健康・生きがいのための就労特集
何する?第二の人生の自由時間
長寿化が進み、第二の人生の時間が長くなる人も。そんな中、社会参加の一つの形として働く高齢者が増えています。働くことは収入を得るだけでなく、人とつながり、誰かに必要とされていると実感することができます。自由時間を元気に過ごすため、使い方の選択肢に「就労」を加えてみませんか。
問合わせ先、健康づくり課 電話841-1458、ファクス841-3039
■「働く高齢者」増えています
高齢者の就業率推移 男女計
65歳~69歳
2013:38.7
2015:41.5
2017:44.3
2019:48.4
2021:50.3
2023:52.0
65歳~69歳の2人に1人
70歳~74歳
2013:23.3
2015:24.9
2017:27.2
2019:32.2
2021:32.6
2023:34.0
70歳~74歳の3人に1人
75歳以上
2013:8.2
2015:8.3
2017:9.0
2019:10.3
2021:10.5
2023:11.4
働くといっても、日数や時間は人それぞれ。自分に合ったペースで市内で働く人にインタビューしました!
グラフは総務省統計局「労働力調査」2023年結果概要を元に作成
■退職後の時間は働いていた時間とほぼ同じ
65歳からの自由時間は約7万2270時間
65歳時点の平均余命を約22年(※1)、
娯楽などに使える時間を1日9時間(※2)と仮定して算出
65歳までの生涯労働時間は約7万3620時間
年間総実労働時間を1636時間(※3)、
労働年数を20歳から65歳までの45年と仮定して算出
※1参考:厚生労働省「令和5年簡易生命表」
※2参考:総務省統計局「令和3年社会生活基礎調査」
※3参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査」令和5年分確報
わたしの働き方1
仲間と考えて育てた野菜が売れるとやりがいを感じますね
農業は素人からのスタート
農業の経験はありませんでしたが、日々勉強しながら無農薬にこだわって野菜や果物約15種類を共同で育てています。ふくろうファームに来るのは週に約2~3回、計6時間程度。来る時間も自分で決められるのでストレスや体への負担も少なく続けやすいですし、一日にメリハリができるので、仕事以外の時間も充実しています。
全員で試行錯誤する時間も楽しみ
ファームに携わるメンバーは全員が農業未経験ですが、虫よけ剤は酢など人が口にする物だけで自作し、無農薬にこだわり知恵を出し合って育てています。みんなで考え話している時間も楽しいですね。家庭菜園と違い、無事に収穫できた作物を販売まで行うので、野菜たちが売れるのをみると「作ってよかったな」と一層やりがいを感じます。
ひらかたシルバー はたけ倶楽部
ふくろうファーム 山之上編
で働く
岡元 住夫さん(68歳)
【プロフィル】
ゼネコンを退職後、家庭菜園に興味があったこともあり66歳からファームに参加。農作業だけでなく、作物の成長記録や年間の栽培計画にも携わる。
【運営団体紹介】
公益社団法人
枚方市シルバー人材センター
〒573-0027 大垣内町3―14―1
電話844-2901、ファクス841-1088
「生きがいを得るための就業」を目的に清掃や障子貼り、受付事務などさまざまな仕事の機会を提供している。入会対象は60歳以上の人。手続きなどは電話で同センターへ。
▲同センター事務局長の植田健作さん(写真左)もファームを訪れ一緒に育てています
◆ふくろうファームとは
シルバー人材センターが運営する農業施設(山之上2)の愛称。東レ建設株式会社が開発した「トレファーム®」を活用し、高床式の農業用ベッドで栽培するため腰をかがめずに作業ができ、IoTシステムで給水も自動化。現在は同センターの会員約10人が運営に関わり、小松菜や春菊のほか、オテリー(レタスの一種・左写真)など少し珍しい野菜も栽培。週に1、2度収穫し、ファームから徒歩1分の休憩所や同センターで販売している(右写真)。
働くことで変わる あなたの老後
働くことと健康にはどのようなつながりがあるのでしょうか。NPO法人で高齢者を対象とした短時間就労の開発や就労マッチングに関する事業を展開している遠座俊明さんに聞きました。
社会参加するからこそ健康でいられる
健康だから社会参加できると思われがちですが、最近の研究では、社会参加するからこそ健康でいられることが分かっており、なかでも要介護リスクの低減のためには「働く」ことが有効であると明らかになっています。働くことは居場所や仲間ができるだけではなく、一定の責任や報酬、新しい経験や知識を得ることができるので、モチベーションを維持しやすいことが特徴です。
大切なのは余暇と仕事をコントロールすること
働く際のポイントは継続できるようにすることです。続けるためには、余暇と仕事のバランスを自分でコントロールすることが大切です。働くことで充実感とお小遣いを得て、自由時間をより楽しもう、という気持ちで無理のない範囲で始めてみてはいかがでしょうか。
特定非営利活動法人
健康・生きがい就労ラボ
理事長 遠座 俊明さん
わたしの働き方2
自分の「できる」を大切にスキルアップも
無縁だった介護の世界に挑戦
全く経験したことのない介護の仕事。当初は「介護=たくさん手伝うこと」と思っていましたが、同僚と意見交換しながら「自立のために助け過ぎない」という支援の考え方を学び、介護の奥深さを知ることができました。訪問先の利用者とのコミュニケーションでは、料理など家事の経験も役立っています。会話を楽しみに自分を待ってくれている人もいてうれしいですね。
自分の「できる」を増やしたい
元々介護を仕事にしようと始めたわけではありませんでしたが、経験を重ねるうちに自分のできることを増やしたいと思うようになり、介護職員初任者研修や移動介護従事者(ガイドヘルパー)などの資格を取得しました。ヘルパーとしても働くようになりましたが、学んだ中には体力的に難しい対応も。大切なのは、自分の体調と向き合いながらできることをすることだと思います。
ほっとステーション御殿山
で生活支援員・ヘルパーとして働く
中島 道子さん(74歳)
【プロフィル】
認知症になった母への接し方が最後まで分からなかったことがきっかけで介護に関心を持ち、生活支援員の養成講座を受講。生活支援員として要支援の利用者の居宅支援・訪問介護を開始。現在は多いときで週に5日、1日3時間ほど生活支援員やヘルパーとして働いている。
【運営団体紹介】
生協法人
大阪高齢者生活協同組合
〒573-1183渚南町26―5―201
電話898-0501、ファクス898-0502
高齢者福祉事業などを行う生活協同組合。市内に設置している福祉事業所「ほっとステーション御殿山」での居宅支援・訪問介護のほか、市の生活援助訪問事業者として有償お助け隊や、デイサービス「てくてく」の運営を行っている。
▲事業所スタッフと意見交換する中島さん
TOPIC
生活支援員になるには?
