市民登場 No.731
顔ヨガインストラクター
石川 ななこさん
◆いしかわななこ 全国に3人しかいない顔ヨガ協会認定講師として、インストラクター養成や普及に努める。常温ヨガスタジオ「スタジオグリーン(大阪市天王寺区)」代表。北中振在住。44歳。
顔のパーツをぜんぶ真ん中に寄せるイメージで!そうそう、いい感じですよ」―。約60ある顔の筋肉をほぐして鍛える顔ヨガ。血行が良くなることで、むくみ解消や引き締め効果が期待できるため、女性を中心に人気だ。「表情筋を動かすことで、脳の活性化にもつながるんです」。1日2分~3分でできる手軽さも魅力で、受講者からは「気持ちが前向きになった」、「人間関係が良くなった」との声が聞かれる。「表情が変わると人生が変わるんです」。
ヨガとの出会いは健康への強い思いから。小学6年生のとき、父をがんで失った。「約6年間の闘病の末、42歳で亡くなったんです」。自らも首の血管腫で気道が圧迫される病を患い、20代で5回もの手術を経験。「健康のありがたさを痛感しました」。病気にならない体づくりのため、ランニングを始め、ホノルルマラソンを完走するまでに。「でも膝を痛めてしまって」。そんな時、心と体は一体と説くヨガに出会った。「身体を整えることで、父の死や自分の病気を受け入れることができたんです」。もっと多くの人にヨガの素晴らしさを伝えたいと34歳でスタジオを立ち上げた。慣れない経営に苦戦しつつも、ヨガへの探求心は尽きず、顔ヨガ創始者から直接指導を受け、西日本唯一の協会認定講師に。「自分で自分の顔を変えられることで、自信につながるんです」。スタジオの経営も軌道に乗り、創立10周年を迎えようとする矢先、コロナ禍が襲う。「対面の講座が開けず、ウェブなどできることを始めましたが、かなり厳しいですね」。一方で感染への不安とマスクで表情が乏しくなりがちな今だからこそ、誰もができる顔ヨガの可能性に期待を寄せる。夢は「一人でも多くの人に心身ともに健康になってもらい、人生を楽しんでもらうこと」。逆境にあっても笑顔は絶えない。