お笑い芸人「祇園」と枚方市市長

「祇園」×枚方市 in 牧野高校 笑いのチカラでSDGsを“ジブンゴト”に

枚方市でも取り組みを進めるSDGsを、どうすれば一人ひとりにひとごとではなく“ジブンゴト”と捉えてもらえるのか、吉本興業のSDGsアンバサダーも務めた枚方ゆかりの漫才コンビ「祇園」と伏見市長が語り合いました。

(取材日:令和4年11月)

祇園

平成20年結成。

ボケ担当で枚方市出身の木﨑さん(写真左)とツッコミ担当で京都市出身の櫻井さん(同右)の漫才コンビ。

木﨑さんは牧野高校卒業。第53回上方漫才大賞新人賞受賞。SDGs-1グランプリ2021優勝。

  • お笑い芸人「祇園」ツーショット

SDGsとは?

2015年9月に国際連合が定めた、誰一人取り残さない世界にしていくために2030年までに地球規模で協力して達成すべき具体的な目標「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)のこと。

貧困や紛争、気候変動など17の項目があります。

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「祇園」と枚方

市長
本日はよろしくお願いします。
木﨑
お待たせしました木﨑です!
櫻井
誰も待ってないですよ。今日はよろしくお願いします!
市長
木﨑さんは牧野の出身だとか。今もご実家はこのあたりに?
木﨑
そうですね、今もときどき実家に帰ります。でも高校に来るのは18年ぶりやなあ。
市長
牧野高校での思い出はありますか?
木﨑
僕はここに通ってなければお笑いをやってなかったと思います。すごく自主性を大切にする高校で、部活がない期間に空き教室で生徒主催のお笑い大会をやっていたんです。コンビで漫才をしてましたね。
市長
生徒が自分たちでお笑い大会を開くなんて聞いたことないですね!
お笑い芸人「祇園」木崎さん 
櫻井
そんなんやってたんや。コンビ名はなんやったん?
木﨑
「テンションズ」っていうんですけど。
櫻井
おもんなそう!
木﨑
あるとき地域のお笑い大会で優勝したんです。見たら分かると思うんですけど僕は目立ちたがり屋なので、校長先生に「朝礼で表彰して」って直談判したら本当に表彰してくれて。生徒のことを考えてくれる学校やなと思って、牧野高校が大好きでした。僕の原点です。
市長
櫻井さんは京都のご出身だそうですが、枚方での思い出はありますか?
櫻井
地元が伏見だったので、小さいときから家族でひらかたパークに行ってましたね。初めてメテオに乗ったときはふらふらになりましたよ。「こんなんあるんや!」って。
木﨑
僕らは芸人になってからもテレビ番組のロケでひらパーに行くことが多いんですけど、無茶なお願いもけっこうなんでもオッケーしてくれるんです。「おもろかったらええやん」っていうのがすごいですね。
お笑い芸人「祇園」櫻井さん 

伝えるこつは「楽しく、面白く」

市長
お二人が吉本興業の「SDGsアンバサダー」になられたきっかけはなんだったんですか?
櫻井
元々、僕らの所属する吉本興業がすごく力を入れていて、「SDGsをどれだけ楽しく伝えられるか」を競う「SDGs-1グランプリ」に僕らも出ることになったんです。
木﨑
自分たちでいろいろ調べて、元々あった「桃太郎」を題材にしたネタにSDGsの要素を入れた漫才で優勝してアンバサダーになりました。「桃太郎」の昔話をSDGsの観点で見るとどうなるかという設定で。優勝後はアンバサダーとして学園祭で漫才をすることも多くて、皆さん笑ってくれるのでちゃんと伝わってるんだなと感じます。「学園祭で漫才見に来ただけやけどSDGsも知れたなあ」って思ってもらえたらうれしいですね。
櫻井
「楽しく、面白く伝える」というのがアンバサダーの使命なんです。
お笑い芸人「祇園」二人で楽しそうに話す様子 
市長
それはすごく大切ですよね!ネタを作るときに気を付けていることはあるんですか?
木﨑
SDGsってかたくなりがちなんですけどそれでは笑いが起きないので、例えばそこにみんなが知ってる要素を入れるとか。
櫻井
「桃太郎」も全員が知ってる昔話で、「SDGs風にするとこうなるんや!」っていう面白さがあると思うんです。
市長
確かに見方を変えると、普段何気なくやっていることもSDGsにつながっていますね。賞味期限の早いものから食べることもフードロス削減で12番目の目標「つくる責任 つかう責任」につながりますよね。
木﨑
5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」も一人ひとりが気を付けるだけで達成に近づけますね。ちなみに、僕らは漫才の練習場所も意識してて、自然の光しか入らない非常階段でやってます。なるべくエネルギーを使わないように。
櫻井
それは吉本興業が電気消してるだけやろ(笑)
手を広げる枚方市市長

