広報ひらかた

それ、DV(ドメスティック・バイオレンス)かもしれません。

DVが与える影響(一例)

 「こんなこともできないのか」「居ても役に立たないな」―こんなやりとりが、当たり前になっていませんか。何も言わなかったとしても相手が傷ついていれば、そればDV(ドメスティック-バイオレンス)です。
 DVは犯罪となる行為を含む重大な人権侵害であり、許されるものではありません。暴力を振るっていい理由は、どこにもないのです。
 問い合わせ、人権政策室(男女共同参画担当) 電話050-7102-3239、ファクス843-5637

 DVは、親密な関係性(夫婦や恋人などのパートナー)において、繰り返し行われる暴力のこと。枚方市配偶者暴力相談支援センター「ひらかたDV相談室」における令和元年度の相談件数は電話-面接合わせて延べ1177件。男性からの相談も増加傾向にあり、性別に関係なく、いまこの瞬間も被害に悩んでいる人がいます。

ひらかたDV相談室の相談件数(令和元年度)

電話-面接延べ 1177件(女性1145件、男性32件)

「DV」と「けんか」の違いは?

けんか…対等な関係
「けんか」は、お互いに言いたいことを言い合える関係で、立場は対等です。

DV…対等でない関係
一方「DV」は、「支配する人」と「支配される人」の関係となり、立場は対等ではありません。

 対等な関係とは、お互いの心と体を大事にし、違う考え方-価値観を認め合うことができ、嫌なことにはNOと言えて相手のNOも受け入れられる関係です。


あなたのパートナーは大丈夫?

 1つでも当てはまったら、その関係は対等ではないかもしれません。

DVのさまざまな形

◆身体的暴力…殴る/蹴る/突き飛ばす/ひきずりまわす/首を絞める

◆精神的暴力…大声でどなったり、殴るふりをして相手を脅したりする/無視する/大切にしているものを壊したり捨てたりする/ばかにする

◆経済的暴力…お金を取り上げる/預貯金を勝手に使う/お金の使い道を細かく管理する/「誰のおかげで食べられるんだ」と言う

◆子どもを利用した暴力…子どもの前で暴力をふるったり、非難する(※面前DVは児童虐待です)/子どもを取り上げようとする/子どもと仲良くするのを嫌う

◆社会的暴力…親、兄弟-姉妹、友人との付き合いを嫌がる/行動を監視する/外出を制限する/電話-メールをチェックする

◆性的暴力…避妊に協力しない/相手の合意を得ないで、一方的に性行為を行う(拒否できない状況を含む)

◆恋人間における暴力をデートDVと呼びます。愛を名目にした行き過ぎた 行動は愛情表現ではなく暴力です。

受けたあなたの心が傷つい たなら、それは暴力です。


被害者の「強さ」引き出す言葉を

DV被害者支援研究者 増井 香名子さんインタビュー

 内閣府によると配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は平成29年が10万6110件、30年は11万4481件と増加傾向にあり、今も多くの人がDV被害を受けています。DVは配偶者など親密な関係で起こるため外部からは見えにくいですが、あらゆる年代で起こる可能性があります。だからこそ一人一人が正しい知識を持って理解する必要があります。
 被害者の多くは「私が悪い」と自分を責めてしまっています。また、加害者からそのように言われている場合もあります。そして自身が受ける暴力を「たいしたことはない」「しょうがない」と問題を過少評価してしまいます。このような心理的状況にある被害者に対して、支援者や周囲の人たちは被害者とつながりを保ち、孤立させないことが大切です。気にかけてくれる誰かがいると思えることは「自分」を保つ上でとても重要なことです。また、周囲の人との会話や支援を通してDVの基本的な知識を知ることができると、いま自分に何が起こっているのかを客観的に見つめ直すことにつながります。
 恐怖感や相手への複雑な思い、経済的な理由など、それぞれ抱える事情は異なり、生活を変える選択は困難を伴います。しかし、研究を進める中で見えてきたのは、被害者一人一人には困難な状況でも日々の生活を営み、状況をよくしようとさまざまな対処を試みる「強さ」があることです。もし周囲に被害に遭っている人がいるならば、その「強さ」を理解し、言葉にして伝えてほしいと思っています。それは被害者が自身の人生を生き、次のステップへ進むための原動力となります。
 私は、被害者に対して周囲や支援者はどのように関わればいいのかを考えています。被害者が暴力のない生活へ動いていくための道しるべを示していきたいと思っています。

(プロフィル) ますい かなこ―地方公共団体で社会福祉職として相談支援業務等に長年従事。DV支援に関する研究や地方公共団体のDV被害者支援のアドバイザーなどを務める。現在は新見公立大学講師および大阪府立大学客員研究員。



