広報ひらかた

終活特集
「話し合ってみませんか これまでとこれから」

 誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があります。命の危険が迫った状態になると、約70%の人が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることができなくなると言われています。「もしも」に備え、これからのことを話し合いませんか。

 問合わせ先、長寿・介護保険課 電話841-1461、ファクス844-0315


家族のため、自分のための終活

 終活は「自らの人生の終わりに向けた活動」の略語です。具体的には、介護や保険、葬儀、お墓、相続などの準備、身の回りの整理などがあります。
 終活と聞くと、これらの情報を書き記す「エンディングノート」を思い浮かべる人が多いかもしれません。家族などに伝えておきたい情報や希望を書き記すエンディングノートは、周囲の人の負担を減らすだけではなく、これまでの自分を振り返り、大切にしていることや、やりたいことを考えるきっかけにもなり、「これからの人生をよりよく生きる」ことにつながります。
 中には医療や葬儀など「死」に関することを考えたくない人もいるかもしれません。また、知りたくない、考えたくない人への配慮も必要です。
 全てを考え、書き記すまではしなくても、日頃から思いを伝えるなど、できることから始めましょう。


最期の過ごし方について
話したことがない人は、6割

話したことがある:33%

話したことはない:58%

無回答:9%

▲令和2年1月「高齢者の健康づくり調査」。対象は介護認定を受けていない65歳以上の市民1300人。


話したことがない理由
まだ必要ないと思う人は半数も

機会が無かった:31%

まだ必要ないと思う:55%

話をしたくない:6%

その他:2%

無回答:6%


もしものための話し合い

 大切にしていることや、どこでどのような医療やケアを希望するかを考え、信頼できる人と話し合うことを「人生会議」と言います。「もしも」に備えた話し合いの進め方の例を紹介します。どこから始めるか、どんな風に進めるかは自由です。余裕のあるときに、あなたの考えを家族や親戚など、信頼している人と話し合ってみては。

例えばこんなテーマで

これまでの自分、好きなもの、大切にしてきたこと

・仕事をがんばってきた
・色々なところを旅した


これからやりたいこと、大切にしたいこと

・仕事をがんばってきた
・色々なところを旅した


今、不安に思っていること

・介護で家族に負担をかけたくない
・痛みや苦しみの少ない治療をしてほしい


自分が望むかたちで、最期を迎えるために

・なるべく自宅で過ごしたい
・葬儀は家族の意向に任せたい


自分が望むかたちで、最期を迎えるために

・なるべく自宅で過ごしたい
・葬儀は家族の意向に任せたい


①大切にしたいことを考える

 少しでも長生きしたい、好きなことがしたい、家族や友達といたいなど「大切にしたいこと」のほか、痛みや苦しみがある治療など「してほしくないこと」を考える場合もあります。


②伝えてくれる人を考える

 家族や友達など、もしものときに代わりに意思を伝えてくれる人が誰なのかを考えておきましょう。


③医療やケアのことを話し合う

 かかりつけ医など医療・介護スタッフに将来の医療・ケアについて質問するなど、元気なうちから学び、信頼できる人と話し合っておきましょう。


④話し合いの結果を共有する

 考えたことをノートに書いて残したり、信頼できる人と話したりしましょう。自分の考えを伝えるだけでなく、相手の思いを聞くことで、さらに考えが深まることもあります。


状況に応じて意思は変わるため、繰り返し考え、話し合います。


人生会議の「ネタ帳」にもエンディングノートがおすすめ

 遺言とは異なり法的拘束力はありませんが、自分の意思を家族に伝えるためにも、気軽に書き始めてみませんか。また、一人でゆっくり考えたい人は、あらかじめ自分の意思をノートに書いておき、人生会議のときに「ネタ帳」として使うのもおすすめです。


ひらかたプロデューサーズが実際に話してみました

ひらかたプロデューサーズ 池本 浩さん(57歳)

なんだか新鮮!

