広報ひらかた

市民登場 No.687

日本とイタリアの文化の懸け橋

中井 美訪子さん

◆なかいみほこ イタリア文化会館 大阪でイベント企画や講演会通訳などを手掛ける。京都外国語大学非常勤講師。12月23日〜1月4日、くずはアートギャラリーで亡き父・中井克巳の展覧会を開く「催しなど」参照。山之上在住。57歳。

 イタリアの食や映画の紹介をはじめ、イベント企画、通訳や翻訳、大学講師も務める。「職業を一言で言えないのは困りますね」と笑う。

 5歳から36年間イタリアで過ごした。父は画家で枚方出身の故・中井克巳。世界一周の旅で立ち寄ったミラノに住み着いた父を追って、母とイタリアへ。「遠い所に行くんだというくらいで、言葉も何も心配していませんでした」。持ち前の明るい性格で近所の子どもたちと仲良くなり、3カ月後には小学校に入学。「毎日とても楽しかった」。苦労したのはイタリア語ではなく日本語だった。「9歳の時、総領事館のお正月パーティーで自分の歳を『クサイ』と言ってしまって」。以来、日本語で日記を書くようにした。嫌だったのは「バイリンガルなら通訳を仕事にできるね」「結婚するならイタリア人?日本人?」の言葉。「国籍と関係のない仕事に就きたい」と、カメラマンやアパレル業界の一線で活躍した。

 帰国したのは40歳を過ぎてから。両親の帰国もあり、枚方で暮らすことに。「でもイタリアが恋しくなって」。イタリア外務省の文化機関「イタリア文化会館」でイタリア語を教え始めた。感じたのは「イタリアといえばパスタとピザ、オペラ、ダ・ヴィンチ」という日本人の固定観念だった。「現代のイタリア文化を正確に伝えたい」と日伊文化の懸け橋として奔走する。

 今年は日伊国交150周年。10月に、日本では聴く機会がほとんどないイタリア最前線のピアノトリオを枚方に招いた。「観客の拍手が温かくてうれしかった」。12月には3年前に他界して初となる父の個展を枚方で開く。「イタリアにも枚方にも愛された父の作品に触れてほしい」。イタリアにも日本のことを知らない人は多い。「国籍は日本、心はイタリアの私にしかできない仕事をしていきたい」。