り、財政の健全性を維持していく必要があります。

    そのため、新たな行財政改革プランを策定し、スピード感を持って取り組むとともに、その効果額を見える化し、生み出した財源を本市の発展に活用していきます。

    今後のSociety5.0を見据え、新たに導入する、電子申請システムやキャッシュレス決済など、AI(人工知能)やICTを活用した業務の効率化と市民サービスの向上を図る「スマート自治体」の実現をはじめ、EBPM(証拠に基づく政策立案)の導入や行財政評価システムの再構築、事務事業等の定期的な見直しなどに取り組みます。

    また、指定管理者制度については、今後開設する公共施設も含め積極的に導入し、魅力ある運営の実現につなげるとともに、ごみ収集業務の民間委託拡大や、市立保育所においても効率的に子育て支援の充実を図る観点から、年1か所程度を目標に民営化を進めていきます。こうした取り組みや職員数の適正化などにより、総人件費を5%削減します。併せて、各種使用料、手数料や減免制度の見直しを行うなど受益者負担の適正化に取り組みます。

    さらに、職員一人ひとりの業務に対する意識改革と生産性向上をめざし、組織改編や超過勤務の抑制など、市役所の健康経営や職員の働き方改革の取り組みを進めます。

    また、本市における事務執行のさらなる適正の確保という観点から、入札関係不正行為排除・未然防止対策の一層の推進を図るとともに、「内部統制制度」の活用を検討します。

    市立ひらかた病院については、経営健全化に向けた取り組みを進めるとともに、経営のあり方についても検証を行います。また、水道・下水道事業については、将来にわたり健全かつ安定した運営を図る観点から、料金制度の見直しを図ります。

    国民健康保険特別会計については、保険料の適切な賦課に取り組むとともに、医療費の抑制に向けた取り組みを推進します。

    外郭団体については、さらなる経営健全化を推進するとともに、社会情勢や市民ニーズを踏まえ、行政の支援のあり方について見直します。

    また、さまざまな行政課題へのアプローチについても、常に公民連携や民間活力の活用を念頭に、民間の柔軟な発想や創意工夫を取り入れるシティプロモーション推進プラットホームを活用した取り組みを進めます。

    さらに、本市の未来が輝くものとなるよう改革を進める覚悟として、市長の給与 20%カット、退職金の不支給を継続します。

    4 終わりに

    本市の人口が40万人を下回ろうとしている今だからこそ、これまで以上に市政改革を推し進め、本市が「豊かで誇りある枚方」へと成長していく姿を市民の皆さんに実感していただきたい、そうした思いのもと、市長2期目のスタートに当たり、私の新たな決意を申し上げました。

    ただ今、述べました重点施策とあわせて、総合計画でお示ししている取り組みを着実に進め、「選ばれるまち」への評価をより確かなものにしていきます。

    そのためにも、市民、地域、事業者、大学などと行政課題や目標を共有し、それぞれの特性や資源などを生かし連携・協力する「協働」の取り組みがますます重要となると考えており、各主体のご理解やご賛同をお願いしながら積極的に進めてまいります。

    今後とも、二元代表制のもと、市議会からのご意見も十分にお聞きしながら、市政運営を推進してまいりますので、市民の皆様、議員の皆様のご理解とご協力をいただきますよう、心からお願いを申し上げ、私の所信とさせていただきます。