広報ひらかた

総合文化芸術センター開館直前特集

「枚方の新たなランドマーク、期待しています」

市PR大使・俳優 辰たつ み 巳琢たくろう郎さん

〈プロフィル〉

 京都大学文学部在学中に「劇団そとばこまち」を主宰。卒業と同時にNHK朝の連続テレビ小説「ロマンス」で全国区デビュー。ワイン通としても知られ、「日本のワインを愛する会」の会長に就任。フジテレビの「くいしん坊!万才」出演以来、地域おこしにも熱心で、観光庁アドバイザーも務める。枚方市には結婚後、昭和57年〜平成5年の12年間在住した。


総合文化芸術センター開館直前特集

 平成30年から整備工事を進めてきた枚方市総合文化芸術センターがいよいよ開館します。こけら落としとなる8月30日の「辰巳満次郎×野村萬斎」能楽公演を皮切りに国内外の著名なアーティストの公演が目白押し。市民の文化芸術活動発表の場として施設利用の申し込みも始まっています。枚方市駅前に誕生する新たなランドマークを、枚方市PR大使で俳優の辰巳琢郎さんと一緒に巡りました。

 問合せ先、文化生涯学習課 電話841-1409、ファクス841-1278


 正面玄関を入ると広がる吹き抜けのエントランスロビー。関西医大 大ホールをはじめ、関西医大 小ホール、ひらしんイベントホール、ひらしん美術ギャラリーへとつながり、開放感ある空間が全てのお客さんを出迎えます。床一面のフローリングはスクピラというブラジル産の木材を使用。硬くて傷がつきにくい耐久性が特徴で、壁に積み上げられたレンガとの相性も抜群。重厚感ある非日常空間を演出しています。


 大ホールのステージ上で手を大きく広げる辰巳さん。客席までの距離が近く、3階最後列までは約28m。観る側と演じる側との一体感が魅力です。


 座席の背もたれには空調システムが埋め込まれ、内部を循環する水が放射する熱や冷気で温度環境を調節。コンサート中などでも空調音を抑えることができます。

大ホール
こだわりの音響を体験

 「うわー、残響がすごい。遠くまで声がよく届きますね」。ステージに立った途端、自らの声の響きに驚いた辰巳さん。同行していたソプラノ歌手で娘の真理恵さんに「歌ってみてよ」と促し、真理恵さんは急きょプッチーニ作曲オペラ『ジャンニ・スキッキ』より「私のお父さん」を披露。辰巳さんは客席を歩き回りながら歌声の響きに耳をすませていました。これまでバイオリン奏者の古澤巌さんやいくつものオーケストラとのジョイントなど、多くのコンサートの演出や司会を手掛けてきた辰巳さんは「トークの時でもマイクいらないんじゃない?」と、大ホール一番のこだわりである音響の素晴らしさを体感しました。

 1500近い座席がありながらステージと客席の距離が近いのも大きな特徴で「音楽でも演劇でも一体感が出てすごくやりやすそう」と舞台から客席を見渡して声をあげた辰巳さん。ステージとほぼ同じ広さの地下1階・リハーサル室ではダンスのステップを踏むように床を強く蹴り、材質を確認しながら「公演にも使えるんですね。こういう部屋はいくつもあった方がありがたいんですよ」と演者目線で職員へ次々に質問しました。センターでは年間多くの事業を予定しており、「ホールの規模が大きいので、例えば全国の劇場と手を組んでオペラをやるとか、平均点に留まらない突出した特色をぜひ出してください」と期待を込めました。


原点思い出す
小・イベントホール

 辰巳さんがひときわ強い思い入れを見せたのは小ホール。「演劇人としては一番興味があります」。京都大学在学中に劇団「そとばこまち」を率いて80年代関西演劇ブームの立役者に。大阪や京都の小劇場で芝居に打ち込む青春時代を送りました。そんな「俳優・辰巳琢郎」の原点は高校時代に出会った劇作家つかこうへいの芝居。「熱量がすごくてね。あの一体感は忘れられない」と振り返ります。ステージに上がると「(舞台セットやパネルを吊り下げる)美術バトンは何本?8本ですか。音響反射板もあるんですね。材質は木材?」と矢継ぎ早に質問が続きました。イベントホールに移動すると、客席のないフラットな空間を確かめながら「学生の時に使ったホールを思い出すね」と懐かしそうな表情に。2つのホールはすでに市民の利用申し込みが多く入っており、「小回りが利くので学生にも使いやすそう。ここで手作りの演劇を企画してほしいなあ」。


