広報ひらかた

市民登場 No.747

介護美容師として活躍

曽田 葵さん

◆そた あおい
カットやメイクを高齢者に施す介護美容に力を入れる。社会で活躍する女性を発掘する大会・ビューティジャパンの今年のファイナリスト。2児の母親としても奮闘中。山之上北町在住。35歳


 「秋は栗ごはんがおいしいですね」とお客さんと笑顔で会話をしながら手際よくハサミを動かす。「それぞれのお客様の背景や気持ちに寄り添いながらカットやメイクをさせてもらっています」。

 小さい頃から髪をさわるのが好きで、高校卒業後は美容院に勤務しながら通信制の専門学校に3年間通い美容師資格を取得。「ハードでしたが、先に美容の現場にいたのは大きかったですね」と振り返る。

 25歳で独立して以降、ブライダル中心に仕事をしていた中、祖母の認知症が悪化。スカーフが好きでおしゃれだった祖母がいつ何を食べたのか忘れ、寝間着のまま外出しショックを受けた。このままでは良くないと感じ祖母に口紅を塗り、髪を整えてあげて一緒に出かけると「おばあちゃんがありがとうと涙を流して言ってくれて、それから少しずつ自分のことを自分でするようになってくれたんです」。美容がその人の生活の質を上げることにつながると確信した。介護美容の専門学校で学び直し、介護初任者資格も取得。高齢者施設などに出向いているが、苦戦することもある。ニット帽をかぶり、髪を何年も切らずにいた90代の女性がカットを拒絶。先にハンドマッサージで和んでもらい「かわいくしますよ」と話したら「切ってもええよ」と応えてくれ、短くなった髪を見て笑顔になりニット帽を手放した。施設の職員との対話も活発になったと知り「心を動かすことができ、本当にうれしかったですね」

 社会で活躍する女性を発掘する大会ビューティジャパンに出場し美容と介護の必要性を訴え、ファイナリストとして11月に開催される全国大会への出場が決まった。「子育てしながらでも女性が活躍でき、介護美容のことを知ってもらえるきっかけにしたいですね」。家族の応援を受け、大舞台に挑む。