市民登場 No.778
10月27日~11月9日は読書週間
枚方の場所と人をつなげる短編小説を執筆
ウダ・タマキさん
◆龍谷大学卒業後、大阪市内の介護事業所に23年間勤務。介護職に従事しながら大阪府立大学(現・大阪公立大)大学院で社会福祉学分野修了。認知症や介護がテーマのエッセイや小説でSOMPO認知症エッセイコンテスト大賞やブックショートアワード大賞など受賞。現在、参加者がその場で物語を作るワークショップ「空想読書会」の開催や市内各地を舞台にした短編小説「枚方ストーリーズ」をインスタグラム(hirakata_storys)で発信中。天之川町在住。46歳。
希薄になりがちな地域と人とのつながりを小説をきっかけに育んでいきたい
これまでに訪れた市内50カ所以上の日常の風景を題材に優しい言葉で綴った短編小説に添えて、ゆかりの品や写真を展示した自身初の個展を7月に御殿山生涯学習美術センターで開催した。「会場での読書体験を通して多くの人とのつながりが生まれたことが何よりうれしかったですね」とほほ笑む。
23年間、大阪市内の介護事業所に勤務。身寄りのない高齢者の介護に携わりながら「単身の高齢者が幸せな老後を過ごすために果たせる福祉とは何かを考え、学びたい」と大学院に進学。地域福祉の課題について研究した。「一人一人に役割があるかないか。単身高齢者でも地域で何かしら活動し、人とのつながりや役割がある人はいきいきと暮らせるんです」
短編小説を本格的に書き始めたのは大学院修了後。通勤電車の移動時間を使ってスマホで書きためていった。「認知症や介護をテーマに論文だけでなく多くの人に読んでもらえる形で訴えたかったんです」。なかでも、40年以上天涯孤独で暮らしてきた男性の最期を前に、家族を探し出し再会につなげた経験を基に書き上げた小説は第9回ブックショートアワード大賞に輝いた。「小説を書くことで自分の仕事や生活を客観的に見つめ直すこともできましたね」
介護の仕事を通して地域と人とのつながりの大切さを考えてきたことで自分自身が暮らす枚方とのつながりが希薄だと気付いた。個展開催につながった短編小説「枚方ストーリーズ」は市内各地を舞台に、訪れた場所のイメージや出会った人の言葉から着想を得て執筆しインスタグラムで発信している。今後は舞台となった場所ごとに小説を冊子化し、表紙に市内の高校生や芸術家を目指す人たちの写真やイラストを掲載することで互いに新たな発信の場を創出していきたいと考えている。「希薄になりがちな地域とさまざまな人とのつながりを小説をきっかけに育んでいきたいですね」
