広報ひらかた

市民登場 No.680

弦楽器製作者

岩井 孝夫さん

◆いわいたかお 昭和29年京都生まれ。イタリアでバイオリン製作を学び、チャイコフスキーバイオリン製作コンクール入賞など国際的に高い評価を得る。関西の弦楽器製作者が集う楽器展示会を5月5日〜7日に大阪市中央公会堂で開催。津田元町在住。61歳。

 名器ストラディバリウスを生んだバイオリンの聖地、イタリア・クレモナで工房を構えた。しかし「高校生の頃の夢はオリンピックでした」。自転車競技でインターハイに出場し、特待生として大学に進むはずが両親は猛反対。「就職したけど2年で辞めました」。やりたいことが見つからなかった21歳のとき、たまたま立ち寄った楽器店で直感が働いた。「ものづくりなら年をとってもできる」。長野県のギター工場で働きながら、趣味を持ちたいとバイオリン教室に通い始めた。ある日、教室の先生と訪れた楽器工房で全ての工程を一人で行う職人の姿を前に「これだ!」。すぐに弟子入り。しかし、刃物を研いでばかりの毎日に半年で辞めてしまう。「これではいつまでたってもバイオリンを作れない」と迷いはなかった。26歳のときヨーロッパへ。「もっと高い技術を学びたくて」。テントを担いで2カ月間学校を探し続け、学費無料で外国人枠があるクレモナの学校へ。国立パルマ音楽院でも学び3人のマエストロに弟子入りした。「イタリア人は技術を出し惜しみしない」。独立の時も12年住んだイタリアを離れる時もとがめられなかった。「自分たちの文化をどんどん世界に発信して!という感じでした」。

 帰国後は製作の傍ら、高槻市内にバイオリン製作学校を設立。10年間で21人を育てた。卒業生を中心に関西弦楽器製作者協会を立ち上げたのが7年前。毎年春に販売も兼ねた展示会を大阪で開く。「理想は積極的な販売戦略を立てるクレモナの職人組合です」。

 現在は古民家を改装した市内の工房で製作に励む。木材の専門家とともに数百年前の名器のような「良い音」が鳴るバイオリンを研究中だ。「日本人ならではのバイオリンを作ってイタリアに持っていきたい」。夢はさらに広がる。