広報ひらかた

市民登場 No.666

今西美奈子さん

 所属する身体障害者の会「まごころの集い社」発行の絵本「千曲川のほとりで」の文を執筆。南船橋在住。80歳。絵本についての問い合わせは同社・高森さん(電話・ファクス0743-79-3887)へ。

 戦時中、日本に一つしかなかった肢体不自由児の支援学校・東京市立光明学校の児童たちが長野県に集団疎開した実話を絵本につづった。6年間在籍していた自身の体験が描かれている。「たくさんの人に読んでもらいたい」。

 生後6カ月でポリオにかかり一時は全身の力を失ったが、小学校に入る頃には松葉づえで歩けるように。昭和19年、戦火を避け家族と共に大阪から長野にある叔父の家に疎開した。終戦後、光明学校が引き続き疎開することを知り、小学4年生のときに家族と離れ普通学校から転校。「リハビリや歩行訓練が充実していたんです」。でも、食料調達や訓練ばかりで授業はほとんどなく、「普通学校の友達に置いていかれるようで不安でした」。家族を恋しく思うこともあったが、寝食を共にする献身的な先生や親切な村の人に支えられ徐々に慣れていった。年下の子に勉強を教え、服を繕うように。「末っ子で大の甘えん坊だった私が『お母さんみたい』って言われたのよ」。自立することを学んだ。

 絵本には、集団生活に馴染めず、面会に来た母に「連れて帰って」と泣きすがったことや、村の子どもたちとそり遊びをした後に温泉に入ったこと、寝る時間までこたつを囲んで歌ったことなど、思い出深い場面が温かな色彩の絵とともに描かれている。「忘れられない大切な日々です」。障害児の集団疎開を受け入れてくれる場所が見つからず、校長先生が長野県中を奔走した話もつづっている。「当時の障害児の置かれた状況や戦争のことを子どもたちに伝えたい」。

 今も自身の経験を書き続けている。「支えてくれた人への感謝の気持ちを込めて書き記したい」。