広報ひらかた

市民登場 No.749

市内唯一のいちご園を経営

岸田 崇さん

◆きしだ たかし
 鹿屋体育大学卒業後、23歳でボートレーサーとしてデビュー。26歳で農業の道を志し、農業法人などで勤務後、穂谷で農家として独立。市内で唯一のいちご園「岸田の畑」を経営。34歳。


 ハウスの中に入ると、やさしく甘い香りが広がる。育てているのは章姫・かおり野・紅ほっぺ・天使のいちごの4種類。風味や食感の違いにこだわり自分が好きな品種を選び抜いた。「食べ比べてみると味の違いが楽しめます。自分で育てたいちごが一番おいしいんですよ」とほほ笑む。

 大学卒業後にボートレーサーの道へ。「他の競技は幼少期から経験している人が多いけど、競艇なら同じスタートラインに立てると思ったんです」。約50倍の狭き門を突破して合格し、養成所では厳しい訓練を経てプロデビューするも「負けても悔しくない自分がしんどかった」と3年余りで引退した。

 そこから自分は何をしたいのか考え抜き、幼少期に好きだった理科を生かした農業を生業にしたいと考え千葉県のベンチャー企業や大手の農業法人で働いた。楽しさもあったが、無駄のない体系化された働き方に物足りなさを感じ、独立を決意。農業の勉強会などでつながりができた穂谷に移り住み修行した。多品目を有機栽培するスタイルに憧れた時期もあったが、効率的に一つのことに取り組み、ビジネスとして成立する可能性を考え、いちご栽培に行き着いた。「各地のいちご農家を視察し、滋賀のいちご園で1年間働き準備しました」。穂谷にはいちご農家がなかったため、地元の理解を得ようと公民館でプレゼンし、満を持して一昨年、いちご園をオープンした。「地元の人がいちごを買って応援してくれるのが何よりうれしいですね」

 いちご園の期間は12月から5月までだが、春から苗作りを始めるため、一年中、いちごのことを考えている。「おいしいだけでなく、たくさん安定的に栽培し、長く経営していくことが大切。いつかは岸田のいちごを穂谷みやげの代表にしたいですね」