妻 真衣さん

こんな感じなんだ


 ひらかたプロデューサーズの池本 浩さんは、大きな病気をしたことがなく、市内サッカーチームのコーチを務めるなど、体はかなり頑丈なほう。「終活という言葉は10年以上前、病気になった有名人がテレビで話していて知りました。病気にかかったら考え始めるイメージですね。」と話します。今回、市で配布しているエンディングノートを使って妻・真衣さんと話し合ってもらいました。


ひらかたプロデューサーズ

 枚方愛あふれる人たちの集まり。SNSで「#ひらぴー」をつけて一押しの枚方の魅力を発信したり、定期的に開かれるミーティングで枚方をPRするアイデアを出し合ったりと、市内外・老若男女問わず200人以上が活動中。詳細は市ホームページ参照。


これからの人生計画、
ノートには書ききれない

 エンディングノートを開いてみた印象はいかがですか。

浩さん 新鮮ですね。初めて中を見ました。

 まずは「これから何をしたいか」 のところを考えてみてください。

浩さん これからやりたいことは普段から考えていて、指導しているサッカーチームのスタッフに話しているのですが、近い将来、ひらかたパークみたいに年齢に関係なく楽しめるスポーツクラブをつくりたいと思っています。ネーミングは「リオクロスひらかたパーク」なんてどうでしょう。

 枚方らしいですね。人生会議で初めて家族の考えを知る人も多いそうですが、真衣さんはこの計画をご存じでしたか。

真衣さん やりたいと考えていることは知っていましたが、ネーミングは初めて聞きましたね。今思いついたんちゃうかな(笑)。

浩さん ネーミングもちゃんと考えていたよ!計画はノートには書ききれないですね。

 人生会議は話し合うことが大切なので、必ずしもノートに書く必要はないんですよ。

浩さん それならスマホのボイスレコーダー機能で録音しておくくらいが手軽でいいかもしれないですね。


オンラインデータの整理も忘れずに

 SNSアカウントや写真などオンラインで保存しているデジタルデータ(下記参照)を整理しておくことも大切。データの存在に家族が気付かずトラブルになることもあるようです。

真衣さん 最近は通帳を発行せず、全てオンラインで完結する銀行もありますよね。自分以外は口座の存在すら知らないのかも。確かに写真もデータで保管することが多いですね。まあ、生前整理以前に、夫には部屋を片付けてほしいですが(笑)。

浩さん 全部いるねん!


残されたときこそ思いを知りたい

真衣さん 病気で母を亡くしたとき、悲しみに浸る時間がないくらいバタバタしたんです。連絡してほしい人とか事前に教えてもらっていればな、と思ったのを覚えています。

 中には、一人でゆっくり書いてから話し合いの「ネタ帳」として家族に共有する人もいるようです。

真衣さん 父がそうだと思います。この間、「ここに全部書いてあるから」とエンディングノートを見せてきたことには驚きましたね。まだかなり元気なんですが、まさかすでに書いているとは!


何度でも話し合おう

 話し合いの内容をノートなどに記録して終わるのではなく、何度でも繰り返し考え、話し合うことも大切です。

浩さん 確かに、「決めた!」と思っていても、歳をとったり時代が変わったりすると、考えが変わることもありますしね。まだ書いていないページも、これから妻と話し合って埋めてみようと思います。


生前整理で身の回りスッキリ

 余裕があるうちに財産や持ち物などの身の回りの整理をすることを「生前整理」といいます。長年ため込んだ物を整理するのは時間がかかりますが、焦らずにできるところから始めるのがポイントです。今後の生活に何が本当に必要なのかを考えるきっかけにも。


こんなメリットも

人生の目標が明確になる

 自分を見つめ直す機会になり、過去にできなかったことや行きたい場所など、今後の人生の目標が見えて、これからの人生をより良く生きるきっかけになります。


周囲の人の負担が減る

 不要な物を捨てたり整理したりしておくことで、家族や周囲の人の負担を軽くできます。


相続トラブル防止に

 自分の財産状況を確認することで、誰にどの資産をどのくらい分けるかなどを遺言に書きやすくなり、相続トラブルを防ぐことにつながります。


存在すら知られないことも…
デジタルデータの整理を

 アカウント情報やオンライン口座、有料サービスの契約状況を家族に知らせておくことで、自分が亡くなった後に遺族が手続きしやすくなります。

❙ パソコンやスマホなどに保存している写真・動画・電子書籍・住所録などのデータ

❙ ウェブメールやSNS、ブログなどのアカウント情報(ID・パスワード)

❙ 有料サービス(動画・音楽・書籍など)の契約状況

❙ ネットショッピング、ネット銀行・株・FX・仮想通貨などのオンライン口座


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配布中

人生会議まるわかりガイドエンディングノート

 人生会議の基本が分かる「人生会議まるわかりガイド」と枚方市版「エンディングノート」を希望者に無料で配布しています。この機会にぜひご利用を。▶配布場所 各地域包括支援センター、市役所別館2階長寿・介護保険課、保健所、保健センター。