広報ひらかた

市民登場

No.740

食育活動で内閣府エイジレス章

中尾 英夫さん

 ◆なかお ひでお
 平成20年から自身の農園で有機野菜の収穫体験を磯島小学校3年生を対象に開催。令和3年度内閣府エイジレス章受章。磯島元町在住。79歳。

 11月下旬、磯島小学校3年生83 人が学校前の畑で里芋や大根など13 種類の野菜を収穫しに訪れた。「でかっ。めっちゃとれる」「キャベツってこんな感じで生えてるんや!」子どもたちから笑顔と歓声が広がる。「ストレス発散していきなさい。土に触ると元気になるよ」。畑では年間約20 種類を有機栽培している。「いろんな野菜がどんな風に育つのか見てもらい自然のまんまのおいしさを知ってほしい」との想いから家に持ち帰り親子で味わってもらっている。

 高校卒業後、郵便局に就職。9回の転勤を経験し、その土地や人になじみながら45年間勤め上げた。退職後は地元・枚方に戻り自治会活動などで地域とつながり続け13年前には磯島小学校から自身の農園での収穫体験の依頼が。農業はほぼ未経験ながら安全安心な野菜を食べてもらいたいと有機栽培を独学し実践した。「当初は野菜が育たず大変でした」と振り返る。これまで胃がんなど手術を5回も受ける大病を経験し半年前には圧迫骨折も。「病気をしても元気でいられるのは畑の存在が大きい」と今もほぼ毎日、畑に向かう。「野菜は正直。手を抜いたらすぐに結果に出るから」と心を込めて世話をする。

 内閣府エイジレス章は生き生きとした生活を実践する高齢者に贈られる。子どもたちへの長年の食育活動が評価され受章した。「こんな章があるなんて。かつての職場・郵便局OB会から推薦してもらったこともうれしくて」と笑顔を浮かべた。

 収穫体験の最後に「みんなの元気な姿を見られることに感謝しかありません」と深々と頭を下げると子どもたちから自然と拍手が起こった。「命ある限り誰かの役に立ちたい。日々、勉強と感謝ですな」。冬でも日に焼けた顔は充実感にあふれている。