市内でも目標達成に向け取り組みスタート

市長
枚方市でも今年度、市民の皆さんと協力して取り組みを進めていくために「SDGs推進登録制度」を始めました。簡単に言うと、SDGsを〝ジブンゴト〟と捉え、どういう取り組みをするかを皆さんに宣言してもらうんです。宣言してもらった内容は市のホームページで公開しています。
木﨑
へえ、面白いですね。企業や学校も登録できるんですか?
市長
できます。実はここ牧野高校でも取り組みが始まっていて、今日は直接生徒の皆さんからお話をお聞きしたいと思います。
生徒4人
こんにちは、よろしくお願いします!
市長
皆さんは木﨑さんが牧野高校の卒業生だと知ってましたか?
生徒
最近知りました。
木﨑
最近かい!それで皆さんはどんなことをされてるんですか?
生徒
僕たちサッカー部は、毎月第一土曜の朝の一時間、牧野駅周辺のごみ拾いをしています。最初は「めんどくさいな」と思ってたんですけど、何回かやるうちにたばこの吸い殻など、今まで気付かなかった小さなごみにも目が留まるようになって。すれ違う人が「ありがとう」って言ってくれるのもうれしくて、やっててよかったなと感じています。
櫻井
えらいなあ!若い子がここまでしてくれてうれしいですね。
市長
やっててよかったと思えるのがすごいですね。
牧野高校サッカー部の二人と話すお笑い芸人「祇園」
生徒
私たち「Making Makino」というグループは枚方市の登録制度に登録して活動しています。校内に箱を設置してペットボトルキャップを集めて、集めたキャップは企業に渡してリサイクルをしているんです。回収率を上げようと「あなたは犬派?猫派?」みたいな二択の質問に投票するかたちでキャップを集められないかと考えています。
木﨑
そのシステムいいですね!
櫻井
投票に参加したら、実はそれがSDGsでしたっていうのがいいですよね。
木﨑
いつか「『祇園』を知ってる?知らん?」の二択でやってほしいなあ。「知らん」が多かったらショックやし、もう教えてくれんでいいから。
一同
(笑)
SDGs推進登録制度の詳細

〝ジブンゴト〟にしてもらうには

市長
令和3年10月に開催した市の教育イベント「GIGAフェス」ではパネルディスカッションの司会を務めていただきましたね。
木﨑
生まれ育った枚方での仕事は感慨深いですね。GIGAフェスもめっちゃうれしかった。今の子どもたちは学校でタブレットを使って勉強してると知って、教育のレベルがすごく上がってるんやなと感動したのも覚えてますね
櫻井
会場の総合文化芸術センターもすごくきれいなホールでしたね!僕らは普段森ノ宮の劇場で漫才やってるんですけど、あそこでも漫才したいな。
木﨑
枚方ゆかりのコンビが集まる「枚方芸人のつどい」っていうイベントもときどきやってるんですけど、次はぜひ総合文化芸術センターでやりたいですね。
お笑い芸人「祇園」手を広げて説明する様子
市長
ぜひお願いします!そういえば、SDGs-1グランプリで優勝したネタは4番目の目標「質の高い教育をみんなに」がテーマでしたね?
木﨑
僕ら2人とも親が教師なので、自然と教育分野に寄って行ってしまうのかもしれません(笑)
櫻井
芸人やのに真面目やなって言われることが多いですね。
市長
木﨑さんはお子さんがおられるそうですが、どんな教育を?
木﨑
自分が裸になったり変なことしたりしてる番組は見せないようにしてます(笑)
櫻井
質の高い教育とは言えませんからね(笑)
木﨑
まだ1歳なので何かを習わせるとかは早いんですけど、もう少ししたらそれこそ僕らの漫才みたいに、絵本をSDGsっぽく読んであげるのもいいかなと思います。
お笑い芸人「祇園」枚方市市長と話す様子
市長
なるほど。SDGsの達成目標である2030年まであと8年なので、今後さらに多くの市民や企業に取り組みを始めてほしいですね。
木﨑
例えばSDGsを頑張った人に市長が表彰とか、賞をあげるとかしたら頑張る人が増えるかもしれないですね。さっき話した、僕が高校時代に朝礼で表彰してもらったみたいな。
櫻井
確かにうれしいよね。
木﨑
SDGsという言葉ももっと広まってほしいですよね。まもなく賞味期限がきれる食品ってスーパーで「訳あり品」って書かれることがありますけど、「SDGs割引」っていう名前にするとか。自分たちの日常に入り込むというか、身近になればもっと〝ジブンゴト〟として取り組んでもらえるかなと思います。
櫻井
学生時代、学校に飲み物の自動販売機があって、空き容器を入れると10円返ってくる機械があったんです。みんなそこに入れに行っていて、何か取り組む側にもメリットがあるといいですよね。
木﨑
生徒の皆さんが言っていたように、楽しもうと思って参加したら、実はそれがSDGsだった、みたいな作戦もいいですね。個人でできることをしていって、みんなの力が合わさって大きい力になりますよね。
市長
たくさんアイデアが出てきますね!お笑いや、みんなの関心があることなど、「楽しいこと」とセットになることで、かたいと思われがちなSDGsにも〝ジブンゴト〟として取り組んでもらえるのかもしれませんね。いただいた提案をもとに取り組みが広がるよう工夫していきたいと思います。「祇園」のお二人には今後も枚方市にぜひ関わっていただければありがたいです。
木﨑
ぜひぜひ!
櫻井
よろしくお願いします!
市長
本日はありがとうございました。
牧野高校の生徒と校内を歩くお笑い芸人「祇園」

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