文化芸術は今こそなくてはならないもの

 「駅から近いのは大きな魅力。市内外から広く人を呼び込めるし、枚方の新たなランドマークになりますよ」。芝生広場にはカフェやテラス席も併設。公演がない日にもふらっと立ち寄れます。開館記念公演チケットが30分弱で完売したと聞き、「皆さん待ち望んでいたんですね」と辰巳さん。最後にまちづくりの夢を語ってくれました。「施設はどう使うかが重要です。岐阜県の可児(かに)市には俳優やスタッフが市民と一緒に演劇を作り上げていくプロジェクトがあるんです。俳優たちが長期間滞在してワークショップを開催し、文化創造のまちとしてにぎわうようになりました。コロナが長期化して分かったことは音楽や舞台は決して『不要不急』のものでないこと。心の癒しが求められる中、なくてはならないものです。文化を軸に、人を大切にする枚方であってほしいですね」。


▲辰巳真理恵さんは枚方出身。
平成27年にはメセナひらかた会館で開かれたコンサートに出演しました。

京阪電車「枚方市駅」から徒歩5分。

【本館】〒573-1191 新町2-1-60
【別館(旧メセナひらかた会館)】〒573-1191 新町2-1-5電話843・5551、ファクス843・5700

建築面積約7000㎡。延床面積約1万4400㎡。
地上5階、地下1階。高さ約29m。駐車場102台(有料)。
3つのホールと美術ギャラリーの名称はネーミングライツ(企業などの命名権)による愛称です。

関西医大 大ホール

 音楽や演劇などの公演をはじめ大規模集会にも使える高機能ホール。


【客席】1468席(1階836席、2階392席、3階240席。 身障者用8席含む。親子室1室あり)。
【楽屋】7室で定員80人。
【舞台装置】走行式音響反射板、オーケストラピット、 舞台せり。


スタインウェイ&サンズのフルコンサートグランドピアノを前にポーズ。

優れた音響を生み出す壁のレンガを確認。小ホール・イベントホールにも使われ、地震などの揺れにも強い。

ひらしんイベントホール

 小規模演劇やミニコンサート、講演会などさまざまな利用に対応できる多目的ホール。専用の搬入スペース、控室を備え、飲食を伴うレセプション、パーティーにも。天井が2階までの吹き抜けとなっており、ステージ位置も変えられる柔軟な利用が可能。

【 客 席 】ホール形式200席程度、スクール形式120席程度。
【舞台装置】移動式舞台など。

ひらしん美術ギャラリー

 前面ガラス貼りの展示室は可動壁により分割して利用可能。中央部は大型絵画も展示できる3. 5mの天井高を確保。専用の搬入スペース、控室、事前の作品預りスペースを備え、ギャラリー前には市所蔵作品の公開スペースも。


関西医大 小ホール

 演劇や音楽公演、発表会などさまざまなジャンルに対応する高機能ホール。

【 客 席 】325席。身障者用2席、臨時席14席含む。
【 楽 屋 】3室(定員30人)。
【舞台装置】吊り下げ式音響反射板など。


天井を見上げて舞台装置について質問する辰巳さん。

「300席は演劇にちょうどいい大きさですね」と会場を見回しました。

2階の窓際にある情報コーナーでほっと一息。目の前に広がる緑に癒されます。

「道路に面しているし人がふらっと立ち寄れるイベントができたらいいですね」と辰巳さん。芝生広場のイベント利用も受け付けています。

辰巳さん直筆サイン3人にプレゼント

 はがきまたはファクス・市ホームページの応募フォームに住所・氏名・電話番号、記事の感想を書いて〒573―8666市広報プロモーション課へ。8月15日必着。1人1通。当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。

 問合せ先、広報プロモーション課 電話841-1258、ファクス846-5341

館内図1F

 正面玄関から直進するとさまざまなアーティストの公演が開かれる大ホールへと続きます。メイン階段を上って非日常空間を味わいましょう。