広報ひらかた

市民登場 No.743

映画プロデューサー・ロケーション監督

三島 鉄兵さん

◆みしま てっぺい
 島根県松江市生まれ。IT・広告・メーカー勤務後、映画プロモーションに携わる。映画「神在月のこども」でプロデューサーデビュー。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。津田元町在住。42歳。

©2021 映画「神在月のこども」製作御縁会


 旧暦10月に日本各地の神々が集う出雲地方の文化を題材にしたアニメーション映画「神在月のこども」。昨秋に全国192の劇場で公開、現在は世界190カ国でオンデマンド配信されている。各配給が手掛けた映画宣伝はしてきたものの映画制作は初めてとなる中、神谷明さん、高木渉さんら声優陣は豪華な顔ぶれが勢ぞろいした。「日本の原風景をアニメで世界へ発信し故郷・島根に恩返しをしたい」。これまでの仕事で得た縁を手繰り寄せ、面識のない状態からコロナ禍ゆえ電話やメールで一人ずつ丁寧に自分の想いを伝え実現させたものだ。スポンサー企業に加えクラウドファンディングで資金的に多くの人に応援してもらえたことも心強かった。

 大学進学時に島根県松江市から枚方市へ。卒業後はさまざまな業界で会社員として営業を経験。映画とは無縁な世界にいたが以前の同僚から映画宣伝の事業拡大のため力を貸してほしいと懇願され、脱サラし迷わず映画の世界に飛び込んだ。「一度きりの人生、やりたいことをして成長したかったんです」

 作品は母を亡くした小学6年生の女の子が神々に導かれ東京から出雲までを走り抜く物語で、苦しみを経てこそ周りの人の心を動かすことや目に見えない存在の大切さを描いている。「映画制作の実績がない僕が8年間迷い苦しみながら完成させた過程は主人公の姿と重なります」。配信中の本作が人気映画世界総合8位になったことは「普遍的なテーマに共感してもらえたのかな。自信につながりました」

 映画づくりの夢を叶えた今、完全に独立し新たなスタートを切った。「僕と仕事がしたいと言ってくれる人たちとともに、周囲が幸せになれる仕事を全力でやりたいですね」。映画のみならずイベントや街を盛り上げる仕掛けづくりに胸を躍らせている。