広報ひらかた

市民登場 No.728

色鉛筆アーティスト

宝珍 幸子さん

◆ほうちんさちこ 毎年6000通以上の応募がある「大人の塗り絵コンテスト」で平成29年に上位13作品に入賞、その後も日美展で優秀賞など入賞を続ける。楠葉朝日在住。64歳。

 どの作品も水面の波紋や動物の毛並みがリアルに描かれ、写真と見間違えるほどだ。昨年4月にくずはアートギャラリーで開催した自身初の個展では「本当に色鉛筆?」と見る人を驚かせた。試しに応募したコンクールの色鉛筆部門で初入賞、その後も2年続けて入賞を果たしている。
 実は色鉛筆画を本格的に描き始めたのはわずか4年前。子どものころから絵が得意で、小学校で応募する市のコンクールではほぼ毎回入選。高校生ごろから遠ざかったが、子育てが落ち着いた40代からは「やっぱり自分には絵しかない」と念願だった日本画や、型紙を使って染料で模様を染める「型染」を学んだ。平成25年、「大人の塗り絵コンテスト」に型染で入選し、入選者対象のインストラクター養成講座で色鉛筆画に出会った。最大の魅力は「準備も片付けも簡単で、紙と色鉛筆さえあれば誰でもすぐできること」。
 一つの作品にかける期間は3時間~1カ月と、題材や背景の塗り込み方によって大きく変わる。「影や質感を重視して自分なりに感じたものを描いています」。60歳ごろからは「色鉛筆画の楽しさをもっと多くの人に知ってほしい」と枚方市や大阪市、神戸市の合計5カ所に教室を開講し、描き方をアドバイスする。「技術の上達ももちろんですが、とにかく楽しんで長く続けてもらいたいんです」。
 今一番描きたいのは風景画だ。「山の中にある川や滝、樹齢数百年以上の木々など、自然の醸し出す神秘的な雰囲気を表現できるようになりたくて」。そのためにさまざまなテーマや技法を試し、貪欲に技術の上達に努める。「自然の偉大さを感じ取れるような、そんな自分にしか描けないものが描きたいんです」。色鉛筆アートの道はまだまだ続く。