広報ひらかた

市民登場 No.746

元教員・先生シェアハウス「わいが舎」代表

野中 健次さん
◆のなか けんじ

 中学校教諭として4年勤務後、IT系会社を経て、授業などで使うタブレット端末のアプリ・ロイロノートを手掛けるLoiLo社に勤務。昨年4月、独立し株式会社わけわけ起業。南中振在住。38歳。


 「頑張っている先生を応援したい」と昨夏、全国でも珍しい先生専用シェアハウスを立ち上げた。小学校から高校までの先生3人とともに野中家も暮らしている。「リビングで悩みを話したり異業種の人を招き研修したり、入居者以外の先生も集まって楽しく勉強しています」。先生を目指す学生によるイベントや児童の放課後の居場所づくりも計画中だ。

 ダンスに夢中だった大学3年の時、周りが就職活動を始める中、やりたいことは何かを考え抜いた。「人間関係の礎を築けたのは学校の先生たちのおかけだった」と感じ教員になることを決意。大学卒業後、別の大学に編入し、猛勉強の末、中学校の国語教諭として採用された。「親に頼らず奨学金で6年間通い大変でしたが夢が叶いうれしかったですね」

 「成長し続けたい」と毎朝5時半に出勤し教育関連の書籍を年間100冊読んだ。文化祭で海外12カ国の生徒との交流企画を成功させるなど自身の教員生活を支えてくれたのが当時の学年主任だった。「他の世界も見てみたい」と告白すると気持ちを受け止め後押ししてくれた。いずれは学校教育に携わりたいとの思いを秘めつつ、複数のIT系企業に勤務後、ITと教育分野で急成長していたロイロ社に自ら連絡し入社を果たした。タブレット端末でクラス内の意見共有や発表などで使われるアプリ・ロイロノートスクール普及のため全国の学校で研修したが「地域の先生と深く関わり支援したい」と独立。屋号の「わけわけ」にはICTを活用し知識や学びを分け合える教育現場への思いが込められている。

 「先生が笑顔になれば子どもも社会も明るくなるはず。先生たちから受けた恩を社会に還元したいですね」。授業でのICT支援や先生シェアハウスを通じ先生たちのサポーターとして走り続けている。