広報ひらかた

高校生が伝える、プラスチックごみ問題

 安くて軽くて便利なプラスチック。もはや私たちの生活になくてはならないものですが、ポイ捨てなど適切に処理されないことによる環境問題が深刻化しています。今回は枚方高校の学生17人による「枚方プロデューサーズ高校生」が4つのグループに分かれ取材。未来を担う若者たちが、プラスチックごみ問題を分かりやすくお伝えします。
 問い合わせ、環境政策室(環境保全担当)電話050-7102-6005 ファクス849-1206、
 広報プロモーション課 電話841-1258 ファクス846-5341

府立枚方高等学校
市内初の府立高校として昭和38年に創立。普通科に加え平成4年には国際教養科(来年度より国際文化科)を開設し、国際教育にも力を入れる。在校生約960人。
<取材>
佐藤 啓翔さん
東 愛由美さん
石飛 ひなたさん
井本 明莉さん
山口 琉音さん
大塚 芽依さん


世界をむしばむプラスチックごみ


年間800万トンが海へ  ポイ捨てされたり、ごみ箱からあふれ出したりしたプラごみは風や雨で川から海へ。世界で年間800万トンが海に流入し、このままでは2050年には、海洋中のプラスチック重量が魚の重量を上回るという衝撃的な予測も。大阪湾ではレジ袋約300万枚、ビニール片約610万枚が沈んでいると推定されています。


人も汚染する海洋プラスチックごみ  プラごみは海鳥や魚などが絡まったり、餌と間違って食べてしまったりと多くの生物に悪影響を及ぼしています。また、時間が経つと太陽光による紫外線や波の摩擦で細かく砕かれ、直径5ミリメートル以下のマイクロプラスチック(写真左上)になります。海中の有害物質を吸着することもあり、食物連鎖を経て人間を含めた生態系に悪影響を与えることが懸念されています。


「市長が宣言」プラごみダイエット~ポイ捨てゼロへ

 市は昨年6月に「プラごみダイエット~ポイ捨てゼロ」を宣言しました。この宣言をもとに、海洋プラスチックごみ問題解決のため、「ポイ捨てしない・させない環境づくり」やレジ袋などの使い捨てプラスチックの使用削減に取り組みます。
「1万人に賛同の著名を呼び掛けます」環境政策室 齊藤 真也


伝える!私たちの枚方
誕生、ひらかたプロデューサーズ高校生

 ひらかたプロデューサーズとは市の呼び掛けで集まった枚方愛をPRする人たちの集まり。SNSで「#ひらぴー」をつけて発信したり、ミーティングでアイデアを出し合ったりと10代~70代の老若男女209人が活動しています。
 「ひらかたプロデューサーズ高校生」は枚方高校の小嶋信男校長から市への「生徒にもまちづくりの経験を」との熱い申し出から誕生しました。活動の第1弾が今回の特集。今後、市の取り組みについて自分の考えを述べたり 、 枚方愛あふれる市民と意見を交わしたりすることで 、 まちづくりに関わっていきます。


取材.1 ポイ捨て調査

拾って気付いた身近なポイ捨て

2時間で18キログラム収集
 9月22日、枚方高校の横を流れる天野川沿岸にどのぐらいのプラごみがあるのかを調査しました。参加したのは生徒11人、先生2人、市環境部職員2人の15人。午前10時に学校をスタートし、禁野橋で折り返し。約2時間で収集したごみは18キログラムにもなりました。

ビン・カン等 7.5㎏
燃えるごみ 4.7㎏
プラスチック 5.8㎏

街中にたくさんのごみが捨てられていることを実感
 「あんまりごみは落ちてないだろう」―。そう思っていたのに実際は、側溝やベンチの裏など、普段は目立たない場所にポイ捨てされていました。毎日何気なく見ていると気づきませんでしたが、探してみると街中にはたくさんのごみが捨てられていることを実感しました。


ポイ捨ては条例違反!2万円以下の罰金も

 市は、平成14年にポイ捨てと犬のふん放置を禁止する条例を制定しました。違反すると2万円以下の罰金が科せられることがあります。プラごみ問題の解決への第一歩は、一人一人が「絶対にポイ捨てしない」という意識を持つことです。



取材.2 市民の環境保全活動

プラごみ減量に特効薬なし
一人一人の小さな積み重ねが大事

地球温暖化対策や環境保全に取り組むNPO法人「ひらかた環境ネットワーク会議」の丸井さんにインタビューしました。


Q.プラごみを減らす方法を教えてください

A.まずはごみになる使い捨てプラスチック製品の使用を減らしましょう。具体的には、レジ袋ではなくエコバッグを使う、ペットボトルではなく、マイボトルを使う、といった身近なことです。プラスチックに依存した現代社会でプラごみを減らすには、これをやれば完璧という特効薬はありません。一人一人の小さな積み重ねが本当に大事なんです。


Q.環境にどんな影響を及ぼしていますか?

