広報ひらかた

市民登場

No.739

OSK日本歌劇団 男役スター

翼 和希さん

 ◆つばさ かずき
 三大少女歌劇の一つで大阪を拠点に各地で公演を行うOSK日本歌劇団に平成25年入団。歌唱力に定評があり主演経験多数。来年2月、大阪松竹座での同歌劇団創立100周年公演に出演予定。

OSK創立100周年を迎える来年は自身にとっても入団10年目という節目の年。2月の記念公演を前に「歴史を感じながらOGやファンの皆さんに感謝の気持ちを込め臨みたい」と意気込む。

 男役を目指したのは中学2年生の秋。部活でバレーボール漬けの日々を送っていたが、演劇部の姉2人が観ていた歌劇のDVDに釘付けになった「男役になりたい。雷に打たれたような感覚でした」。両親の応援でダンスやバレエ、声楽を習い数年間の鍛錬を経て研修所に入学。「つらさよりも歌やダンスに囲まれ幸せでした」と振り返る。壁を感じたのは入団5年目。約2年間、小劇場公演で主演を務めたが相談する先輩がいない中、役作りや作品の方向性をうまく決められず若手をまとめるのに苦しんだ。おととし久々に松竹座に先輩たちと出演すると当時のトップスター桐生麻耶さんから「良かったよ」と声を掛けられた。「葛藤してきたからこそ一つの正解にたどり着いた気がして。自信がつきました」

 コロナ禍で昨年3月から10月までは公演ができずオンライン配信を経験。カメラに向けての演技に戸惑いを感じた。半年ぶりに観客を入れた公演でどん帳が上がる前拍手が沸き起こると涙がこぼれた。「舞台は生もの。お客様がいないと成立しない双方向のディスカッションだと痛感しました」

 「抜け感」のある自然体の男役を体現しようと私生活では映画や演劇鑑賞、街中での人間観察、体のメンテナンスを欠かさない。目下の夢は生まれ育った地元に誕生した総合文化芸術センターで舞台を実現させること。「七夕伝説をテーマにした演目ができたらすてきですね」。歌劇界で一人前を表す「男役10年」を目前に、支えてくれる家族やファン、枚方への恩返しの想いを強くしている。