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#お家で過ごそう「枚方家族の読書のすゝめ」

[2020年5月28日]

ID:30064

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前から気になっていたけど忙しくて本を読む時間がないと思っていた人も、家にいる時間が多い今こそ読書をしてみませんか?

枚方ゆかりの作家4人に代表作の紹介や、読書の魅力、枚方への思いを聴きました。

芥川賞作家 吉村萬壱さん「流卵」

流卵

今年2月に出た最新の小説です。1970年代、中学2年生の主人公・中村伸一の性的倒錯、当時ブームだったオカルトや魔女への傾倒、母親との確執、父との共犯関係などを描いた半自伝的作品です。中二といえば、何者かになろうとして試行錯誤する人格形成の真っ只中で、運良く成功する者もあれば、受精卵が流れてしまうように失敗してしまう者もいます。中村伸一の場合は、その後の彼の人生を見る限り、成功とは言えなかったようです。
私は小中高と枚方市で過ごしました。従ってこの小説の舞台は枚方市であり、出てくる池は山田池です。読む人が読めば、70年代の枚方市の空気を嗅ぎ取って頂けるかも知れません。

吉村萬壱さん

吉村萬壱さんの写真

昭和36年愛媛県生まれ。小学3年生から高校まで枚方で過ごす。平成13年「クチュクチュバーン」で文學界新人賞、平成15年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞を受賞。

良書をじっくり読む機会

私は読んだ本の内容をすぐに忘れてしまうことにずっと悩んでいました。そこで7年ほど前から、折りたたんだ紙を本に挟んでおき、読書するたびに気に入ったフレーズを抜き書きすることを始めました。良書だと抜き書きの紙は何枚にも及びます。読み終わるとその紙を読書ノートに貼り付けます。すると何年経っても、そのノートを読み返すだけで自分が感銘を受けたポイントを思い出すことが出来ます。一見とても手間に思えますが、慣れるとこれがとても楽しいのです。家にいることが多い今は、良書をじっくり読む良い機会です。アルベール・カミュの「ペスト」は大変内容の深い小説で、メモはB5用紙5枚になりました。今、一番のお薦め本です。

吉村萬壱さん公式ツイッター(別ウインドウで開く)

芥川賞作家 石井遊佳さん「百年泥」

百年泥

この作品は、なぜか南インド・チェンナイで日本語教師として働くはめになった女性が、百年に一度の洪水に遭遇するところから始まります。洪水直後、橋の上にうず高く積まれた泥のそばを通りかかり、そこから飛び出すいくつかの品物を入り口として、自身の過去のさまざまな記憶と現在との間を往還する束の間の、そして長い旅をする物語です。
泥とは何でしょう?それは固体とも液体ともつかない中途半端で流動的な、何を生むかわからない不気味な存在です。現在、私たちが投げ込まれている、明日の自分すら想像できないこの状況はどうでしょう?まるで得体のしれない泥の中でもがいているかのようです。でも、いつかこの泥の中から浮かび上がったときの私たちの頭上には、どんな空が広がっているのでしょうか?そのときを心に描きつつ、もがくときにはもがいて、もう一度、泥から生まれましょう。この世のはじまりから世界は、幾度も泥の中に戻り、そのつど更新されてきたのですから。

石井遊佳さん

石井遊佳さん写真

昭和38年生まれ。小学校卒業まで枚方で過ごす。平成30年「百年泥」で第158回芥川賞を受賞。南インド・チェンナイで日本語教師を務める。

豊かな物語は勇気をくれる

私は今までいろんな仕事をした経験があるのですが、最近では南インド・チェンナイで3年ほど日本語教師として働いておりました。オフィスの机の上には日本から連れて行った小説が数冊、並んでいました。休憩時間のたび、自分の机の前に戻った私は大きなため息とともに手をのばして本を開き、疲れ切った心身に熱いミルクティーとともにお気に入りの小説の数ページをふるまいました。現実がいかに苦痛に満ちたものであっても、豊かな物語世界と美しく端麗な日本語は、私の過酷な現実をいっとき忘れさせ、次の授業に立ち向かう勇気を与えてくれました。机の上で毎日私を待っていてくれた本は、三島由紀夫「愛の渇き」、開高健「ロマネ・コンティ・一九三五年」、セリーヌ「夜の果てへの旅」、イタロ・カルヴィーノ「見えない都市」、ガルシア=マルケス「族長の秋」などです。

この夏、淀川が原風景の作品を上梓

私の2冊目の単行本となる『象牛(仮)』は、まさしく枚方の皆さんに読んでいただきたい一冊です。収録されている2つの小説は、いずれも川を近遠景とした作品です。1作目の「象牛」は北インドの宗教都市ヴァーラーナシーが舞台で、聖河ガンジスの岸辺にはリンガ茸という地球外生物がうごめき、象牛という変てこな生物が縦横無尽に駆け回りるこの街に、苦しい恋を携えやってきた女性を核として織りなされる奇想天外な物語です。

