広報ひらかた

市民登場 No.725

アームレスリング世界3位

寺岡 秀幸さん

◆てらおかひでゆき 昨年12月にポーランドで開催され、29カ国延べ130人以上が参加したアームレスリングの国際大会の57キロ級で3位に輝いた。枚方寝屋川消防組合消防士。33歳。

 腕相撲ではほとんど負けなしだった大学時代、同じ体格の相手と腕を組み、渾身の力を込めるが微動だにしない。「いったいどうなってるんや!?」―。通い始めたばかりのアームレスリングジムで衝撃を受けた。実はアームレスリングと腕相撲は異なるスポーツだ。
 机の上全体を使える腕相撲に対し、アームレスリングは15㎝四方のパッド上で戦う。単なる力比べに思われがちだが、肘の位置を動かせる範囲が狭いため手首の使い方や緻密な力の入れ具合が勝負を左右する。自身は身長171センチ、体重60キロと世界で見れば小柄とも言える体格だが、力の掛け方とテクニック次第で大柄な相手を倒せる奥深さにのめり込んだ。「純粋に力と技術が試されるので、勝ったときの達成感もひとしおです」。
 幼い頃から運動が大好きで負けず嫌いな性格もあってか、大学の先輩に誘われ20歳でアームレスリングを始めるとわずか2年で地方大会を制した。しかし、全国大会では表彰台に届かない日々が続く。「なぜ勝てないのか」。試行錯誤の中で見えてきたのは「物事を筋道立てて考えること」。敗因を力学的に分析し、弱点を補うための筋肉や力の加え方を重点的にトレーニングする。大会のたびに繰り返し、レフェリーの試合開始の合図とともに親指の付け根から人さし指の側面にかけてのラインで相手の腕を押す現在のスタイルにたどり着いた。しかし、「常にこれがベストなのか自分に問い続けています」とあくまでストイックだ。
 世界3位になったことは「めっちゃ悔しい。でも今後の競技生活を続ける糧になります」と語る。現在は弱点の克服に励んでいる。「手首が巻き込まれて力が入らない状態にさせないようにして必ず勝ちます」。次の目標は世界一の高みだ。