広報ひらかた

市民登場 No.745

科学を楽しむ会・代表

児島 昌雄さん

◆こじま まさお 大阪教育大学大学院修了後、同大学教員(理科教育)を経て枚方市立小学校に37年間勤務。現在、高野山大学特任教授。著書に「わからないから学ぶんだ」等。北山在住。70歳。

 大きなクジラのひげ板を片手に「体のどこにあるでしょうか。実は口の中に何十枚もあるんですよ」と説明すると参加者は驚きの表情を浮かべる。毎月第1土曜に楠葉生涯学習市民センターで動植物や石などさまざまなテーマで、集まった子どもや大人と一緒に科学を楽しむ会を開催している。「わからないって楽しいんですよ」と笑顔を浮かべる。
 大学で理科教育を研究していたが「現場で子どもに教えたい」との思いが強くなり30歳を前に大学教員から小学校教師に転身した。理科専科の教師時代に特に心がけたのは教科書だけを教えるのではなく楽しい理科授業をすること。研究会や観察会に足しげく通い、自身が経験した感動を伝えてきた。平成22年には理科教育の実践が認められ府の優秀教員に選ばれる。「テストの点数ばかりが重視され勉強嫌いになりがちな児童もいるが、子どもたちは本来、学ぶことが好き。体験したり実物に触れたりして疑問を出し合う授業をすると学びが深くなるんです」
 夏休みの自由研究を負担に感じる家庭が多いのは「用意された問題を解答することだけに慣れてしまっているから」と警鐘を鳴らす。「普段からのなぜ、どうして?を大切にして、自分で問いやテーマを考えられるようにしておけば自由研究も楽しくなるはず。子どもの疑問を受け止めて大人も一緒に考え、博物館や図書館などに出かけてほしいですね」
 5月に開催された同センターでの催しではサメの卵や恐竜の骨、アンモナイトなど自身のコレクションを展示。「さわって学べる博物館」として人気を集め、本物に触れてもらうことの大切さを改めて痛感した。「科学を楽しむ枚方市民が一人でも増えることが今後の夢ですね」。人生を豊かに過ごすための学びを発信していきたいと胸を熱くしている。