「枚方市生活支援員養成研修」の受講
(計2日・13時間)
研修の申し込みは広報ひらかたなどで案内
▼
以下の市の生活援助訪問事業者に登録
・ナルクすこやか
・ほっとステーション御殿山生活支援お助け隊
・シルバー人材センター
支援員の声
訪問先での「また来てね」の言葉が続ける原動力になっています。
生活援助訪問事業所
生活支援センター
ナルクすこやか
管理者
和田 亮吉さん
「ナルクすこやか」の母体は、「ナルク」という全国組織のボランティア団体です。生活支援員は、要支援1・2の利用者の自宅へ訪問し、1回45分で掃除や買い物などの支援をしています。 支援員になるための研修は介護保険に関する知識を学ぶことができるので、参加者からは「親の介護の際に役立ちそう」「仕組みが理解できた」と声をいただいています。研修はナルクすこやかも含めた3事業者が年に計6回実施しています。実施の前月に広報ひらかたで募集していますので、まずは研修にお越しください。
市担当課より
生きがいを持って健康に過ごすために
分に合った活動を探してみませんか
高齢者が生きがいを持って健康に過ごすためには、時間の使い方がとても大切です。家で何もしない時間が増えてしまうと生活が不活発化してしまいます。市では高齢者が無理のない範囲で生きがいや役割を持ちながら就労できるよう、「健康・生きがい就労トライアル事業」を実施します。この事業では、就労に至る前に週に1回から2回程度、1回あたり1時間から2時間程度働ける「短時間就労」の事業者とのマッチングができます。また、趣味や健康づくりを地域で新たに取り組めるよう、街かどデイハウスや街かど健康ステーションを設置しています。自分に合った活動を探しながら、選択肢の一つに「就労」を加えてみたいときは、4月の説明会(下記)にぜひお越しください。
健康づくり課 係長
田中 幸司
市内の9施設で、趣味活動の機会を提供する「街かどデイハウス」・介護予防などに取り組める「街かど健康ステーション」を実施しています。施設の場所など詳細は下記コード参照または健康づくり課へお問い合わせを。
趣味を楽しみながら交流!
街かどデイハウス
居住エリア・年齢に関係なく、趣味や学び、創作活動などを通じて、楽しみながら交流できるプログラムを開催しています。参加費は利用料と食費などの実費。
▶フラダンス
▶手芸
▶フラワーアレンジメント
▶語学
▶ハンドケア
▶麻雀
▶健康セミナー
など
あなたの健康をサポート!
街かど健康ステーション
体力測定など介護予防の取り組みを開催しています。対象は市内在住のおおむね65歳以上。無料。
▶ノルディックポールの体験・貸し出し
▶運動教室・体力測定・介護予防教室
▶相談窓口(健康や介護予防に関する)
▶クラブの立ち上げや継続を支援
健康・生きがい就労トライアル事業
就労希望者向け 市民説明会
4月24日㈭ 午後1時30分~4時
枚方市役所第3分館 3階 第3会議室
岡東町8―33(旧市民会館)
▶申込 4月1日~11日(土・日曜除く午前9時~午後5時30分)に電話(電話841・1458)で健康づくり課へ。対象は市内在住の60歳以上。先着40人。詳細は広報ひらかた4月号でお知らせ。
【概要】
・「健康・生きがい就労トライアル事業」の説明
・各事業者による就労内容の説明と申し込み受け付け
(例)シーツ交換、ごみ出し、食器洗い、洗濯、掃除など
・求職申し込み手続きの説明
・シルバー人材センターや生活援助訪問事業など多様な働く場の例を紹介
できる範囲からはじめてみませんか?
健康・生きがい就労トライアル事業の流れ
市民説明会
4月24日
▼
現地説明会
参加事業者(介護保険事業者など)の職場を見学
▼
就労トライアル(3カ月)
お試しで自分に合うか確認
▼
短時間就労
雇用継続
短時間就労=プチ就労