広報ひらかた

市民登場 No.732

作曲家

酒井 格さん

◆さかいいたる 平成21年から選抜高等学校野球大会で使用される入場行進曲の編曲を担当し、今年で13回目。大阪音楽大学・同大短期大学部の作曲講師。東香里在住。50歳。

 作った曲は200以上。「いかにそれぞれの楽器の音色を生かせるか、奏者が気持ちよく演奏できるかを意識しています」。代表作は香里丘高校在学中に独学で作曲した「The Seventh Night of July」、通称「たなばた」。今なお世界中で演奏され、吹奏楽界では知らない人はいない名曲だ。「七夕伝説が残る枚方で生まれ育ったことが影響しているんです」。母親が趣味でしていた合唱でピアノに出会い、5歳で習い始めた。6歳ごろには簡単なピアノ曲を作るように。「楽譜を書くのがお絵描きするような感覚で楽しかったんです。それは今も変わりませんね」。
 数多くの団体やアーティストから作曲や編曲の依頼を受ける。センバツ入場行進曲もその一つだ。今年はコロナ禍で中止になった前回大会と同じ、米津玄師さん作詞・作曲の「パプリカ」。1月上旬に曲が決定してから1日4〜5時間を編曲作業に充て、約1週間で完成させた。2月2日に大阪市の花博記念ホールで行われたレコーディングでは、大正12年から続くプロ吹奏楽団「オオサカ・シオン・ウィンド・オーケストラ」の演奏を聞きながら、「ここはアクセントにならないようにしてください」「テンポを少し速くしましょう」と気付いたことを指揮者に伝える。「高校球児や観客が元気になってくれるとうれしいですね」。
音楽を仕事にし、音楽を通してできた友人も数えきれない。80歳になっても作曲を続けていたいと笑顔で話す。「作曲で苦労したことはありません。どんな曲にしようか悩む時間が楽しくて仕方ないんです」。音楽との二人三脚はまだまだ続く。