広報ひらかた

未来へつなぐ、水

 蛇口をひねれば当たり前に出てくる安全・安心な水。私たちの生活に欠かせないものですが、全国的に老朽化した水道管などの更新が課題となっています。8月1日の「水の日」に合わせて、当たり前を支える仕組みや取り組みを紹介します。

 問合わせ先、上下水道総務課 電話848-4196、ファクス848-8255


【1】磯島取水場

1日最大プール約370杯分の水を取り込む

 淀川の取水口から口径1650㎜の取水管で1日最大13万㎥(学校のプール約370杯分)を取水しています。取り入れた水から、小石などを沈めて取り除いた後、導水管2本で浄水場へ送ります。

淀川

取水

▲小石などを沈める沈砂池


メダカは水質の守り神

 取水した淀川の水や浄水処理後の水に有害物質がないか、取水場や浄水場のメダカの動きをモニターで観察して確かめているよ。

コントロール室のモニターで観察▶

枚方市上下水道局キャラクター

アクリン

【2】中宮浄水場

市の水道水の約87%を作る

 取水場から送られてきた水に薬品を混ぜ、濁りを大きな塊にして沈ませ取り除きます。さらにその後、ろ過した水を高度浄水処理し、配水場などに送ります。また、市内の全水道施設の情報をここで24時間監視しています。

▲水の濁りを塊にして取り除く凝集沈殿池



安全な水を届けるための検査【1】

毎日の水質検査

 取水した水や浄水処理後の水などの安全性を確認するため、色濁りや塩素濃度などを毎日検査しています。


【3】配水施設

市内19カ所から家庭などへ水を送る

 浄水場で作られた水道水を19カ所の配水場などに貯めています。各家庭などへの配水では土地の高低差を利用して水が自然に流れるように、市内の配水場は高台に設置されています。

北山配水場▶


安全な水を届けるための検査【2】

配水施設の残留塩素検査

 家庭に送る水の塩素濃度は機械で常時監視しているほか、週に一度、職員が採水し検査機器を使って確認しています。


【4】蛇口をひねればいつでも安全・安心な水

【5】渚水みらいセンターほか(下水処理施設)

環境にやさしいきれいな水に

 ごみや砂、小さな浮遊物(汚泥)、環境に悪い影響を与える窒素やリンなどを取り除き水をきれいにします。取り除いた汚泥は焼却し、灰は埋め立てなどに利用します。

※渚水みらいセンターは大阪府の施設です


川へ放流

 汚れた水はきれいにしてから川へ放流するんだね。


小学校などへの出前授業

 水の大切さを伝えるため、小学校などへの出前授業を実施。授業では、浄水場で使われるものと同じ薬品で濁りを取り除く実験(写真)や、水道水と市販のミネラルウォーターを飲み比べる利き水体験を行っています。


安全・安心な水を届け続けたい

令和10年、中宮浄水場をリニューアル予定

▲完成イメージ

 昭和40年代に建てられ長年水道水を作り続けてきましたが、老朽化が進み、耐震性も不足することから、建て替えを進めています。新しい施設では最新の「膜ろ過方式」を導入し、安全・安心な水を届け続けられるようになります。


「膜ろ過方式」って?

 無数の細かい穴が空いたフィルターに水を通してろ過する仕組み。砂や泥はもちろん、細菌類や微生物も除去できます。


上水道工務課

錆ニモマケズ、地震ニモマケズ

水道管の老朽化対策

 市内の地中に埋まっている水道管の多くは高度経済成長期に整備されたもので、法定耐用年数(40年)を超えているものも残っています。このような更新が必要となる管は経年とともに増加していく見込みのため、順次更新をしています。

吊っても抜けずに曲がるしなやかで地震に強い新しい水道管!

日本ダクタイル鉄管協会提供


市内に埋まっている水道管は全てつなげると
約1190㎞で大阪〜沖縄の直線距離とほぼ同じ!

▲さびて今にも穴が開きそうな水道管。放置すると水漏れが発生するおそれも

更新!

▲取り換え後の水道管


上下水道政策課・上水道保全課

宇宙から水漏れ発見!?

人工衛星とAI解析で漏水検知

 水道管が破損して水が漏れると断水や通行止めが発生する場合も。そのような事態を防ぐため、より効率的に漏水箇所を発見できるよう、今年度、人工衛星とAI解析を活用した漏水検知調査を行います。この調査で、市内全域の漏水が疑われる箇所を絞り込み、その後、調査員による音聴などの二次調査で漏水箇所を特定し、修繕します。

⑴ レーダー照射

⑵水道水と非水道水で異なる特性の反射

⑶ 衛星で取得した画像データをAI解析し、漏水可能性エリアを直径200mの範囲で抽出

⑷ 抽出エリアの水道管の音を聴いて漏水箇所を特定(音聴調査)

水道水

非水道水


上下水道財務課

水道事業は原則、独立採算制です

 水の浄化や、水道水を各家庭などへ安定して送るための配水場や水道管の維持・更新など、これらの水道事業の運営は、税金ではなく主に水道料金により賄われています。

水道料金
= 基本料金(使った水の量に関わらず徴収する料金)
+ 従量料金(使った水の量に応じて徴収する料金)


実は枚方市の水道料金は府内で2番目※に安いんだ!)

 ※口径が20㎜の水道メーターで1カ月20㎥の水を使用した場合


水道料金 府内平均との比較

令和6年12月25日現在

1カ月あたりの使用量 府内平均(10m3/月):1155円
1カ月あたりの使用量 枚方市(10m3/月):992円

府内平均より約14%安い!


1カ月あたりの使用量 府内平均(20m3/月):2778円
1カ月あたりの使用量 枚方市(20m3/月):2290円

府内平均より約18%安い!


上下水道総務課

水道料金は災害対策にも活用しています
災害時の給水体制

 災害時に断水が発生した場合、避難所や断水地域に応急給水を行う体制を構築しています。

水を貯めておける19カ所の配水場など

給水車などで水を運搬

避難所などで給水バルーンに貯水し、必要に応じて給水


備蓄水は3リットル×3日以上×人数分

 生命維持に必要な飲料水の量は、1人1日約3リットルと言われています。各家庭では家族の人数分の備蓄水を最低3日分以上(=1人あたり9リットル×人数分)、常にストックしておきましょう。


これからも当たり前を届け続けるために

 今回は皆さんへ安全・安心な水を届ける仕組みや、それを維持・向上させる取り組みをご紹介しました。今回取り上げたもの以外にも、老朽化対策や耐震化が必要な施設はたくさんあります。今後も、「水」という生活にとって欠かせない当たり前を届けられるよう、水道事業に取り組んでいきます。

上下水道総務課
係長 大上 明彦