A.近年、プラスチックごみと地球温暖化の関連性が指摘されています。石油でできたプラスチックを燃やすことで二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されるだけでなく、マイクロプラスチックが海洋の植物性プランクトンの光合成を阻害し、空気中の二酸化炭素濃度が高まっているという説もあります。


Q.私たちに伝えたいことはありますか?

A.今、生きている私たちは次の世代に美しい環境を引き継ぐ義務があります。若い皆さんにはさまざまな問題の根本や実態を突き止める姿勢を持ち、いっぱい学んでほしいですね。頑張ってください。


丸井 晶子さん
NPO法人 ひらかた環境ネットワーク会議
 市民・事業者・行政が協働して環境にやさしいまちづくりを進めるため、平成18年に設立。地球温暖化対策や環境保全に関する講座等を開催している。サプリ村野内(電話847-2286、ファクス807-7873)


私たちにできる!プラごみを減らす方法

・レジ袋の代わりにマイバッグを使う
・ペットボトルの代わりにマイボトルを使う
・ストローは使わない
・マイスプーンやマイフォークを使う


取材.3 枚方市環境部

捨てればごみ、分別すれば資源。

 プラごみを減らす上で、大切なポイントは「ごみの出し方」です。9月18日、穂谷川清掃工場にある環境部を取材し、正しいごみの分別方法についてお聞きしました。


一般ごみの20%以上はプラスチック類
 市は年数回、ごみの組成分析を行っています。その結果、一般ごみの中にはプラスチック類が20%以上あり、リサイクルできる容器包装プラスチックも多く含まれています。特に一人暮らしの若者が出したごみは分別されていないことが多く、市は、ごみ分別アプリを紹介したり、チラシを配ったりしているそうです。ちなみに「かざぐるま」に搬入される市のプラスチックごみは年間約4900トン。私たち一人一人が分別を徹底すればプラスチックは「ごみ」ではなく、「資源」として生まれ変わることができるのです。


市の清掃工場に1日に運び込まれる
一般ごみは平均約220トン(収集車約180台分)にもなります。

ごみを出す時のお願いです!

□正しく分別する!
□水気はしぼって軽量化!
□竹串や爪楊枝は何かに包んで捨てる
(収集の際にケガをしてしまうことがあるそうです)
□食べ残しをしない!


取材.4 リサイクル施設

リサイクルは多くの人のおかげ。

 私たちが出したプラごみはどのように処理されているか知っていますか? 9月28日、北河内4市リサイクルプラザ「かざぐるま」(寝屋川市)を取材し、具体的なプラごみの処理方法についてお聞きしました。


1日最大53トン選別は人の手
 収集されたプラごみは一旦ピットに貯留され、受け入れコンベアに流されます。ごみ袋から出された中身は機械で重いものと軽いものに分別。その後、選別コンベア(写真上)で人の手によってペットボトル、プラスチック製容器包装、異物に分けられます。作業で困ることは、ペットボトルに付いたキャップとラベルを一つ一つ外すことだそうです。私たちが外して排出すればもっと分けやすくなります。プラごみを出すときは選別する人のことを考えないといけないと思いました。
 プラごみを貯留できる許容量はわずか2日分。「ライターや電池が交じって火災が発生し、施設が止まったことがあります。異物は絶対に捨てないでください!」

リサイクルプラザ「かざぐるま」とは?
 北河内4市(枚方市・寝屋川市・四條畷市・交野市)の家庭から出されたプラごみを、ペットボトルとプラスチック製容器包装に分けて、それぞれを圧縮・梱包する施設です。梱包物はリサイクル施設などに運ばれ新たな製品へ再生利用されます。

リサイクルの対象は2種類のマーク

 リサイクルの対象は飲料や醤油、酒などの「ペットボトル」と、中身を使った後に不要となる容器や包装「プラスチック製容器包装」の2種類だけ!上のマークが目印です。ボトルやチューブは中身を使い切り、汚れがあるものは残り水などで軽くすすいで、無色透明か白色半透明の45リットル以下のポリ袋に一緒に入れて排出してください。

◆ペットボトル
◆ボトル・チューブ類
◆カップ・パック・トレイ類
◆袋・ラップ類・その他

注意!
間違いやすい!プラはプラでもプラスチック製品は「一般ごみ」

おもちゃやバケツなど材質はプラスチックでも容器や包装でない「製品そのもの」は「一般ごみ」に出してください。


 おわりに

私たち一人一人の力で世界はちょっと良くなる。
 取材を通じて「プラごみは私たち一人一人の問題」と実感しました。できるだけプラ製品を使わない、正しいごみの出し方をすることが地球環境を守ります。記事を読んだ人が関心を持ち、行動してくれることになれば、これ以上うれしいことはありません。