いま一つの「星曝し」は、淀川のほとりにあるヒラカタ市が舞台です。神話的空間であるこのヒラカタには七夕の夜、住民全員が家財道具を淀川河川敷に運び、ござに広げて星の光にさらす星曝しという習俗があります。K電鉄ヒラカタ公園駅前の時計屋の子どもだった主人公の女性が、この夜、ござからござへと、自らや家族の遺跡を訪ねるように淀川大橋の見えるあの辺りを巡る物語…と聞けば、枚方市の皆さんはどうして手に取らずにいられるでしょうか!

絵本作家 たけうちちひろさん「Colours」

Colours表紙

ボードブック「Colours」は、海外で発売された絵さがし絵本です。ページごとにさまざまな色のアイテムを集めた「Colours」は、絵の中から「1匹のくま」や「4 匹のワニ」などを探していく絵本になっています。

本の表紙

第2弾の「Animals」は世界の大陸ごとの動物(141 種類あります!)を探す絵本です。アジアのパンダやシカ、サルなど世界の動物だけでなく、地図を学ぶこともできます。
お家で過ごす時間の多いこの時期、いろいろな絵探しと一緒に、親子での会話を楽しんでもらうひとときになればと思います。

たけうちちひろさん

たけうちちひろさんの写真

イラストレーター、切り絵作家。国際的に名高いイタリアの「ボローニャ国際絵本原画展」で2年連続入選を果たすなど国際的に活躍。平成29年から市PR大使を務める。

読書は何より楽しい時間

幼い頃から本好きの父の影響でたくさんの本を読んでいました。6畳の部屋には壁一面、天井まで父の蔵書の本棚があり、対面に置いてあった二段ベッドから手を伸ばし、いろいろな本を取り出して読むのが何より楽しい時間でした。外遊びが得意ではなかった小学生当時、手塚治虫や白土三平そして星新一や北杜夫、とにかくなんでも読み、本の世界を通してあちこち出かけたり、どんな姿にもなれて何でも出来る本の世界、空想にふける時間は本当に楽しいひとときでした。大人になり、忙しい日々の中でゆったりと空想にふける時間も少なくなったのですが、この #STAYHOME 期間、ミヒャエル・エンデの「モモ」や、アストリッド・リンドグレーンの「長くつ下のピッピ」など児童文学を引っ張り出して、再び楽しい時間を過ごしています。

たけうちちひろさん公式ツイッター(別ウインドウで開く)

たけうちちひろさん公式インスタグラム(別ウインドウで開く)

漫画家 なきぼくろさん「バトルスタディーズ」

漫画「バトルスタディーズ」の表紙

野球を通して成長する高校生を描いた作品です。野球漫画とキュキュっと括られがちですが、失敗! 羞恥! 後悔! 愛! 尊敬! 自由! 僕にとっては人間の営みを切り取ったヒューマンコメディ。カテゴリーの壁をブチ破って、たくさんの人に読んでもらいたいです。先が見えず不安な日々が続きますが、新型コロナを睨まず医療従事者の皆さんに温かい目を。センバツ中止を受け、傷ついた選手を心配する野球ファンの皆さま。子どもをナメたらあきまへんで。傷つきながらも前に進む子どもたち、大人どもに言ってやれ!!「自分の足で立ち上がれます」と。混沌に穴を開けるのは一人一人の思いやり。愛を持って生きましょう。

なきぼくろさん

なきぼくろさん近影

昭和60年枚方生まれ。平成15年、PL学園高校3年生のとき、夏の甲子園に9番ライトで出場。自らの経験を題材にした野球漫画「バトルスタディーズ」を週刊「モーニング」に連載中。

僕の「創る」育てたハッピータウン「枚方」

竹藪と渋柿、くぬぎの蜜、工事現場の有刺鉄線、ブランコの赤錆。ルーツはいつも鼻の中。

僕が育ったのは緑が躍る枚方市藤阪東町。去年の夏、久しぶりに地元に帰ると、少年期暮らしたモウドクフキヤガエル色のドアのボロアパートが跡形もなくなっていたことに大笑い。「お前なんか嫌いやけど愛してる」と言葉を残し立ち去りました。時が経っても鼻に住みついたままのあの頃の匂い。僕の中の「創る」を育ててくれたハッピータウンに感謝。「原風景」は財産。おおきに枚方!

なきぼくろさん公式ツイッター(別ウインドウで開く)

モーニング公式サイト作品ページ



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