枚方市 子ども・若者総合計画
全ての子ども・若者が
笑顔で健やかに成長できるまちへ
令和5年に施行されたこども基本法に基づく市町村こども計画として、これまであった3つの計画を一体のものとし、今年3月に枚方市子ども・若者総合計画を策定しました。児童虐待やいじめ、待機児童問題、不登校件数の増加など、子どもや子育て家庭を取り巻く環境が厳しくなる中、全ての子ども・若者や子育てをしている誰もが生き生きと希望を持って暮らせるよう、市はさまざまな事業に取り組んでいます。今回は同計画の5つの施策目標に基づく取り組みの中から見守りや居場所づくりをキーワードに紹介します。
問合わせ先、子ども青少年政策課 電話841-1375、ファクス843-2244
子ども・若者総合計画ってなんだろう?
これまでの計画
待機児童の解消や子育てに関する相談支援、
子どもの貧困対策などを推進
枚方市子ども・子育て支援事業計画
対象はおおむね18歳未満の子どもと子育て当事者など
主にひきこもりやニート、不登校状態における自立を支援
枚方市子ども・若者育成計画
対象はひきこもりなどの15歳~39歳の子ども・若者とその家族
ひとり親家庭などの子育て環境整備や経済的な安定を目指した支援
枚方市ひとり親家庭等自立促進計画
対象はひとり親家庭と寡婦
さまざまな対象を切れ目なく支援できるようこれまでの
3つの計画を一体のものとして策定しました
▲総合計画・概要版はこちら
対象は子ども・おおむね40歳未満の若者・子育て当事者など
計画の対象となる当事者から意見を聴きました
子ども・若者に関わる施策に子どもなどの意見を反映するため、小中学生や若者、子育て当事者から意見を募集したほか、未就学児やひきこもり当事者などに就学前施設や居場所支援事業の関係施設、市役所窓口などで直接意見を聴きました。
意見の一例
ボール遊びができる公園がほしい
留守家庭児童会室を土曜日も開けてほしい
いじめのいろいろな相談窓口を知りたい
計画は文字が多いので読みやすくしてほしい
見守りや居場所づくりって
どんなことに取り組んでいるの?
5つの施策目標
⑴すべての子ども・若者の人権・最善の利益が
尊重されるまちづくりの推進
【対象】子どもの成長過程全般
⑵子どもを安心して生み、楽しく育てることができるとともに、
子どもが健やかに成長できるまちづくりの推進
【対象】子どもの誕生前~幼児期
⑶子どもの生きる力と個性を育むまちづくりの推進
【対象】学童期・思春期
⑷若者の社会性を育み、自立を支援するまちづくりの推進
【対象】青年期
⑸子育てをしている誰もがいきいきと希望を
持って暮らせるまちづくりの推進
【対象】子育て当事者など
子ども食堂の支援
地域コミュニティや民間事業者など、さまざまな団体が取り組む「食事」を通じた居場所づくり事業に補助金を交付。
※詳細は4ページ参照
総合型放課後事業
保護者の就労などで保育が必要な児童を預かる留守家庭児童会室、希望する児童が自主的に遊び学べる放課後オープンスクエアを実施。
就学前施設と小学校のネットワーク化の推進
子どもたちが小学校生活に円滑に移行できるように、保育所(園)・幼稚園などと小学校の職員同士の連携や未就学児と小学生の交流などの取り組みを推進。
児童や生徒の心理的課題を解消
スクールカウンセラーや心の教室相談員を配置し、小中学校での児童・生徒や保護者の心理的課題の解決を支援。
学校外での学びの場
教育支援センター「ルポ」
不登校の児童・生徒を対象に、学校と家庭の中間的な「心の居場所」として、教育文化センター内に設置。自学自習などの個別活動と軽運動や調理実習などのグループ活動を通じて、自己肯定感や自己決定力を養い、子ども自身の可能性を広げる取り組みを実施しています。
スクールソーシャルワーカーの配置
いじめや不登校、虐待などをはじめ、小中学校で子どもたちの抱える悩みなどの解決に向け支援する専門職を配置。
※詳細は5ページ参照
子どもいきいき
広場事業への支援
小学校で土曜を中心に児童が自然保護や文化活動などに地域の人と取り組み、自己肯定感や自己有用感を高める活動に補助金を交付。
ひきこもり・ニート・
不登校の子ども・若者の居場所づくり
ひきこもり等子ども・若者相談支援センターで、おおむね15歳~39歳のひきこもり・ニート・不登校などの子ども・若者やその家族などの相談に対応。さらに次のステップとして少人数での活動を通して社会とのつながりを築いていく居場所支援事業「ひらぽ」、家族支援事業「家族の会」を実施。