「本当の仲良し」を考えるきっかけに

市内小-中学校でDV予防教育

 大好きな友達に「仲良しだから貸してくれるよね」と言われ、買ったばかりの本を本当は貸したくないけど貸してしまったら…。「これは本当の仲良しと言えるのかな。こんな時、どうする?」

 9月2日、講師のNPO法人SEAN(シーン)の戎多麻枝さんは、招提小学校4年1組の児童たちに問いかけました。「まだ読んでいないから貸したくなかったことを伝えて、読み終わったら貸してあげると言う」、「どう思っていたかをちゃんと話す」と、一人一人が真剣な表情で手を挙げて意見を出し合います。相手の気持ちだけでなく、自分の気持ちを大切にすることも必要と気づいた児童たち。授業を受けた徳岡丈祥さんは「どうすればみんなが気持ちよく過ごせるかを考える機会になった」と話しました。戎さんは「暴力はこころとからだを傷つける人権侵害。子どもたちには、自分のことも相手のことも大切にできる、お互いを尊重し合える関係を築いてほしい」と思いを語りました。予防教育は今年度市内18小-中学校で実施予定です。



誰かに相談して。あなたはひとりじゃないよ。

 新型コロナウィルス感染拡大に伴う生活不安や過度なストレスにより、パートナー間のDVや児童虐待の被害の増加が懸念されています。DV被害者は加害者からの日常的な支配により、「自分は無力で、一人では何もできない」と思い込まされています。
 専門の相談機関につながることで本来の力を取り戻し、自分らしい生活を始めることもできます。パートナーとの関係で不安を感じている方は、一人で悩まずに、ぜひ相談してください。身近に苦しんでいる人がいたら、相談する場所がたくさんあるということを、伝えてください。


パートナーからの暴力について相談したいときは

【機関名】枚方市配偶者暴力相談支援センター(ひらかたDV相談室)
【連絡先】電話 050-7102-3232(DV相談専用電話)
【対応時間】午前9時~午後5時30分(土・日曜、祝日・年末年始を除く)

【機関名】大阪府中央子ども家庭センター
【連絡先】電話 828-0277
【対応時間】午前9時~午後5時45分(土・日曜、祝日・年末年始を除く)

【機関名】大阪府女性相談センター
【連絡先】①電話 06-6949-6022・06-6946-7890
     ②電話 06-6946-7890
【対応時間】①午前9時~午後8時(祝日・年末年始を除く)
      ②午後8時~翌朝9時、祝日

【機関名】DV相談+〈外国語対応あり〉
【連絡先】①電話 0120-279-889、メール
     ②チャット
【対応時間】①24時間
      ②正午~午後10時

女性のための相談窓口

【機関名】枚方市男女共生フロア・ウィル
【連絡先】①電話 843-5636<面接相談予約番号>
     ②電話 843-7860<電話相談>(女性相談員が対応)
【対応時間】①午前9時~午後5時30分 ※火・木は午後8時まで
       (土・日曜、祝日・年末年始を除く)
      ②火曜/午後3時~8時・水曜/午後1時~5時・木曜/午前10時~午後3時        (受付は終了時間の20分前まで)

【機関名】大阪府立男女共同参画 青少年センター
【連絡先】電話 06-6910-8588<面接予約ダイヤル>(女性相談員が対応)
【対応時間】火曜~金曜 午後1時30分~6時・午後6時45分~9時
      土・日曜 午前9時30分~午後1時・午後1時45分~午後6時
      (祝日・年末年始、振替休館日を除く)

男性のための相談窓口

【機関名】枚方市男女共生フロア・ウィル
【連絡先】電話 843-5730(男性相談員が対応)
【対応時間】第1土曜 午後2時~5時・第4木曜 午後6時~8時

【機関名】大阪府立男女共同参画・青少年センター
【連絡先】電話 06-6910-6596(男性相談員が対応)
【対応時間】第1・4水曜/午後4時~8時 第2・3土曜 
      (祝日・年末年始を除く)

身の危険を感じた時は

【機関名】枚方警察署 生活安全課
【連絡先】電話 845-1234(または110番へ)
【対応時間】被害者保護は24時間対応

【機関名】交野警察署 生活安全課
【連絡先】電話 891-1234(または110番へ)
【対応時間】被害者保護は24時間対応

〈11月12日~25日〉
女性に対する暴力をなくす運動期間です。

 DV、性犯罪-性暴力、ストーカー行為、売買春、人身取引、セクシュアルハラスメント等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであり、男女共同参画社会を形成していくうえで克服すべき重要な課題です。
 今年は「性暴力を、なくそう」をテーマに、各地で女性に対する暴力根絶のためのシンボルマークである「パープルリボン」の掲示やパープルのライトアップ、講演会などを行い、社会意識の醸成に努めます。