子どもも大人も心地よい居場所づくり
子ども食堂
地域のつながりが希薄化する中、同世代・異世代交流の場を提供する団体にお話を聞きました。
近くの子ども食堂を探したいときはこちら
こども食堂えくぼ
髙松 皓己さん
笑顔で食事が楽しめる場所に
「えくぼ」の名前には笑顔(=え)があふれ食(=く)に関心を持ってもらえるコミュニティを地域での暮らし(=ぼ)に広げていきたいという思いを込めました。最近はさまざまな世代と交流できる場が少ないと感じています。そんな中、気軽に集まって楽しみながら食事ができる場を提供したくて始めました。魚が苦手な子には「これは何の魚?」と食材に興味を持てるようなクイズを出すなど、楽しんで食事ができる工夫をしています。残った料理はスタッフが食べるので、唐揚げなどの人気メニューは「少しは残して!」とひそかに思っていることもありますが、やはりたくさん食べてくれるとうれしいです。
大人にも笑顔と一息
言葉を発することが少ないお子さんが何度も「おかわり」と言った様子を見て、「久しぶりに声を聞いた」と喜んでくださったことがあります。また、忙しくてゆっくりご飯を食べることが難しい保護者の人も、ここではこどもたちと会話しながら笑顔で食事をしてくれています。そんな風にこどもと一緒に大人も笑顔になれる場所にしたいですね。
参加者の声
子どもにとっての新しい居場所に
息子が私以外と外出できる場所を増やしたくて利用を始めました。スタッフさんは優しく料理もおいしいので息子はとても楽しみにしています。今ではヘルパーさんと2人でも来られるようになり、この場所があって本当に良かったと感じています。
子どもたちの生活環境を整える福祉の専門職
スクールソーシャルワーカー
児童・生徒の悩みに教職員と共に向き合う2人にお話を聞きました。
永田 絵里さん
スクールソーシャルワーカー5年目
資格など:社会福祉士、教員免許
子どもによって
悩みの原因や寄り添い方はそれぞれ違う
学校ではまず、校門で登校を見守り遅刻してくる子がいれば付き添ったり、教室に入りづらい子がいれば話を聞いたりします。その後、悩みを抱えていそうな子がいないか教室を巡回します。休みがちな子がいたのですが、生活リズムの乱れが原因だったので、学校外で朝から活動できる場所を紹介し、徐々にリズムが整うと学校にも復帰できました。大切なのはその子に合った居場所づくり。それは学校内に限りません。長い目で考え、それぞれの抱える悩みに寄り添うよう心がけています。
大橋 明日香さん
スクールソーシャルワーカー5年目
資格など:精神保健福祉士、公認心理師
子どもたちの気持ちを尊重しながら
多様な機関とも連携
私たちは子どもたちの困りごとや悩みごとをひもとき、友だち関係、地域、学校、家庭などのそれぞれの環境に働きかけ、解決に向け取り組んでいます。学校内では先生以外にも子どもの心をケアするスクールカウンセラー、不登校支援員などと共にチーム学校として支援しているほか、必要に応じて医療機関や民生委員、放課後等デイサービスなどとも連携します。大切にしているのは「その子がどのように思い、どうしたいのか」。子どもたちの気持ちを第一に考えながら活動しています。
子ども青少年政策課
係長 山際 麻里
全ての子ども・若者が笑顔になれるまちへ
この計画では、子ども・若者一人一人が大切にされ、自分らしく生き、笑顔で健やかに育ち、保護者が安心して子育てができるまちづくりを目指しています。その実現のため、今回ご紹介した方々や事業者、団体を含め、多くの人たちが取り組みを行っています。また、令和3年には、市や全ての大人の役割などを定めた「子どもを守る条例」を制定し、社会全体で子どもを見守る体制づくりを進めてきました。子ども・若者を取り巻く課題や、子育て支援のニーズが多様化・複雑化する中、これらの計画や条例を踏まえ、支援に取り組みます。
当事者から意見を聴く
仕組みづくりも
全ての子どもや若者、そして子育てをする人が笑顔になれるまちの実現には、当事者の意見を聴きながら、市の取り組みを考えていくことが重要です。この計画も、子どもや若者のみなさんのお声を聴き一緒に作ってきました。今後も皆さんの意見を市の取り組みに生かすため、事前に登録いただいた子どもや若者に意見を募る仕組みを作る予定です。詳細が決まれば広報ひらかたや市ホームページなどでお知らせしますので、皆さんのお声をぜひ聴かせてください。